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「鑑賞してみよう」が素晴らしくて!

先週の木曜日の宿題「鑑賞してみよう」のコメント欄での皆さまの鑑賞がとても素晴らしく、白ちゃんがTwitterで叫んでしまったほどで!


私も、おひとりおひとりの鑑賞&講評に、もう唖然。
やっぱりnoterさんってすごいなあ、と思いました。


ということで、今日は「鑑賞文を鑑賞しよう」です✨

俳句の鑑賞に正解などはありません。
それぞれが、それぞれの俳句から何を感じるか。
それは仮に詠み手の意図しなかったものであっても、全く構わないのです。

創作は、作者の元を離れ、いったん外に出てしまったら、それはもう作者のものではありまん。
作品は一人歩きをする。創作全般に通じること。
そして、俳句もそのひとつ、私はそう思っています。

ですから、こんな感じ方をしてしまったけれどいいのかしら?
詠み手の方の想いと違っていたらどうしよう。
などは一切考えなくていい。
ご自分の感性で楽しめばそれでいいと思うのです。

今回、この宿題で勇気をもって鑑賞をしてくださった方もいらっしゃるかと思います。
果敢なる挑戦、本当にありがとうございました。

どの鑑賞文も本当に素晴らしい。
心からそう思いました。感動いたしました。
これからも、このような感じで、どんどん俳句を鑑賞し(たとえ文章にせずとも心だけでも)ご自分の俳句の感性を育てていただけたらと思います。

このように偉そうなことを申し上げている私も、まだまだです。
ご一緒に成長できたらと思っています。

素晴らしい鑑賞文を鑑賞して、楽しみましょう!


① 地底湖の青き震えに山眠る 鑑賞文

chiyoさん

全体的に厳かな空気感を感じました。地底湖そのものに奥の深さがありますし「青き震え」という表現が青い波動を静かに感じます。その直ぐそばにずっしりとした山が聳え立つ様子が伝わります。最初から最後まで厳かな空気を壊さず読める一句でした。

chiyoさん鑑賞文

うみのちえさん

山眠る、という季語に何を合わせるか。たぶん皆さん悩まれたと思います。私も泣きそうでした💦
そこへ「地底湖」。
私は、鍾乳洞などの神秘的なひんやりとした水をイメージしました。
さらに「青き震えに」。
冬の景なんだけれども、微かな躍動感、秘めた力が感じられました。
凜とした、とても美しい一句と思います。

うみのちえさん鑑賞文

よこがおさん

まず「地底湖」、言葉の理解に若干自信がなかったので検索しました。
地底湖がわかったので、「青き震え」がはっきりイメージでき、水の神秘的な青さ、かすかな動き。そのずっと上の地上の冬の山はじっと動かず。はりつめるような寒さの中での繊細な美しさと、山の包容力を感じました。

よこがおさん鑑賞文

つるさま

地底湖、ネットで調べてみますと、鍾乳洞や洞窟などに見られる湖、のような記述がありました。

日本にも沢山あるみたいですね。☆

まず、山眠る、の季語を読みました。
冬の静かさを語るかのような、山眠る。

それにすぐ目が行きますのは、震え、という表現でした。

地底湖の(青き)震えに

わずかな震えでしょうか。
青き、という修辞に、詠み手の心情を
垣間見る思いがしました。

助詞、「に」がありますので、その青き震え故に山眠る、と理由と解したく思いました。

情景描写のようで、心情のよりよく感じられて、山眠る、にお気持ちを寄せに行ってらっしゃる。

心の動きの感じられる心情豊かな一句と思いました。

つるさま鑑賞文(改行をいくつか詰めました)

つくしんぼさん

地底湖に静かに雫が落ち、湖面に水の波紋が広がり、その波紋が催眠術のように山を眠らせている神秘的な光景を思い描きました。

少し手を加えるとすれば、

地底湖の青き水輪(みなわ)に山眠る

とすると、私の解釈に近づくかなと。あくまで、私の解釈ならということですが...

つくしんぼさん鑑賞文

アッシュさん

まず「地底湖」この存在を知らなかったので、おお!?

