ジェンダーギャップ指数と組織サーベイも単一の指標では問題の本質が見えてこない
先日、世界経済フォーラム(WEF)が、国の男女平等の度合いを示すジェンダー・ギャップ指数を発表しました。日本は146カ国中125位。G7の中では最下位で過去の日本の順位の中でも最低ランク。日本の男女の不平等はほぼ改善されず、今後、さらなる実効性ある施策を打つ必要があることは火を見るより明らかです。
この指数は、経済、政治、教育、健康の四つの分野に分かています。日本は、経済、政治は低位ですが、教育、健康は半分より上。特に、教育の中の識字率、中高等教育進学率については1位という結果となりました。つまり、どういうことかというと、日本には平等に教育を受け優秀な女性が存在するにも拘わらず、能力発揮の機会が与えられず、賃金も大きく差がついているということです。
単に「ジェンダーギャップが146カ国中125位だった」。と見るよりも、様々な項目を見ると問題の根深さを改めて感じるのと、国としてとても恥ずべき状況というメッセージをこの結果から受け取ることができます。
ある会社の組織サーベイで、社員一人ひとりの専門性がとても高いという結果が出ました。これだけ見ると、能力の高い人財が集まり、一人ひとりがやりがいを持って顧客に対して高い付加価値を出しているのだろうというと予測がつきます。でも実際はそうではなく、社員のやりがいはとても低く、離職も多いようでした。さらに他の結果も見ていくと、部門を越えた連携についての設問について、肯定的回答がとても低い結果となりました。
ここからどんなことが言えるでしょうか?
自部署のミッションについては各々力を発揮しているかもしれないが、他部署と連携したビジネス創出やシナジーが生まれておらず、個々のポテンシャルをさらに発揮させる余地を残しているのでは、という仮説が立ちます。こういった会社は、テーマごとに横断的なプロジェクトチームを組成していくと、社員の成長や仕事へのモチベーションが著しく高まることがあります。
ジェンダーギャップ指数でも組織サーベイでも、そこから見える単一なデータや代表的な項目だけで判断してしまうと、表層しか見えてきません。様々なデータを組み合わせて分析していくことで、新たなメッセージが見えてくることがあります。そして、その新たなメッセージが組織を大きく動かすヒントとなるのです。