バッド・ジーニアス -映画感想-

タイの映画「バッド・ジーニアス」を見ました。タイの映画を見るのは初めてだったんですけど、洋画と言われても違和感ない、そんな完成度の高い映画でした。簡単に感想を書いていきます。

1.ざっくりしたあらすじ

主人公のリンは母子家庭で、家は貧乏。しかしリンは成績優秀であるため、奨学金や学費免除等の特別待遇を受けて、進学校に通う事になります。

勉強ばかりしてきて恐らくあまり人付き合いをしてこなかった彼女ですが、入学早々、非常に美人なグレースという友達ができます。そのグレース、あんまり成績は芳しくないようで、彼女からの「テストの答えを教えて欲しい」というお願いをキッカケにストーリーは展開していくのです。


2.カンニングの方法が天才的でもあり、チグハグなところもある。

段々と規模が大きくなるカンニング。最初にグレースに答えを教えていた時は、良く分からん方法で回答教えていました。靴に消しゴム入れて、それを後ろに蹴って送るって…。普通に消しゴム渡したほうが良くないかな?

また飛んでいった靴を回収するためにいきなり席を立って先生に質問しにいくって、普通にアウトになるのでは?と思いましたが、これは試験の仕方の違いですかね。

ピアノを弾くように指で回答を教える方法は、なるほど、頭いい、と思いました。ただ3問答案を教えて4問目を飛ばすという方法ですが、20人、30人が同じようなパターンになっていたら流石にバレるのでは?と思いました。あと、リンが1番前の席にならないとかの方法は無理ですね。席が自由に決めることができたのでしょうか。

余談ですが、この方法だとカンニングする方は、誤って一問見逃したりすると大変な事になるなと思います。全部答えがズレていきますからね笑

というか、カンニングの希望者多すぎ笑  少しは自分で勉強しろよ!と思いました笑


3.クズが多い

まあ、カンニングを題材にした映画なんで、そうなっても仕方ないとも思いますが、もう出てくる人物大体クズばっかしです。その中で唯一と言っても良い、まともな人物であるお父さんが可哀想になってきます。

特にあのカップルはほんとダメですね。見ていて段々イライラして来ました。パットは親の七光りを体現したようなキャラ。自己中で自分の事しか考えていない性悪な奴です。その彼女のグレースも、ホント想像力が足りてない。性格は良いんだと思いますが、多分何も考えていないんでしょう。だから(例え悪気はなかったとしても)友達にとても危険なことを頼めるし、友達が自分のせいで罰を受けても、反省せずケロッとできるんだと思います。こういう悪意はないけども、人を貶めていくタイプは、本当タチが悪いです。

主人公も何というか、好きにはなれなかったですね。バンクが酷い目にあったのは自分のせいだと分かった時、責任を感じてやめようとしたり、良心はキチンとあるのだと思います。

でも全ての騒動は結局リンのせいですし、再犯なので擁護する事も出来ないですね。2回目に関しては、完全に生活のためのお金が欲しいというより、儲けたい一心でやっているように見えました。まあ、お金が欲しいのは分かりますが、そのためにこんなリスクを犯すのは釣り合わないと思うんですけどね。

バンクはひたすら可哀想なキャラでした。何でこんな目に遭うんだろう、て感じですね。お母さんのために勉強する時間を削って洗濯屋を手伝い、カンニング不正が起こっていることを、先生に伝えたら、結果的に(恐らく少し好意を持っている)リンに恨まれる形となって、自分を責める事になる。挙げ句の果てに怪我で留学も中止、、、何も悪いことやっていないのに、人生がどんどん崩れていくのは本当に見ていて辛かったです。学校を退学するときに、母親が泣きながら書類を書いていたのは印象的でした。


4.受験戦争の闇

「クズが多い」項目が長くなってしまいました。

さて、この映画のテーマです。

この映画では、「学歴重視社会」「貧富の差」「不正」など、いくつかのテーマが浮かび上がって来るように思います。その中でも僕は特に「受験戦争の闇」というテーマを強く感じました。

「良い成績が、人生を大きく左右する不可欠なも  のになる」

「勉強は好きではないのに、両親から、成績優秀であること(のみ)を期待されるようになる」

確かに国が豊かになって、多くの人が教育を受けられるようになったのは素晴らしい事です。ただその反面、良い成績を取ること、良い学校に入ること が求められる唯一のことのようになり、親も子供にそればかりを期待する、そんな「受験戦争」とも言うべき状況は、進んでいるのかも知れません。

「成績」というモノサシ1つで子どもを計ろうとすると、大きな歪みが出てくるのだろうと思います。これをどう解決していくか、その答えはまだ出ておらず、日本でも、考えていく必要があると思います。


以上、バッド・ジーニアスの感想でした。まだご覧になっていない人は、ぜひ一度見てみてください!

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