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ようこそ!中途半端を極めた先の”たらればワールド”へ

ぼくは発達障害当事者だ。

申し訳ないが、詳しくはググって欲しい。
今回は発達障害の話じゃないんだよ。だから、気になる方はグーグル先生に聞いてみて欲しい。間違った解釈もあるから、これを読んでいるアナタに解釈は任せるよ。

もちろんこの記事に戻ってきてもらうのが前提だから、マジで。本当、お願い。最悪この記事に戻ってこなくても、発達障害について理解を深めようと思ってくれたらそれでもいいや、前言撤回。ありがとうございました!

いや、うそうそ。本当ごめんなさい、素直になります。


発達障害を自覚したのは最近で、受け容れる準備をしているところだ。元々「フツー」と「フツーじゃない」を行ったり来たりしていた人だから、受け容れるためにどちらかへ旅をする荷造りに苦労しない。

こう書くと”中途半端”と捉える方もいるかもしれない。立ち位置が定まっていない、芯が無い人というか。

ぼくもそう思っていたし、今も少しそう思っている。

ぼくの人生にはこの”中途半端”という言葉がついて回っている。金魚のフンのように後ろからくっ付いてくる。何回もトイレットペーパーで拭いているはずなのに、こびり付いて離れてくれないフンを、必死に何度も拭いて拭いて切れ痔になったり、もう時間がないからとりあえずパンツを履いて後悔する。そんな事の繰り返しだったように思う。汚ったね。


最短1日のアルバイト、給与はなし

ぼくの職歴で説明してみよう。20歳でアルバイトから正社員になった会社は約5年、1番長く続いた。
それからは長くて3年、1番短いのだと…多分、最短で1日だ。

とあるそこそこ大きい街の駅前にあるパチンコ屋に派遣会社経由で就業が決まった。
その当時のぼくはパチンコ大好きマンで、それで日銭を稼いでは行きつけの居酒屋で、隣に座ったオジサンと語り合っていた。


語り合うというより、いわゆる「近頃の若いモンは~」にお付き合いしていた感じだ。でも居心地は悪くなかったから、その人の隣の席が空いていれば必ず選んで座っていた。まぁ慣れるのに時間はかかったけどね。
スルメイカみたいなもんだよきっと、かめば噛むほどーーーー加齢臭爆弾だわ、こわ。


好きを仕事にするって感覚よりも、働いていたらパチンコ屋の裏側が見れて、業界自体をキライになれるんじゃないかな?そんな気持ちで働くことを決めた。パチンカスにも飽きていたし、自分に対してこのままで良いのかい?と問いかける焦りからの行動だったのだ。

なぜ1日で辞めたのか。
辞めたと言うよりも、辞退させてもらった。
だって選べって言われたから、その店の店長に。

当日はお昼過ぎにお店へ向かったと思う。
そのパチンコ屋の店員の業務内容はシンプルで、出た玉は勝手に計測してくれるし、メダルも然り。まぁ、この辺は経験ある人は分かるだろうし、わからない人はそのまま分からなくて大丈夫。パチンコはやらないに越したことはないから。楽しい部分もあるのは事実だけどね。

簡単に言えば、たいして仕事はないわけですよ。店長や先輩方との挨拶もそこそこに、出入り口に立ってお辞儀と発声の練習をする。
30分ほど先輩と2人でお客様へ「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を繰り返したところで、イヤホンに店長からの声が入る。

「そしたらさ、〇〇さんは2番通路行ってくれる?ぷるぽ君は、そのままそこで挨拶の練習ね!”モニターでずっと見てるから”頑張ってね!」


あぁ、店長ってヒマなんだ、ずっと見てるってそういうことでしょと思ったのを鮮明に覚えている。実際の業務は知らないし、現在店長をやってる方がこれを見ていて「違うぞ、俺はそうじゃない!」という方もおられるだろう。ぜひ、そのままがんばってください、ぷるぽからのお願いです。知らんけど。


疲れ始めたなと腕時計を見たら、2時間も経っているではないか。なんとも品行方正、真面目を絵に描いたぷるぽである。実際は心中穏やかではない、あるはずがない。

酒臭いおっさんに話しかけられたり、あの台はいつも出ないだの、毎回同じ人がドル箱積んでるだの、文句のオンパレード。
江戸時代に店前を掃除してる丁稚奉公の若造に「にいちゃんよぉ、よく頑張ってるな。これとっときな!」みたいなお涙頂戴の場面なんて一切無い。罵声のシャワーと冷ややかな眼差しがグサグサと突き刺さった。

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笑えるわけねぇよ、んなもん

パチンコ屋さんに行ったことがある方は、一度は違和感を覚えた人も多いはず。店員の嘘くさい笑顔。あれ、やっぱりわかりますよね、つくり笑いだって。最初はどの店員さんも苦労したんだろうなぁと思う反面、自分がその立場になってみると苦労なんて感じる前に「笑顔ってこんなに難しいっけ?」という考えに囚われてしまった。

