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俳句の鑑賞㉜
振り消してマッチの匂ふ秋の雨
季語:秋の雨(三秋・天文)
マッチを振り消す、匂い、ですぐさま浮かんだのが、線香に火をつける動作からの、墓参りの景。
秋の雨の中ということから、秋分の日当日、或いは、故人のご命日なのかもしれません。
秋の雨の中、さしている傘を自らの肩に預けて、少し窮屈そうにマッチを振り消す様子が浮かびます。いろいろな想いが私の心からも零れます。
「秋の雨」が非常に似合う御句と思います。
秋の雲デッサンにまだ色置かず
季語:秋の雲(三秋・天文)
青空に浮かぶ雲が、最も爽やかに美しく見えるのは、秋という季節だと思います。
まだデッサンの状態である画。風景画なのか、人物画なのか、静物画なのかはわかりませんが、手を止めて、秋の雲に魅入っているいる作者。
もしかしたら、思い描いていた自らの絵にも、その後、何らかの変化が起こるのかもしれません。
春雷や版画の太き白と黒
季語:春雷(三春・天文)
主宰の秋のデッサンに続いて、顧問は、春の版画の景。
春の雷は、夏の雷ほどの荒々しさはないものの、耳に入る音に心地よさは感じられません。雨が降り出せば、場合によっては雹となることもあります。
飾られている版画の、しっかりとした白や黒の太いラインが作者の目にも、読者の目にも際立って映ります。少しばかりの不穏と共に。
剪定のすみし日差しに猫眠る
季語:剪定(初春・生活)
春の剪定を終えた庭は、これからの芽吹きを控え、空間的にも気持ち的にも明るさを人々にくれます。
朝晩はまだ寒さが残っているものの、昼間そこに射す日差しは暖かく、猫も眠るという措辞に、幸せな時間を感じることができます。
剪定の「すみし日差し」、との措辞に学びがあります。
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「南風」村上主宰と津川顧問句集の「俳句鑑賞」の経緯はこちらの記事に。
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