見出し画像

「すべて真夜中の恋人たち」を読了

先週から少しずつ読み進めてきた川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」ですが、ゆっくり読むつもりでしたが、私の方が、この作品に引き込まれた感じで、後半は一気に読みました。

本を校閲するということ、完璧な本を出版することは不可能だということ、本のタイトルから本を選ぶことについてなど、普段本を読まれている方なら、興味深いテーマが次々と提示されていきます。村上春樹さんの「風の歌を聴け」の冒頭部分の「完璧な文章なんて存在しない…」に対応しているかのような感じがしました。

この作品、恋愛小説というカテゴリーではないように私には思えてなりませんでした。どちらかと言うと、主人公の入江冬子という女性が三束さんという年上の男性を通じて、自分自身を知るという物語のように感じられたのです。

高校の同級生との会話シーンは、村上春樹さんの「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」の女性版みたいに感じられました。ショパンの子守唄とか、「光」を宇宙物理学的に説明する下りとか、土を食べる料理や小説の存在、私の知らない世界を見せてもらいました。川上さんの作品が海外でも広く読まれている理由がなんとなくわかった気がします。主人公がアルコール障害から脱して、受動的に校閲的な仕事をしているところから、自ら主体的な文章を書くという仕事に向かっていったということなのかなと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。また、私ごときの拙いブログ(この小説の主人公の入江冬子さんみたいな方が読んだら、きっと誤りだらけだと思います…笑)を紹介してくださったり、普段から読んでいただいていることを心より嬉しく思います。いつもありがとうございます。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?