良いwebtoonディレクターって何?
はじめましての人もそうでない人もこんにちは。
フーモアのwebtoon事業部の責任者の井本です。
今週10月4日に「暴食のベルセルク」のアニメが、地上波で公開されました。原作もコミカライズもめちゃくちゃ面白いので是非この機会に、多くの方に作品を知っていただけると嬉しいです。
フーモアでは、本作のsmartoon化をさせていただいており、もし興味をもっていただけたら見ていただけると嬉しいです。
ちょうど、最近トレンドプロさんという漫画広告のパイオニアとも言える会社さんと、食事をしまして教育について話をしてました。
そのときに「営業」も最初は「編集・ディレクター」を体験するといった話を聞きました。
職種も職能も違うけど、お互いの職種の理解が、仕事をする上での関係を向上させるといった目的です。相手の仕事を知っていることで円滑に進行ができるというのは、本当にどんな組織でも重要なことだなーと思いました。
そんな中ですが、webtoonは1つの作品をつくる上で、多くのクリエイターが関わっており少し複雑な制作の流れで週刊連載という、荒行を実現をしております。
その進行管理を担うのがフーモアでいう「ディレクター」という職種です。
お互いの職種の理解が深ければ深いほど、進行はスムーズになることは理解しておりますが、webtoonの進行には「原作」「脚本」「ネーム」「線画」「着色」など、多くの職種が混在しているため、全てを理解する事は難しいです。
だからこそ、「相手を理解する」ことに対しての取り組む姿勢を、しっかり持つことが大事になります。
前置きがすこし長くなりましたが、今日のテーマは「良いwebtoonディレクターとは」というお題なのですが、色々と前提によって「良い」の解釈が変わると思います。
あまり主語を大きくして語ると、意図しない誤解を招きそうなのでちょっと遠回りをした内容にしています。
2年以上webtoon事業部の責任者をする中で、一緒に働くディレクターに対して注意をすることが多いテーマを、5つほど選出させていただきました。
僕もめちゃくちゃミスをすることが多いので、余裕のブーメラン発射台になってしまうのですが、「自分ができていない」ことと「指導をしてはいけないこと」ではないので、できてないことでもちゃんと注意をする姿勢は大事だと思っています。
疑問系の会話を減らそう
ディレクターから作家にフィードバックをするときに、
みたいな依頼をすることって結構多いんですが、疑問系の依頼をできるだけ止めましょうと指導しています。
意図としてディレクターは作品全体を見回して統括をする立場です。
制作はそれぞれの工程でクリエイターさんが活躍して動いて貰えているのですが、全体を一貫して作品をみているのはディレクターです。
作品のクオリティーの最終門番としてディレクターがいるため、客観的にみて「分かりにくい」であったり「違和感」を感じた部分を、しっかり言語かして伝える必要があります。
修正が必要な場合には、「こういった理由で修正してください」といった、
コミュニケーションを心がけたいです。
クリエイターさんに判断してもらう疑問系での指示は、一見優しそうにみえますが不親切なケースが多いです。
作家と意見が違った場合に、ディレクターはその意見を無かったことにしないと思います。意見が違った場合に無かったことにするフィードバックであれば、そもそもしない方がいいです。
基本的に作業しているクリエイターは、100点を目指して作業をしていますが自分の作業は自分では、正しく評価できないことが多いです。
そんな中でクオリティーの最終門番のディレクターは、「こうなったら絶対作品がよくなる」という自信をもって、「こうした方が読み心地がいいので修正してください」と伝える様にしましょう。
もちろん、全員がディレクターとして経験値が十分でない場合もありますし、特にwebtoonという完成されてないノウハウの中での仕事なので、新人の場合など、最終門番としての役割に不安がある場合には、アートディレクターや同僚のディレクターと相談しましょう。
関係値やコミュニケーションを柔らかくしたいといった目的もわかります。時と場合なのは大前提です。言いたいことは、その上で「クリエイターさんとのコミュニケーションについては、自信をもって指示ができる形を目指しましょう」ということ。
