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LCA計算ソフトに無料版はある?MiLCA無料版ライセンスは終了!

日本国内の企業でライフサイクルアセスメント業務に従事していると、ほとんどの方が一般社団法人サステナブル経営推進機構が販売しているLCA計算ソフト「MiLCA」を使用していると思います。

現状日本国内のLCA計算ソフトのデファクトスタンダードであると言っていいと思います。

海外製のSimaproやGaBiなどのLCA計算ソフトもありますが、通常業務ではMiLCAを使用することが多いと思います。

また、「LCA 計算」とGoogle検索で入力すると、「LCA計算ソフト 無料」というキーワードも表示されます。

菅首相の2050年カーボンニュートラルの発言を受け、LCAの需要が高まり、自分で計算したい方が増えたのではないかと思います。

ただしLCA計算ソフトが高額なため、有料のソフトまで購入して計算するのはためらわれる…

そんな方々が無料のLCA計算ソフトを求めてるのではないかと推察されます。

結論から言うと、現在日本において無料のLCA計算ソフトはありません。

仮に無料のLCA計算ソフトがあったとしても、そのソフトに搭載されているデータベースの出典が確かなのか不安になります…

そこで今回はLCA計算ソフトについてまとめてみたいと思います。


LCA計算ソフトについて

LCA(ライフサイクルアセスメント)の算定に欠かせないのが、LCA計算ソフトです。

以下にLCA計算ソフトについてまとめてみました。

1.そもそもLCA計算ソフトって何をするものなのか?

2.LCA計算ソフト「MiLCA」とは?

3.LCA計算ソフトの無料版ってあるの?

以下、説明していきたいと思います。


1.そもそもLCA計算ソフトって何をするものなのか?

LCAとは環境負荷を見える化するための手法です。

その見える化を助けてくれるのがLCA計算ソフトになります。

LCA計算ソフトは、データベースが搭載されています。

後述しますが、LCA計算ソフトの「MiLCA」に搭載されているのがLCI(ライフサイクルインベントリ)データベースの「IDEA」になります。

LCA計算ソフトに搭載されている「IDEA」から原材料や用役の項目を選択し、「MiLCA」に計算させることで環境負荷の値が算出されます。

ここでいう環境負荷とは、基準物質に換算した値を指します。

上記以外の算定も可能ですが、とても書ききれないので本記事では割愛し、別の記事で記載したいと思います。

以上のように、環境負荷を定量的かつ迅速に算定可能なのがLCA計算ソフトになります。


2.LCA計算ソフト「MiLCA」とは?

これまで「MiLCA」や「IDEA」というワードが出てきました。

「MiLCA」も「IDEA」も一般社団法人サステナブル経営推進機構が販売しております。

「MiLCA」は計算ソフトで「IDEA」はLCIデータベースになります。

先にも述べましたが、「IDEA」を参照し、「MiLCA」で計算を実行します。

「MiLCA」を用いれば、温室効果ガス以外にも、酸性化、富栄養化、光化学オキシダント、オゾン層破壊等その他の影響領域(環境問題)についても簡便かつ迅速に算定が可能です。

ちなみに「MiLCA」は元々一般社団法人産業環境管理協会が、「IDEA」は産業技術総合研究所によって開発されました。

「MiLCA」=「IDEA」と捉えている人も社内にはおり、異なるものだと説明することも多々あります…

企業内でLCAの担当をしているといつになったらこの説明から解放されるのかと思うことがあります…

「MiLCA」も「IDEA」も使用するためにはライセンス料を支払って使用する必要があります。

例えば標準エンドユーザーライセンスが約50万円するように、気軽に購入できるようなお値段ではないかと思います。

各ライセンスの詳細な料金形態については一般社団法人サステナブル経営推進機構のホームページをご確認ください。


3.LCA計算ソフトの無料版ってあるの?

最も気になるのが無料版のLCA計算ソフトがあるかどうかだと思います。

かつて「MiLCA」の無料版ライセンスが発行されていたこともあるようです。

ただし、この無料版ライセンスは大学などでの授業や消費者団体による啓発目的などに限定されていたようです。

つまり、企業が自社製品に使用することはできませんでした。

私が知る限りでは、無料版のLCA計算ソフトはありません。

しかし、無料で使用可能な温室効果ガス排出原単位データベースは存在します。

ある製品の温室効果ガス排出量を算定したいという場合は、LCA計算ソフトウェアを用いずとも、エクセルで計算すれば事足りる場合も多々あります。

ただし、無料で使用可能な温室効果ガス排出原単位データベースは、データ搭載数が少なく、かつ、温室効果ガスのみでその他の影響領域についてのデータがありません。

このような観点からも、いちLCA算定実務者として、やはり「MiLCA」及び「IDEA」を購入するほうが望ましいと思います。

排出原単位データベースについてはまた機会を改めて記載したいと思います。


以上、簡単ではありますが、LCA計算ソフトについてご説明をしてきました。

まだまだ書ききれていない部分や、勉強不足の部分があるかと思いますが、今後もLCAに関する知識習得に努めていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。


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