藤井風の「旅路」があたたかな春風を連れてくる
春の嵐が吹き荒れる東京で今これを書いている。あたたかで穏やかな日常はもう戻ってこないのかと、毎年当たり前のように迎えていた春を偲ぶ。きっと多くの人たちが、同じような心情で季節が時を跨いでいくのを眺めているのだろう。
そんな夜に「旅路」のフルを聴いてみたら
藤井風の新曲「旅路」が3月1日、ついに配信を開始した。ドラマの中でセリフの合間に聞こえていた”旅路”とはまるで違う。
同じ曲とは思えないほどだ。
失礼を承知で書けば、劇中で”旅路”を聞いたときの第一印象は「”帰ろう”の焼き直し」だった。”帰ろう”が名曲なので、”旅路”もいい曲であることは間違いないのだが、劇中で聴くそれは、心のどこにも引っ掛からず表面を優しく滑って行った。(*私はあのドラマを2回しか見ていない)
しかし、フルを聴いた時、その印象は別の角度から大きく変わった。
Yaffleの絶妙なアレンジに磨かれた”旅路”
都会的なのにどこか泥臭く、イマドキなのに懐かしく、オシャレなのに素朴。その匙加減は原曲の素晴らしさ、藤井風の声、キャラ、ファン層、時代背景などを完全に咀嚼し、スピり過ぎないエモさを計算し尽くした職人技だ。
”旅路”は、満を侍して藤井風をわかりやすくポップ化するための重要な一曲であると確信した。
セールスポイントが多すぎるがゆえの難しさ
彼のように多面的な魅力に溢れ、有り余るほどの才能を有した逸材を世に出す時の戦略は本当に難しいと思う。これは商品の広告宣伝でも同じだ。
親バカのようにあれもこれもと欲張って伝えようとすれば散漫になるし、時代背景やターゲットを見誤れば大ヒットは望めない。何よりも初登場のインパクトは、その後のイメージを決定づけるキーポイントである。
藤井風は愛と優しさの伝達者
報道ステーションは、昨年の放送でもそうだったように、今回も藤井風とコロナ禍を結びつけ、厳しい世の中に”愛と優しさを届ける伝達者”のように扱っている。実際、彼の笑顔や語り口、物腰、そして歌は温かな愛と優しさに溢れており、その役割に相応しい。
もし、”おどるポンポコリン”や”LA・LA・LA・LOVE SONG”などが大ヒットしてた90年代なら、強烈にグルーヴィーな「何なんw」あたりでテレビにガンガン出演して売り出した方が良かったかもしれない。
しかし、先の見えない閉塞感に人々が弱っている今は、その規格外の才能をドヤ顔で見せつけるよりも、ほっこりとした好青年が歌うシンプルながら洒落たアレンジが施された優しい曲が正解なのだろう。
それに、今はなんと言ってもネットがある。最初に口当たりのいいオードブルで感動したら、あとはネットを検索するだけで、めくるめく藤井風ワールドをこれでもか!と楽しむことができるのだ。
報道ステーションの反響はいかに
昨晩のヘアメイクとスタイリングは、上記の戦略に則れば完璧だ。
ストリートモードでスタイリッシュにキメるのではなく、ちょいダサめのTシャツにジーパン(あえてここはデニムとは言わないw)。いつものクシュクシュヘアではなく、清潔感のあるオデコ全開のゆるウェーブ。整った顔立ちに唇だけグロスを効かせたあっさりメイク。
初々しく爽やかさなルックスは、好みは別にして嫌われる要素がどこにもない。
そこに、朴訥とした愛らしい喋りと、緊張しつつもポテンシャルの高さを存分に発揮したパフォーマンスが加わる。鬼に金棒である。
プライムタイム(19時〜23時)に放送されている報道ステーションの平均視聴率から見ると、ざっくり880万人くらいの人が視聴したと推測される。(3月1日放送分は不明)
報道ステーションの公式YouTubeでの再生回数は現時点で50万回を上回っている。昨年放送された特集が現時点で120万回再生なので、初速としてはボチボチと言ったところか。
また放送後、約23時間経過時の藤井風の各種SNSフォロワー増加率は下記の通りである。
Instagram
4,211人(1.7%増)
放送直前 245,790人
放送後 250,001人
Twitter
9,170人(3.7%増)
放送直前 248,914人
放送後 258,084人
YouTube
5,000人(0.7%増)
チャンネル登録者数
放送直前 683,000人
放送後 688,000人
Twitterの伸びが大きいが、インスタやYouTubeは動きが鈍い。SNS
世代の視聴者が少ないと言うことかもしれない。
主要SNSのMAUを見るとYouTubeがもっと伸びても良さそうなものだが。(出典はアンダーライン部をクリック)
また、オリコンデイリーランキングは配信シングル部門で1位と順調な滑り出しである。
特筆すべきは、放送時のYahooリアルタイム検索(Twitter投稿数)だ。ちょうど彼が出演している時間に急激に増えている。
この数字が多いか少ないかを見るために、同日に放送されたCDTV に話題のミレニアムパレードが出演した時と比べてみよう。略称である”ミレパ”と合算しても、藤井風の方が多いことがわかる。
さらに、過去1ヶ月で調べてみると、超有名アーティストである米津玄師が38,534件なのに対し、藤井風が43,216件と上回っているから驚きだ。
この先、”旅路”を引っ提げての藤井風の快進撃が楽しみである。この曲の大ヒットとともに本格的な春がやってくるのかもしれない。
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