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創世記1章2節c 原語解説

ורוח אלהים מרחפת על פני המים 

神の霊は、水の上を動いていた。(新改訳)

And the Spirit of God was moving over the surface of the waters. (NASB)

וְר֣וּחַ (ヴェ ルアハ) そして〜霊が/and the Spirit

אֱלֹהִ֔ים (エロヒーム) 神/God

מְרַחֶ֖פֶת (メラフェット) 舞っている/moving

עַל־פְּנֵ֥י (アル ペネー) 〜の上に/over the surface of

הַמָּֽיִם (ハマイム) 水/waters

ここからそれぞれの単語を詳しく見ていきます。

וְר֣וּחַ (ヴェ ルアハ)

ו(ヴェ)は、今まで何度か出てきました。「そして」を意味する接続詞です。

רוח(ルアハ)は、「風」や「息」という意味です。日本語聖書では「霊」、英語聖書ではspiritと訳されています。

ここは、神の本質が初めて明かされた箇所なので、とても重要です。

日本語で「霊」というと、ピンとこないところもありますが、「風」や「息」と言われると、親しみを感じますね。「力強い風」と訳してもよいという説もあります。

「風」というと、どこからともなく吹いてきて、どこともなく去っていくようなミステリアスな感じがあり、それでいて爽やかさもありますね。

「息」というと、生命そのものです。息を吹き返す、息を引き取る、などと言いますから。

そういえば、Ruah Worshipという賛美グループがありますが、この単語に由来していると思います。いい名前です。

אֱלֹהִ֔ים (エロヒーム)

1節で出てきました。「神」を意味します。

מְרַחֶ֖פֶת(メラフェット)

語根のרחף(レヘフ)には、「〜の上を舞う」という意味があります。母鳥が巣の上を舞うようなニュアンスです。

この動詞は、申命記32:11で再び現れ、鷲が、若鳥を奮い起こさせ、舞い上がらせようとする動きを表現しています。

まさに無から有を生み出す前の、神の霊のダイナミックな動きが表されているのです。

עַל (アル)

一節でも出てきました。「〜の上に」という意味です。英語の前置詞onに対応します。

פְּנֵ֥י (ペネー)

「表面」という意味です。

הַמָּֽיִם (ハ マイム)

ה(ハ)は、既に出たように、英語のtheのような定冠詞です。日本語には定冠詞がないので、馴染みがありませんが、語り手と読み手で既に共有している事柄には定冠詞が付きます。

מיס (マイム)は、水という意味です。マイムマイムという歌は、日本人も馴染みがありますよね。

さて、既に「大いなる水」と訳されたתנים (テホム)の次に、このמיס (マイム)が出てきます。一体何が違うのでしょうか。

以下の図によると、מיס (マイム)は、大海の表面部分であり、תנים (テホム)は、深海の部分であるようです。

つまり、神の力強い息が、大海の表面を力強く舞っていた、と想像できます。

引用元: 牧師の書斎 http://meigata-bokushin.secret.jp/index.php?FrontPage

さいごに

まさに無から有が生み出される直前の様子がこの一節で表現されています。私たちの存在自体の起源でもあります。

20世紀初頭では、「宇宙には始まりがなければならない」という考える天文学者は皆無だったそうです。アインシュタインですら「宇宙に始まりがあった」という考えには否定的だったようです。

しかし、現代の天文学では、宇宙発生の原因としてビッグバン理論が一般的になりました。つまり、宇宙の始まりに大きなエネルギーの爆発があったのです。まさに科学の説明がやっと聖書に追いついたということではないでしょうか。

そして、原語を注意深く読むと、この宇宙の始まりの瞬間における創造主のダイナミックな動きを見ることができるのです。

参考元

・青木偉作著「はじめての聖書ヘブライ語」(国際語学社)
・デレク・キドナー著「ティンデル聖書註解 創世記」(いのちのことば社)
・The Complete Tanakh (Tanach) - Hebrew Bible

https://www.chabad.org/library/bible_cdo/aid/63255/jewish/The-Bible-with-Rashi.htm

・牧師の書斎 http://meigata-bokushin.secret.jp/index.php?FrontPage

・Wikipedia 「ビッグバン」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ビッグバン

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