そして何よりも、、、「青き震え」にやられました。素敵ですね〜✨
冬の雪山との「白と青」の対比のイメージの視覚的な刺激と、、、
そして眠る山の静と、地底湖の秘めたる動の対比。
一粒で何倍も美味しい。とても味わい深い御句だと思いました✨素晴らしいです!!✨

アッシュさん鑑賞文

➁ 君の食む柘榴滴る四畳半 鑑賞文

西野圭果さん

何だか「神田川」を思い浮かべてしまうような恋の句に思えました。柘榴の香りやほとばしる果汁で五感を刺激され「四畳半」というところがとても情景が思い浮かんで良かったです。最初は「深夜二時」だったようですが、めろさんの脳内の伊達さんにツッコまれてやめたそうですね🤣ツッコまれて良かったですね😊✨

西野圭果さん鑑賞文

あぷりこっとさん

どことなく昭和レトロな雰囲気を感じます。
「君の食む石榴滴る」でお行儀悪く果汁が垂れてしまうような食べ方が許されてる、二人の若々しさ・親密さを感じます。
そして「四畳半」二人きりの、ここだけの世界。お金はなくても、いまここの愛だけがある。それが、いつか変質してしまうことが予想されて、危うく刹那的な雰囲気があるように思います。
今の恋、先はわからなくて成就しても破れても、このエピソードが強烈な想い出になるんだろうな~なんて感じました。
そのものズバリの言葉を使わなくても、言葉の選び方や組み合わせで想像かきたてられるのが、俳句の凄いところだと思いました。

あぷりこっとさん鑑賞文

すうぷさん

仲秋の季語「柘榴」。思い浮かべるのは、鮮やかな赤色、瑞々しさ、甘酸っぱさ。そのイメージが「君」と重なり、主人公の「四畳半」の部屋に二人きりということを匂わせている。それはそれは情熱的な秋の夜長(深夜2時なんですね!)を想像させる官能的な一句と存じます。
直接的な言葉を使わずに濃密な恋愛を詠んだところに品格を感じました。

すうぷさん鑑賞文

アポロさん

耽美小説のワンシーンを切り取ったような、凄みある作品。
ここに選ばれたひとつひとつの言葉どれが欠けても成立しません。
完成された世界観だと思います。

人、心情(恋心)、動作、物(季語)、色、匂い、音、そして場所。
情報がすべて無理なく一句にまとまっています。
君に夢中なので、四畳半はラストに置かれて正解。
この恋は周りを見る余裕なんてないんだろうなあと思わされました。

俳句は楽しい。この佳句に巡り会えて本当に良かったです。
v(。・ω・。)v

アポロさん鑑賞文


③ かの子忌や公園までの家出かな 鑑賞文

てまりさん

この句の主人公(おそらく主婦)は、日頃鬱々とした思いを抱えていて、家事や子育て、夫からも解放されて、家出をしたいと思っていて、でも勇気が出なくて、岡本かの子に勇気をもらって、かのこ忌に、公園までの家出を決行した、という感じでしょうか。

とても好きな御句です。

てまりさん鑑賞文

はねのあきさん

もしかして公園までしか家出できない自分と比較することで、強い憧れの気持ちを抱いたのかなあ、と思いました。
そこに大きな感情の重心があるから『かの子忌や』で始まるのかも、と。

私はそんなふうに解釈したのですが、てまりさんの解釈も素敵ですね。
かの子忌だったから決行できたんだってところに詩があって好きです。
みなさんの解釈を見ると発見があって楽しいですね!

はねのあきさん鑑賞文

ひらりさん

〇〇忌という季語の扱い方が分からず、どう俳句に取り入れていいかも分からず…の私に、この句はヒントを与えてくれた気がします。
岡本かの子さんは、その当時の女性としてはそうとう奇抜な人生を歩んだ方のようです。

その「かの子忌」を季語に「公園までの家出」と続きます。
自分一人かもしれない、子どもを連れて出ているのかもしれない。
場所が公園であるという事は少なくとも冷静な家出であろうと思えます。
波瀾万丈な人生だった岡本かの子さんの季語、冷静な行動の描写。
その対比が面白いと思いましたし、家出した人も母親という立場なんじゃないかと想像できました。

