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型・その4 応用型➁(春鹿・白魚)

季語は、上五か中七・下五〔動詞+「けり」〕
季語との断絶のない、季語に関わっているフレーズ


木立へと春鹿二頭去りにけり

季語:春鹿(三春)


透きとほる白魚かるく茹でにけり

季語:白魚しらうお(初春)



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二句目はレシピ調ですね💦 動詞は難しい。

そして、白魚しらうお素魚しろうおは、似て非なる魚です。


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さて、これにて、型の投稿は終了となりますが、「20週俳句入門」では、型・その4の応用型「けり」と似た切り方に「をり」「なり」「たり」が提示されています。

以下に、その例句と説明を挙げておきます。
(「20週俳句入門」は初心者向けの書なので、別の文法書などには、別の解説もあるかもしれません)

野分あと口のゆるびてねむをり 石田波郷
囀りの下に僧の子遊びをり 角川春樹

をり」は口語でいえば「ゐる」だから、今そのことがそこで行われている、その状態がそのままつづいている、といったことを表すときに用いる。
おおむね穏やかな情趣である。

角川文庫「20週俳句入門」P.244 より抜粋


かりがねのあまりに高く帰るなり 前田普羅
雪催ゆきもよい末の生傷匂ふなり 上田五千石

なり」は口語で「」「である」という断定の意。次の「たり」と同じだが、「たり」とくらべて自然ですんなりしている。
しかし、使い方一つで「たり」よりつよくひびく場合もある。

角川文庫「20週俳句入門」P.244 より抜粋

大寒と敵のごとく対ひたり 富安風生
羅も下きびしくも縛したり 山口青邨

「たり」は「なり」と同じ意だが、この語感から察せられるように、重くつよいひびきがある。
したがって、内容のやわらかいもの、穏やかなものを表現するには、ふさわしくない。

角川文庫「20週俳句入門」P.245 より抜粋


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長々と続きました、型の練習、お疲れさまでした。

今後、自分が詠みたい景、思い、をどう詠めば一番それに近い句になるか、に迷ったら、これまでの型、切字のあれこれを思い出していただくと、「お!これならいけるかも」に繋がるかもしれません。

少なくとも、私自身は、この型と切字をしっかりと学んだことで、以前より俳句を詠むのがより楽しく、まだ不思議なことに「自由」になりました。

最後まで、お付き合い、本当にありがとうございました。


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明日からは、庵さんのお言葉をお借りするなら、フリースタイル!
春の季語を使って自由に詠んでいこうと思います。



お時間がありましたら、詠んでみてください。

「切字」や「型」に拘らず、自由に詠んでくださっても、また、私の使った季語で詠んでくださっても全くかまいません😊

※決してお題(必ず詠む)ではありません。

いただいたサポートは、次回「ピリカグランプリ」に充当させていただきます。宜しくお願いいたします。