ブローカー的な動きをしない
ディレクターの仕事の大きな1つが制作工程の橋渡しがあります。そしてもう1つ、出版社などの版元とのコミュニケーションという仕事があります。
全ての人が作品を多くの人に読んでもらうために、真剣に考えて意見を出しあい、限られた時間の中で作品を形にしていきます。
必ずしも意見が毎回まとまるわけではありません。
その意見をまとめるのもディレクターの大事な仕事です。
例えばですが、「見せ場の演出のイメージが違う」といった意見をもらったときに、「見せ場の演出のイメージが違う」と原作者やネーム作家に、そのままフィードバックをしている姿をみると、「ちゃんと現状を理解してフィードバックをしましょう」と指導をしています。
曖昧な意見や情報をかみ砕いて解像度を上げていくのが、ディレクターの仕事です。
「イメージと違う」という相談をもらった場合には、作品としてどういうイメージを想定していているかを、修正内容の方向性を落とし込んだ上で、フィードバックしましょう。
見せ場の戦闘シーンなので、ゴリゴリにエフェクト満載で敵を切り付ける主人公として初稿を作成してたが、このシーンは怒りに燃える主人公が、クールに敵を一閃する姿を想像していたので、エフェクトを減らして力強い形にしたい。
といった、相手の意見を吸い上げることが大事です。
自分が修正の方向性が想像できていないのに、次の工程に丸投げするのは絶対止めましょう。
週刊連載で、意思疎通不足で無駄に作業をふやすと、次の工程のスケジュールが逼迫してしまったり、最悪原稿を落としてしまうので気を付けましょう。
驚くことに、クリエイターさんは自分の想定していた方向性を、想定以上のクオリティで応えてくれることが多く、いつも感謝しかないです。
もちろん、全て完璧にできる人はいないと思いますが、常に意識して動けていけるといいですね!
制作物を提出するときには意図を添えよう
例えば、キービジュアルを作成するときに、3パターンのラフを作成したとします。「3パターンのラフを作成したのでご確認ください」と、原作サイドに提出をする姿をみると、「意図を添えましょう」と指導をしています。
ラフにしろ、ネームにしろ、線画にしろ、着色にしろ、クリエイターさんが思考錯誤をする中で生み出しています。
特に例に出した、「キービジュアルのラフ」みたいな工程の場合には、
くらいの説明はするべきだと思っています。
そして大事なのは、自分はどれが良いといった意見を添えることだと思います。
具体的に制作意図を伝えることで、原作側の回答も
といった具体的な回答をしやすくなるので、その後の調整や方向性なども整えやすくなります。
3つラフを出して、あんまりピンとこないからもう3案つくるみたいな、霧の中を走る制作進行は全員が疲れてしまうので、気を付けて進行を出来るといいですね。
大事なのは、全員が作品を多くの人に届けたいと思っていること。
もっというならしっかり売れたいと思う中の会話であること。
倒すべき、攻略すべき相手ではないからこそ、しっかりとした会話が大事になると思っています。
スケジュール状況を常に意識する
これは当然と言えば当然なのですが、特に作品の立ち上がりについて、意外と疎かになりがち。
制作の立ち上がりについて、作家の募集をしているフェーズなどは、決めたスケジュールがくるいがちです。
スケジュールが狂い始めると、毎回管理表を更新するのが億劫になって、
メンテナンスが疎かになりがちです。※現在進行形で僕もよくあります。しっかりスケジュールを作った上で進捗が遅れているのか、巻けているのかを把握しておくことが大事です。
管理表は関数を使って、遅延した日程を修正したら自動的に他のスケジュールが更新される形で進行しましょう。
スケジュールがズレること自体が悪いのではなく、スケジュールを作ることなく進めることこそが悪いことです。
クリエイティブは時間をかければかけるほど、良い作品を作ることができることも真理なのですが、限られた期間の中で最良を尽くすことのほうが大事な場合が多いです。
