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「自分らしさ」はいらない 松浦弥太郎著

読み終えて最初に思ったこと

まず「自分らしさ」について、執着しない方が良いことを言及されている。例えば、自分自身で思っている「自分らしさ」は他人からするともしかしたらイメージと合わないかもしれない。また他人が思っている「自分らしさ」に縛られてしまうと本当に自分が行きたい方向に行けなくなってしまうかもしれないということだ。
私は、別に自分が好きな「自分らしさ」をすぐに全部捨てる必要はなく、執着しすぎないことこそが大事だと受け止めた。

本著で終始言及されることがある。それは「頭で考える」ことではなく「心で考える」ことだ。「頭で考える」だけでは、限界が生じるが、「心で考える」ことで限界を越えることができる。
後半にわかりやすい一文があった。

「自分にできることは無限。自分が使えるお金と時間は有限」

つまり、アイデアを巡らせることにおいては「心で考える」。ただし、現実的なところ、お金や時間の部分について考慮するときは「頭で考える」必要があるのだ。ただし、ここで「頭で考える」だけだとお金はない、時間もあまりない。さて、この制約の中でできることはなんだろうという思考となってしまいアイデアは広がらないだろう。
同時期に目にした、耳にした話で、本著で話していることがまさにこのことだと思えたエピソードがあるので紹介させていただきたい。

野口聡一さん ”自分自身と向き合うためには?” 

「大半が他者から与えられる目標であることが多い」
「(目の前にぶら下げれられている)人参を目指して走っているのはいい事だがその人参を他者に決めさせない。人参を自分で作る」
「自分がどうしていれば幸せかの答えは間違いなく自分の中にある。だからそれを探す作業をしなさいっていうことだと思う。」
(自分が満足できる時間)そういうのを作っていく、そういう時間を守れるような努力をする。(山に登ることが)そこがもしお金が必要なことであれば、何度も登山できるような収入源を確保するというのが、その手前の目標になると思いますし、それより以前に登山ができる体力が必要でしょうからその体力を維持していくというのが、その手前の日々の努力になっていく。自分が努力を重ねて、こうしていれば自分は幸せだっていう自分自信の人参をはやく見つけてそれに向かって進む。

ここで述べられていることで「心で考える」部分にあたるのは「人参」、「自分が満足できる時間」つまり「自分がどうしていれば幸せかの答えは間違いなく自分の中にある。」の部分だ。それに対して、「頭で考える」ことは「収入源の確保」であったり、「体力維持」だ。


小橋賢児が四角大輔の"超ミニマルな生き方"を紐解く。


四隅大輔氏は、平井堅、絢香、SuperFlyなど数々のミリオンヒットを生み出した名プロデューサーであるが、自身が39歳を迎えたときニュージーランドの永住権を取得し、レコード会社を退職。移住を実現している。

「39歳のときに自分が手にしていた、年収、安定、人脈は元々自分のものではなかった。たまたまこの間にギフトとして得られたものだから土に返すかくらいの気持ちだった。」
「手にしていたものを手放すことは勇気があるというよりもようやく15
年間、夢に見ていた生活に入れる・・・」「ニュージランドに移住するときに、これから本当の四隅大輔が始まるという清々しい気分だった」
「今まで、手放しては、新しいものを得てきている。」
「本来無一物*、人間は本来何も持たずに生まれてきた。死ぬときは何も持たずに土に帰るよね。だから今、手にしているものは自分のものではない感覚を持っていればよい。」
*本来無一物(もんらいむいちもつ):事物はすべて本来空 (くう) であるから、執着すべきものは何一つないということ。
「僕ら人間は幸せになるために生まれてきた」

ここでは「自分らしさ」に執着しないこととして、レコード会社に就職してプロデューサーとしてミリオンヒットを数々生み出したが、その功績に執着せず本来自分がやりたかったことをやることが言及されている。
そして、それは「心で考える」ことによって実現されたことだから、本人にとって過去の功績を手放したことに全く迷いが見られない。
しかし、上述では言及していないが、ニュージーランドに移住した後に仕事を入れすぎて自分の時間を失っている時期があったようだ。その状況は、「心で考える」ことができていなかったから招いてしまったことなのかもしれない。

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まとめ

二つのエピソードを挙げさせて頂いたが、本著でも言及されている通り最終的にはバランスが大切なのだと思う。