見出し画像

作品展の組織票?

まずお断りです。
ちょうど選挙期間中ですが、そこは全く関係ありませんので悪しからず。

組織票とは?

今回取り上げるのは「組織票」です。
特に来場者投票なる参加型の順位決定戦がある作品展を想定したお話になります。SNSなんかでは、画塾や絵画教室の仲間内で投票し合い、上位に食い込もうとするグループがある。そんな風に主張する人を時々見かけます。
この票を集める行為を「組織票」と定義しましょう。

悪なの?

もう1つ定義が必要です。
組織票は「悪」で良いでしょうか?
絵画教室で制作した、つたない技術と感性に響かない課題作品を出品したグループがあるとします。
その作品、組織の努力もあり大賞を受賞することが出来ました。
もちろんグループのメンバーは大喜び。
だって、この絵画教室で課題として制作した作品が大賞を取れるなんて、私たちの先生の指導って素晴らしい!(と思うでしょうね)
もちろん周囲はもやもやします。
なぜ、よりにもよって、あの駄作(失礼)が?
え、○○さんの作品、あんな素晴らしかったのに、なぜ?
 ・・・
他にも、次の出品時にこんなことも考えそうです。
大したことのない作品が大賞取ったみたいだし、レベルが低そうだから別な展示に出品しよう。
あの展示は作品の良し悪しは関係ないんだよねー。
という具合に、たて続くと集まる作品の質が下がり、結果として見る人もつまらなくなります。
気に入らない展示企画をじわじわ潰したい時に有効と言えなくもないですが。
ということで「組織票は悪」を前提に話を続けます。

実態は?

では実際はどうなんでしょうか。
私の経験から組織票は確実にあります。
中でも悪質なのは、他の展示は全く見ることもなく仲間内の作品だけを見て投票する人たちです。
そんな人の見分けかたは簡単。
「素晴らしい作品が多くてじっくり見たいんだけど、時間無くってー」と言いながら投票だけ参加する人はこのタイプです。
展示の趣旨、投票の目的から逸脱しているので、企画、他の出品者、しっかり良い作品を見たい。投票にも参加したいという来場者の楽しみを奪う迷惑以外の何者でもありません。
完全に悪ですね。

本当に実力が雲泥の差なら、そんな組織票に屈することは無いという人もいますが、先ほどの悪質なタイプは相当数いるので、多少の実力差は無視されると思った方が良いです。
どこかで見た構図、ミスの安直修正、安いだけで作品と合っていない額装なんかでも平気で高評価を叩き出すのが組織票の恐ろしさです。
だって組織内では見慣れたモノですから、減点対象にはなりません。

ただし「組織票は悪」と断じきれない部分が残されていることだけは意識しておくべきでしょう。
つまり仲間内で投票し合うのが主催側の趣旨からは逸脱していない可能性が残されています。それは、本当にそのグループの実力がトップクラスで、賞を総なめしている可能性です。
なかなか無いとは思いますが、絶対NGと言い切ることが難しいのはこのためです。

対策です

組織票はやめましょう!なんて声高に叫んでも意味はありません。
仲間内を贔屓目に見てしまうことを禁じることなんて出来はしませんから。
有効策はただ1つです。
統計的に組織票が意味を為さないレベルまで投票の母数を増やすことです。
簡単に言い切ってますが、けっこう大変なことです。
作家として展示の宣伝をするのは当然ですが、企画側、ギャラリー、そして来場者も人を集める努力をしなくてはいけません。
企画、ギャラリーの広報活動を増やすために参加費を値上げする必要があるかもしれませんので、そこはバランスも重要です。
来場者でしたら、一緒に行かない?と友人に声をかけるだけでもOKです。
来場出来ないなら、SNSで気になる作家さんを見つけたらフォローしてみましょう。Twitterならリツイートすることで知らない誰かが見に行くかもしれません。
そして、投票の機会があったら是非参加しましょう。
それが最も効果の高い組織票対策であり、自分の目を養うことにもつながるし、作家のモチベーションにもつながります。

またコロナ感染者数が増えてきており不安がある現状ですが、(これから盛夏だというのに)気温も落ち着きを見せ始めたこの季節、展示を見る機会も増えるかと思います。
スマホで見るのと原画では全く違いますので、ギャラリーに足を運んでみてはいかがでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?