もちろん例外もありますし、原作・脚本まわりはしっかり作り込む必要があります。とにかく急いで作るというわけでは無く、十分なスケジュールをとった上で進めましょうという意味です。
この点でよく、メンバーに指導をするケースとして、進行スケジュールが遅延をして後工程の作家さんが作業できないケースを、できるだけケアをする必要があります。
業務依託契約で依頼をしている場合に、予定していた期間に遅延で依頼ができない場合に、作家のスケジュールがぽっかり空いてしまいます。
スケジュールが空いてしまうことが分かっていれば、事前にアナウンスをすることや他の業務を依頼させていただいたりで、最悪な状況を回避することができます。
人は、お金を稼がなければ生きていけません。
線画の進行が4本納品する予定が進行が遅れて2本しか納品できなかった場合に、作家さんは想定していた収入が半分になってしまいます。
原因はともあれ、遅れた場合や遅れることが分かったタイミングで、必ずケアをするように強めに指導をしています。
褒めるコミュニケーションは大事
感謝の気持ちをちゃんと伝えることは大事です。
そして、良いと思ったものを素直に、クリエイターに伝えることはとても大事です。
恥ずかしながら僕は、あまりできていないことなのですが、絶対に意識したほうが良いですし、単純だけどとても大事なポイントです。
人は何をするかと同じくらい誰とするかを大事にします。
自分が好きだと思う人には、良い仕事で返したいと思います。
最近、社内のクリエイターさんから
「井本さんへのチャット、リアクションが着かないことがあって不安になる」
と言われました。
本当にごめんなさい。
ちょっと生まれ変わるつもりでブーメラン投げさせていただきます。
まとめ
あと5項目くらい、よくする指摘のお題ありますが、あまり長くなっても良くないのでこれくらいで、まとめさせていただきます。
大事なのは「作品」をヒットさせるために、ディレクターとしての職務をしっかり理解し立ち回ることです。
自分は違和感あるけど、他から指摘がないなら別に放置してもいいかなーといった、「やらされ」の感情は本当に誰も幸せにならないです。
ディレクターは自分が最終防波堤だと思って、クリエイターさんたちが仕事をしやすい環境を作っていきましょう。
そして作品をヒットさせて、関係者全員で喜びあいましょう。
大変ですが、こんなに楽しい仕事はないと思っています。
「僕、フーモアさんと仕事したけどブローカーだったよ?」といった、意見が聞こえてきそうな気がします。もちろん全て出来ているわけではありません。ただ、しっかり意識して動きましょうといった意図で、今回のnoteを書かせていただきました!
ごめんなさい!
最後に
今回の記事を書くにあたって、クリエイターの人たちってどういうディレクターを、よいディレクターとして評価しているのかが気になったので、めちゃくちゃ短期間だけどアンケートをとりました。
全員違ってみんな良いの精神で、16:00のタイミングで回答あったものを記載します。何かの参考になれば嬉しいです!
アンケートの開始が13:50、終了が16:00の2時間ちょっとのアンケートです。もっと色々な人の声が聞きたいので、お時間がある人は是非ご意見ください。
どこかのタイミングでSNSでまとめたいと思います。
なにとぞ!
そして最後はいつもの募集文言です。
フーモアでの制作に興味をいただけましたら、お気軽にご応募ください!
◎制作アシスタント
各工程におけるクリエイターを募集しています。
・メイン線画担当
・ネーム(絵コンテ)担当
・背景線画担当
・着彩担当
ご応募はこちら
◎アートディレクター(作画監修)
Webtoonのクオリティ管理と作画監修業務になります。
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◎ディレクター
Webtoonの制作進行管理と品質管理になります。
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■問い合わせはこちら
株式会社フーモア
担当:井本洋平
TEL/03-6228-4310 MAIL/info@whomor.com
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