〇〇忌という季語は苦手意識ゆえにちょっと敬遠していたのですが(^-^;自分の中に繋がりを見つけられたら詠めるかもしれないと思いました。

皆さんの句の中にヒントはたくさんあるんだと改めて感じました。

ひらりさん鑑賞文

橘鶫さん

大変興醒めなことに、私の感覚はまず、「や」「かな」の切れ字ふたつ使いに反応してしまう。
でも、それから改めて句を拝見して、あくまでも初心者感覚ではあるが◯◯忌という季語が、それを許容しているように感じた。
岡本かの子。岡本太郎氏のお母さまだ。随分と破天荒な方であったらしい。
その「かのこ忌」と「ささやかな家出」の取り合わせ。
両方に切れ字を置くことで、かの子さんへの憧れと主人公の背伸びを表現したのかな、と感じた。
両方強調したい要素だ。うまく釣り合っているように思える。

家出、したことないけど、ちょっとしてみたくなった。
この句を憶えておくだけで、「いざという時はプチ家出♪」と思えて気が楽になるかも。

橘鶫さん鑑賞文

紫乃

私、幼い頃に「家出」したことがありました。
確か、幼稚園の年中のときです。
実は常々、そう思っていたことを、ある夏の日に決行しました。

近くの坂の下まで。「行ってはいけない」って言われてた坂の下へ。
既に好きでなかった母への反乱です。
だから「公園までの家出かな」気持ちがわかりすぎて。
もしや、ちえちゃんの実体験かなあ?とも。
もしかしたら、お辛かったときの御句なのかなあ?とも。

炎天下坂の下まで家出する

私が以前詠んだ句です。暗黒時代の句です。
この句を詠んだ少しあと、その坂に行ってみました。
え?これが坂?あの時の坂?
と思えるくらいにささやかな坂でした。
それでも「その頃の私」にとっては、とてつもなく急な坂だっだ。

もしかしたら、あの頃の私は、岡本かの子だったのかもしれませんね。
詠んでくださって本当にありがとうございました。

紫乃鑑賞文


④ 黒鍵に小指を乗せて雨水待つ 鑑賞文

何処ぞのさん

自分がピアノ習っていた頃を思い出すなぁと。お稽古のピアノの音が遠くまで聞こえたとか。
ただピアノが下手な自分は
鍵盤って乗せるより待つ時
添えていた感。

何処ぞのさん鑑賞文

K_maru027さん

ショパンの「黒鍵のエチュード」を思い起こしました。
曲調が明るく華やかで、かつ高難度の曲という関係性が、句全体に散りばめられているな~、と感じた次第です。
曲が始まる前の一瞬の緊張感とワクワク感を、詠んだように解釈できるかもしれませんね。

maruさん鑑賞文

Sazanamiさん

この句を読んだとき、
「メロディーが降りてくるのを待っていらっしゃるのかな」と思いました。

雨水→降る雪が溶けて雨に変わり、積もった雪や氷が溶けて水になる。

と歳時記にあったので、
氷が溶けて水が流れる→自分の内側にあった硬い何かが溶けて、音となり流れてくる。それが、詠み手にとっての「雨水」かな、と勝手に解釈しました。

自分の内側から流れる音をキャッチするために、ピアノの前に座っている。そんな情景が浮かんできました。

ピアノの上に小指を乗せて、フッと力を抜くと、私だけかもしれませんが、自動的に他の指も、鍵盤に乗るんですよね。

なので、「雨水待つ」の下五に、雪解け水がバーっと流れるように、頭のなかに音が流れてくるのを待つ、そしてそれを、ひとつとしてこぼさず、ピアノの鍵盤で「拾っていく」んだ。
という、静かな意志の強さを感じました。

ひと目見て、「音楽をこんなふうに詠めるなんてすごい!」と感動。

Sazanamiさん鑑賞文(改行を何か所か詰め、文末若干切り上げ)

鮎太さん

この句を初めてみた時、最初はピアノを弾きながら雨水を待っていたのかと思いました。しかし、ちゃんと読むと、黒鍵に小指を乗せて、とあるので、ピアノを弾かずにじっと黒鍵に指を乗せたまま、と言うことに気がつきました。

