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型・その4①(二月尽・春帽子)

上五〔季語(名詞)〕・下五〔動詞+「けり」〕
中七・下五なひとつながりのフレーズ
二物衝撃:中七・下五は、上五の季語とは関わりのない内容


二月尽青磁せいじの花器を選びけり

季語:二月尽にがつじん(初春)


春帽子ほほの泪を拭ひけり

季語:春帽子(三春)



     ・・・・・

本日より、最後の型・その4「けり」に入ります。

前回の「かな」と使い方がかなり似ている切字。
でも、その違いはかなりあるようです。
以下、できるだけコンパクトに抜粋個所を提示いたします。

「かな」と「けり」の違い

「かな」は沈黙の切字

*「かな」の余情が、一句を読み終わったあと上五・中七へ戻ってふたたび十七音全体をつつむようなはたらきがある。
「かな」は作者の省略したあれこれを、余情余韻という形で読者に伝えてくれる。
*「かな」は名詞・動詞・形容詞ほかにもつく融通性がある。

「けり」は決断の切字

*「こう言うんだ」とはじめからきめて、そのおもいを一句のリズム、なかんずく下五の切字「けり」に託す。
「けり」はきっぱり使う
*「けり」は動詞にしかつかない。

角川文庫「20週俳句入門」P.220~221 より抜粋


追記1:上記は書の抜粋文なので、その中での追記ができず、ここに。
(まるさん、ありがとうございます。コメント欄参照)

*「けり」は動詞にしかつかない。
への追記。

*「けり」は活用語の連用形に接続

佐藤郁良「俳句のための文語文法入門」P.28


また、少々詳しくなりますが、参考までに載せておこうと思います。

カ行四段活用ガ行四段活用」の動詞に「けり」が付く場合は、二種類の言い方ができるが、Aの太線の使い方が、ここで求めている切字「けり」

     A       B
湧く  湧きにけり   湧けり
叩く  叩きけり    叩けり
開く  開きけり    開けり
描く  描きにけり   描けり
泣く  泣きにけり   泣けり
歩く  歩きけり    歩けり
急ぐ  急ぎけり    急げり
行く  行きにけり   行けり

角川文庫「20週俳句入門」P.221~222 より抜粋


追記2:上記、Aのグループの「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形
(佐藤郁良「俳句のための文語文法」p.28から)


最後までお目通しありがとうございます。
(今後、何かの折に役に立つ記事でありますように)



お時間がありましたら、詠んでみてください。

「切字」や「型」に拘らず、自由に詠んでくださっても、また、私の使った季語で詠んでくださっても全くかまいません😊

※決してお題(必ず詠む)ではありません。

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