出入り口が目と鼻の先にあるのに、網走刑務所の独房に囚われているような感覚。おぉ、笑顔の神よ、我に笑顔を授けたまえ!と願えば願うほど、顔は引きつっていくもので。

もう途中から諦めた。無理なものは無理だ。極力笑って見えるように口角だけは上げる努力をした。もう頬はピクピク動くし、喋ろうもんなら口の開け方がわからないくらい。そんな時間を過ごした。夕方の6時までだ。


店長から控え室へ戻るように連絡が入る。その時間でぼくの初日は終了だ。タバコ臭い控え室に戻ると、椅子に腰掛けるように促される。

「笑顔の練習をもう少し積もうね」とか「まぁ初日だから緊張もあったよね」という言葉を少し期待していた自分を超絶恨んだ。もし人生に使える期待の量が決まっていたとしたら、この時15%は使ったはずだ。人生80年と計算しても・・・計算が苦手なので、得意な人、そこは頼む。


「ぷるぽ君さ、君って、ちゃんと笑ったことある?鏡で見てごらん、笑顔汚いよ、マジで。」

「まぁ、ウチは店員の笑顔とサービスの質でお客様に喜んでもらってるし、目指すクオリティーはデ〇〇二ーランドだから」

「練習して笑顔の向上を図れるなら、今後も頑張って欲しいとは思うけど、どう?」

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!?


「笑顔が汚い」って表現があるんだとビックリもしたけど、逆にこの人の表現力ってなんだか凄いなとも思えた。

どんな幼少時代を過ごし、

どんな友達と遊び、

どんな学生時代を過ごしてきたらこんな表現が人に対してできるのだろうと、脳内の言語処理班が慌ただしく働いている声が聞こえたきがするよ。


「そうですか、汚いですか。じゃあ、きっと練習しても無理です。あなたのような人の下で働いていても、心から笑うことができないですし、ここにいるロボットみたいな店員さん達の笑顔でお客さんを迎えられないので」

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「やめます」


お借りしていた制服を綺麗にたたんで、ロッカーにそっと置いた。本当は叩きつけたかったけど、悪いのは制服じゃないから。

店を逃げるように出たぼくは、派遣会社の営業さんにすぐ報告するために電話した。
なんと、彼は駅の近くのカフェでぼくの仕事が終わるのを待ってくれていたようで、すぐにこちらへ来てくれることになった。

目の前に現れるなり、この人の一生分じゃないかってくらい頭を何回も何回も下げて「自分のせいです、すみません!」と言ってくれた。

いや、あなたのせいじゃないし、そもそもそんなこと一言もぼくは言ってないよ。悪いのは、完全にぼくだよ。大人げなく突っぱねてしまって、もしかしたら派遣会社との契約にもヒビが入るかもしれない。まぁ、そこは知らんけど正直。

だれにも当たれないこの虚しさの置き場所はどうすればいいだろうか。
違う派遣先を探してくれるとは言ってくれているけど、この営業さんにぶつけてもしょうがないし、もうここの派遣業者を使うのも申し訳ない。また連絡しますと嘘をついて、すでにほろ酔いのサラリーマン達が乗っている電車に揺られながら自宅に帰った。

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楽に見える?ぼくの生き方

こうやって文章で書くと、いかにもドラマチックというか、まぁあるよね!青春の1ページ!みたいに美化しちゃうんだけど、そうじゃない。

世の中ってフツーに人を貶す人もいればフツーに良いところを見つけて褒め称えてくれる人もいる。
ぼくが中途半端な生き方をしていると思っていても、それに憧れを持つ人だって中に入る。隣の芝生は〜的なあれか。

そんなに楽じゃないよ、中途半端って。実は凄く悩んで、凄く傷ついて、それを隠すために、楽だよ!楽しいよって見えるように擬態するのが、他の人より上手いだけなんだよ。

コツはね、テキトーに中途半端してみる。そうすると、いつの間にか”適当”になって、それが当たり前になるから。でもオススメはしないよ、とりあえず今のまま、そのまま進んでもらえれば良いと思うんだ。

でも、中途半端を極めると、好きなコト、モノ、ヒトに囲まれた生活を目指すようになるから、心からの笑顔ができるようになるよ、と若かったぼくに声をかけてあげたい。


たらればワールドだな。まぁ、たまにはその世界に行ってみるのもいいんじゃない?いいよ、全然。

とかね。

さまざまな人に出会うために旅をしようと思っています。 その活動をするために使わせていただきます。 出会った人とお話をして、noteで記事にしていきます。 どうぞよろしくお願いいたします!