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書評『より少ない事でより多くをなす』

語り手の彼は、若き日に一度、湖のほとりまで歩き、全ての苦しみを終わらせようとした。だが、そこで思いとどまり、『最後にもう一度だけ、自分の足で立ち、自分の言葉で宇宙と対峙してみよう』と決心した。

それから、病院で息を引き取るまでの60年の間に残した発明、活動、思想は多くの人々を鼓舞し、くじたれた勇気を取り戻す事に協力した。

彼の肩に乗り、彼がゼロから生み出した文脈を踏み台として20世紀の後半から今日にかけて多くの発明、製品、思想、文化、ムーブメントが生まれたが、21世紀を生きる誰もが触れたことがあり、恩恵を受けているものばかりではないかと思う。

興味があれば是非読んでみてください。

『宇宙船地球号操縦マニュアル』
バックミンスター・フラー





筆者的に立ち戻りたい箇所

以下は実生活で活用できそうな情報を原文のまま引用したものです。参考にどうぞ。

絶えず新奇性にさらされ、予期せぬ事態によって螺旋的にプロセスが展開していく、そんな世界である。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、190ページより引用。

この宇宙は徹底的に動的であり、進化し続けるものだと繰り返し強調してきた。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、190ページより引用。

ファインマンもまた、他人の言葉をそのまま真に受けることを拒絶したため、物理学のほとんどを再発見していかねばならなかった。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、157ページより引用。

ある晩、フラーは一人アパートを出ると、ミシガン湖畔まで歩いていった。カナダ側から激しい風が吹きつけており、波が彼の足を洗った。このまま死んでしまおうか? しかし、彼は思いとどまる。そして決心した。「人は自分自身で考えねばならない。もう一度、自分だけでこの宇宙と向かい合ってみよう。自分の言葉で、自分の経験だけを信じて、もう一度宇宙を見直してみよう」

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、156ページより引用。

もっとも適応力があり、どんな環境にも入り込み、そこを開発していくということでも、人間はあらゆる生命現象のなかでユニークに見える。この組織体は知性と自己訓練によって巧妙にものを発明し、自分を拡張するための道具をつくりだす能力を、本来的に身につけているのだ。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、117ページより引用。

あなたが今探している特殊な情報を得るためには、無関係なものをすべて取り去って、それを明確なかたちで孤立化させるまでに、いったいいくつくらいの「二分化されたビット」が必要になるだろう?

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、64ページより引用。

無知や試行錯誤を許してくれた栄養もすでに尽き果てた。私たちは宇宙とまったく新しい関係に直面している。知性の翼を広げて、飛び立っていかねばならず、さもなければ死んでしまう。ということは、今すぐ、昨日までの迷信や誤って条件づけられた反射行動といった地上のルールなんかじゃなく、宇宙を律する一般原理にしたがって、飛んでいかねばならないということだ。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、58ページより引用。

卵のなかの鳥に対して、成長のある段階までは滋養たっぷりな液体が用意されているのと同じことだ。しかしその栄養分は、ヒナが育って自分の足で動けるようになると、ちょうどそのとき使い果たされるようにデザインされている。そこでヒナは新たな栄養を求めて殻を突っつき、うっかり殻を壊して外に出ることになる。こうして最初の聖域から外に歩み出さねばならなくなった若鳥は、自らの足と翼を使ってエサを探し、再生的な持続の次なる段階を見いだしていくことになるわけだ。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、58ページより引用。

「大海賊」たちは世界を駆けめぐった。彼らはそうやった、最初で最後の連中だ。 彼らは世界人であり、無慈悲ながらも輝かしいプラグマティズムにしたがって、世界を駆けめぐった。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、35ページより引用。

彼らは天測航法、嵐や海や人間や船、経済や生物や地理や歴史、そして科学を扱うことに、きわめてたけていたのである。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、21ページより引用。

陸に住む男たちが制定し、布告し、身勝手な法律などを越えて引き延ばしてみても、人々をうまく支配できない。だから海の上に生きる世界人たちは本質的に法外、アウトローなのだ。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、38ページより引用。

唯一、本当の競争相手は、ほかの強力なアウトロー。やつらも経験を通して『すべてがどうなっているのか』、すでに知っているにちがいない。あるいはそれを学びうる。私はこんな海の支配者を『大いなるアウトロー』、あるいは『大海賊』と呼んでみたい。

バックミンスター・フラー、『宇宙船地球号 操縦マニュアル』  芹沢高志訳、筑摩書房、2000年、38ページより引用。


投げ銭したくなった人のために置いとくね。
では:)


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