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二種類のダイバーシティ

経営の世界では、その時々のビジネス環境に合わせて様々なワードが出現します。そして、これらのワードは概念が広いことも多く、なんとなく解ったつもりになっているけど、実は個々に捉え方が微妙に違ったり、言葉が独り歩きして、いつの間にか大切な要素が抜け落ちるなんてこともあります。

ダイバーシティの意味
経営ワードの一つにダイバーシティという言葉があります。これは、日本語で「多様性」を意味し、経営文脈では性別や年齢、国籍、文化、価値観など、さまざまな「違い」を持つ人材を効果的に活用し新たな価値を生み出すということを指します。

対象は属性だけではない
これまでの日本企業のダイバーシティの取組みは、どちらかというと性別や年齢にフォーカスし、個々のライフステージに合わせた働き方を会社主導でサポートすることが中心だったように思われます。しかし、本来、ダイバーシティは、性別、年齢、国籍といった属性的なものだけでなく、内面にある価値観や思考特性、スキル等の多様性も取り扱うものです。

世界の潮流 ~二つのダイバーシティ~
慶応義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆教授は、世界では、このダイバーシティを二つに分けて考えていると言います。一つは、デモグラフィック・ダイバーシティ(Demographic Diversity)で、これは性別、人種等、「変えられない属性」に関するダイバーシティ。もう一つはコグニティブ・
ダイバーシティ(Cognitive Diversity)と言われるもので、思考特性やスキル・経験等「トレーニングで身に付けられるもの」を対象にしています。
これまで日本の企業のダイバーシティ推進は、デモグラフィック・ダイバーシティに比重が置かれていたように思いますが、世界の潮流は、イノベーティブな組織を作るための方策としても、コグニティブ・ダイバーシティの大切さが認識されていると岩本教授は言います。

本来のダイバーシティの進め方
今後企業として、本来の意味に則ってダイバーシティを推進しようとするのであればこの二つの領域について社内の状態を確認し両輪で推進していく必要があるでしょう。特に、コグニティブ・ダイバーシティは、普段目に見えない思考特性やスキルを取り扱うことから、アセスメント等による内面の見える化と、それを扱うマネジメントスキルの向上が推進の肝となります。

参考サイト
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2526