「南風・七月号」を読む。 40 卯月紫乃 2024年7月6日 18:02 「南風・七月号」より、好きな句、気になる句。(句順は掲載順、*=特に好きな句)村上主宰「大きな箱」十句より水ほそく皿洗ひをり花曇囲はれし若木も花を終へにけり*一草もあらぬ川洲の蝶の昼若蘆に日照雨の蝶のかくれけり*地球儀が大きな箱で来る四月*津川顧問「鳥容れて」十句より二三枚破る日めくり万愚節*障子けふ花の影さす稽古かなやや低き図書館の椅子花は葉に厨房は白のしづけさ藤の雨春惜しむ双眼鏡に鳥容れて*「雪月集」より(敬称略)ただぼーつと浮いてゐるだけ春の鴨 中村君永やよひより卯月に変る雨の音* 団藤みよ子花時の父の無口や母の留守 藤川喜子月おぼろ砂場にのこる山と谷 葛龍堅助箸置けば胸に飯つぶあたたかし* 武田佐自子耳底の亡夫の「お〜い」花は葉に 高原初子空蝉の爪突き抜ける葉裏かな* 駒田弘子ずいと伸び大筍のやや斜め 田村紀子喪の家の人の出で入り雀の巣 前田照子改札の奥の明るき山青葉 腕野辰平人間の賞味期限や目借り時* 河田陽子皿の鮎びつしり並ぶ小さき歯 秋葉とし子単線を飲み鉄で行くいぬふぐり 赤川雅彦簡単な椅子の足されて花見茶屋 林 里美ねじ穴のやうなつむじや花筵* 帯谷麗加「風花集」より(敬省略)血糖値測る血の粒四月馬鹿* 太田美沙子花冷や狸饂飩の黒い汁 原隆三郎蝶よぎるまでぬかるみを見てゐたり 板倉ケンタ泥かぶるカブ泥になる春の河* 板倉ケンタ草笛を習ふさざなみ目に映し 今泉礼奈春の蚊やうつすらと子の鎖骨見え 今泉礼奈金管をばらして拭ふ朧かな* 日野久子花冷や氏名手書きの診察券 澤木恭子新入生余白に富士を描き入れし 小西さき江犬に吠えられし犬抱く木の芽風* 桑原規之 春塵やピエロは眼鏡拭いてをり 館 ゑみ子壷焼を逸れし醤油の火に爆ぜる 岡林美智子石鹸玉追ふ藤棚を潜り抜け 若林哲哉町川に繊き砂州ありはるしぐれ 中村幸子春筍を探る足裏の勘どころ 上田和子「南風集」より(敬省略)付いてくるかと振り向けば春の蘆* 大熊光汰並走の電車の窓の新社員 大熊光汰荊棘線が日輪を切り蝌蚪に足 延平昌弥花虻のまた戻り来る真正面 梅田実代つちふるや血の筋残る革財布 ばんかおり入口も出口も花の投票所 稲葉守大半券のふち毛羽立ちし霞かな 菅井香永子猫の勝ちたうとう抱いてしまいけり 山本こうし菜の花もわれも健やか目を閉じる 五月ふみ雲が空ふたぎて眠きたんぽぽ野 陰山 惠小判草しやがめば消える膝の皺* 野村茶鳥まはる椅子まはせばまはる花曇 野村茶鳥アネモネや母のレシピに足す胡椒* 高山之直卒業の弟に肉食べさせる 上田圭子「摘星集・兼題、サングラス」から目で応へくるサングラス少し下げ 市原みお何となく命令形のサングラス 水野大雅サングラス引つかけてある譜面台* 磐田 小雑踏に会ふ先生のサングラス 窪見れいサングラス掛けてぶつきら棒となる 加藤 修 ・・・・・卯月紫乃 載せていただいた句「南風集」花冷の見附にのぼる朱き月リヤカーの大きな車輪すみれ草藤散るや房に蕾の残りつつクローバの上に広ぐる楽譜かな「摘星集・サングラス」サングラス外し銀座の鳩居堂 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! お気持ちありがとうございます! チップで応援する #俳句 #俳句鑑賞 #南風俳句会 40