音を出さず、じっと待つ。なぜか。

ピアノを弾いたことがないので、聞いた話になりますが、ピアノはその時々の湿度や気温で音が変わるそうです。小さな変化かもしれません。きっと、この句の中の人物は、自分の出したい音、音色は雨水を待たねば響かせられないと考えているのではないか。それだけ繊細な曲を奏でようとしている。

そう思いました。改めて句を読むと、奥行きがずっと増し、どんな音色を出すのかワクワクしてきました。そんな、希望のこもった句だと自分は解釈してしました。

鮎太さん鑑賞文

中岡はじめさん

「鍵盤に」ではなく「黒鍵に」と表現されたのが、良いなぁと思いました。

これが鍵盤だと、ピアノなのかキーボードなのか、はたまたエレクトーンなのか…
鍵盤楽器の総称となってしまいます。

ですが「黒鍵」と詠まれたことで、ああピアノなんだな、とイメージできるわけです。
もっとも黒鍵は、どの鍵盤楽器にもありますが…
やはりピアノのイメージが強いかな、と思います。

そして、季語が雨水。
これまた素敵な季語を選ばれたなぁ、と思いました。

ようやく、少し暖かくなってくる時候。
雪が雨に変わる頃、ですね。
「待つ」とありますから、実際の「雨水」には今しばらく日にちがありそうですね。

私もピアノを少々やっておりましたが…
冬は指が動かないのです。
手が冷えて、指がガチガチになってしまう。

冷たい指を黒鍵に置いて…
少し暖かくなるのを待つ。
その場面が容易に想像できました。

素敵な一句だと思います♡

中岡はじめさん鑑賞文

ラベンダーさん

黒鍵=楽譜に#や♭がある際に使用するピアノの黒い鍵盤を指すのはご承知の通りですが、さて詠まれた方は半音高い♭なのか半音低い#を譜面に見たのか…。

雨水という儚くも美しい季語を黒鍵に乗せたとき、ふと女性をイメージしました。

彼女がやってくる喜びには♭を
寂しく過ごす気持ちには、#で慰める。

ふとショパンの夜想曲(ノクターン)が浮かびました。

詠み手にしかわからない、その時の心情を句を読むとき…読み手に伝わる句の体温となんとも艶のある御句に惹きつけられた。そんな気持ちに至りました。

ラベンダーさん鑑賞文

華彩りさん

黒鍵も小指も細く華奢で、それに雨水という美しい季語。
句全体が美しさを醸し出しているとまずは思いました。

そして私は何度も何度もピアノを練習して、なかなか上手になっていかない自分をもどかしく思っているのではないかな?と。でも必ずや上手になる時が来るからと信じてピアノに対峙しているのではと感じました。

完全にピアノをしていた自分に重ねた観賞になりました💦

華彩りさん鑑賞文

ゆずさん

雨水という季語の力。
黒鍵に乗せた小指の映像化。
全てが美しい。

色白の細くて長い小指。
今にもピアノの音色が聴こえてきそうな。

ピアノは
グランドピアノ。
楽譜は書き込みが
たくさんしてある、
使い込んだもの。

ゆずさん鑑賞文

よねともさん

人様の御句にあれこれ言う立場に御座いませんが、親指でも人差し指でも無くやはり小指が詩心なんだなと。
じっと、始まりを待つ姿に少々の緊張感があるように私には感じられました。
これからどうなるの?どうなるの?
この心踊らされる感じ、好きです。

よねともさん鑑賞文

のんちゃさん

私はピアノが弾けないのですが、少しだけ練習した事があって、ピアノに憧れがあります。
手が小さく、小指が短いため、
実際には、小指を乗せて待つことが出来ないので、わからないのですが、
啓蟄でもなく、その前の雨水。
まだ寒い春の訪れを待つ季節。
メインの指ではなく、力の入らない小指を乗せることで、
その春を、その時を、静かに優しく待っているのではないでしょうか。半音上がる、奏者の気持ち。春を待っている。
普段は乗せない小指を乗せて。
すみません。ちょっと詩的になってしまいました☺️
静かで優しい句だなと思いました。その後に続くメロディはどんな曲なのかなと思いました。

のんちゃさん鑑賞文


以上です。

鑑賞の御句を詠まれた方々は以下のとおり。
ありがとうございました!


いただいたサポートは、次回「ピリカグランプリ」に充当させていただきます。宜しくお願いいたします。