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「20代後半」という年代

 「この時期にモチベーション落ちるかな?」一番低い“20代後半”のモチベーションサーベイの結果を見てある経営幹部が首をかしげました。「おれにとっては、一番楽しかった時期だったけどな~」と、その頃 の思い出話を語り始めます。50代後半くらいだと20代後半は丁度バブル期。今とは仕事環境が相当違ったはずです。

 以前、20代後半の後輩と働いていたことがあります。前向きに仕事に取組み悩みなどなさそうな後輩が、ある時期、日を追うごとに元気をなくしていきました。たまらず「どうした?最近」と声かけると、「先輩、もうすぐ30歳の誕生日なんですが、このままでいいのかな?と漠とした不安がどんどん膨 らんでいくんですよ」と打ち明けてくれたのを思い出します。

 神戸大学教授で経営学者の鈴木竜太氏の著書『組織と個人 キャリアの発達と組織コミットメントの変化』の中で、ちょうど20代後半にあたる入社5年目から7年目頃の悩みについて分析している箇所があります。そこでは、その年代特有の悩みについて二つ挙げています。一つは入社当初描いていた長期的なキャリアビジョンが来る30代になっても「かなえられる可能性が見えない場合、自分のキャリアに対する不安、焦りが表出する」というもの。もう一つは、「この会社の中で将来キャリアを過ごすのか、改めて新しいキャリアを過ごすのか、といった決断を強いられる」というものでした。

 仕事も覚え”任せて安心”といった人材も多くなる20代後半。上司からのケアも必然的に手薄になる層でもあります。しかし実際は将来のキャリアなど様々な悩みを抱える人も多く、拙速な自己判断で退職という決断をしてしまう人も出てくるかもしれません。そうならないよう、上司や先輩等周りからアプローチしフラットに話を聞いてあげる機会を増やしていくと良いでしょう。

 彼ら、彼女らが50代くらいになって、今を振り返ったとき「あの頃は色々悩みがあったけど、色んな人に助けられたな」と思えるように。