隠れた月から現れた思い
2022年11月8日火曜日。
今日は、皆既月食が起こる日だった。
月食とは...
特に、今回の月食はただ月が暗くなるだけではなく、月食中の月の裏に天王星が隠れるという、「天王星食」という現象が起こり、これが実に442年ぶりということでいつも以上に注目を集めた。
朝からテレビやラジオではそのことが伝えられ、詳細な月食の時間と、今日の日本の天候は観測するのにとても良い条件であることも付け加えられていた。
当の私は、月食の時間である19:00〜20:30で見事に用事が丸かぶり。
月食を見ることはできないと思っていた。
要件先までは片道徒歩30分。
行き帰りの道中に駅を通過するのだが、その道すがら多くの人が月を見上げていた。
若い女の子や、スーツを着たおじさん達、買い物帰りの主婦や、ヤンチャ男子の集団。おじいさんやおばあさんまで、老若男女皆んなが月を見あげては、「綺麗」だの「すげぇ」だのと思いを口にする。
Twitter等のSNSでは、写真を撮ったり感想を言い合ったりして、見ず知らずの他人と感動を共有する。
その時、人々の距離はいつもより少し近かった気がした。
私もその人々の輪に加わろうと、空を見上げる。
すると、まだギリギリ赤い月と、暗く欠けている月を見ることができた。
コロナ禍という時代を迎えてから、人と離れるように意識をする毎日。
人々の会話や情報はネット上がメインになり、目を見て話すこと、相手の様子を伺うことが極端に減ってしまった中で、人を疑いながら生きなければいけないことが多かったように思う。
だけど今日は、月が影に隠れると言うだけで、多くの人がその美しさに思いをひとつにする様子が街に溢れていた。
私は月を見上げつつおもった。
月が隠れて会えないのはちょっぴり寂しいけれど、
世界がもう少しだけこのままなら良いのに、と。
参考・引用ページ
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