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おもうこと

朝の日課に、1㎡+αほどの狭いバルコニーに所狭しと置かれている鉢植えたちへのご機嫌伺いに加えて、数日前から、ぬか床をかき回すことが加わった。
この作業は、私の人生で初めてのものだ。ああ、私もようやくここまでこれたのか、と、不思議な、いや、うっかりと涙腺が緩むような心持ち。

     ・・・・・

私が卒業した高校は、同窓会の組織が大変整っていて、数多くの先輩たちが同窓生のためにご自分たちの深い経験を分けてくださっていて、そのなかのひとつに、カウンセリングルームがある。
私はかつて、自分の精神を自分で維持し続けることがとても厳しい時期があり、そのときにそこの部屋の扉をたたいた。

そこで私を出迎えてくださったのは、私より約20年上の先輩だった。
教員の仕事に就いた後、30歳に差し掛かろうという時期に心機一転、カナダに渡って心理学の勉強をされ、カウンセリングの資格を(私は詳しくないのでそういう言い方しかできない)取られたとのこと。

もうね、知識とか経験とかという狭い範疇をロケットに乗って飛び出しているような(変な表現)、ひととしての底などがないような、それでいて全てまっとうで、話し方も仕草も非常にチャーミングな方。言葉ではどんな表現でも表しきれないような最高なひと。

私の話をひたすらひたすら聞いてくださり、その合間にご自分の意見をさくっと入れる。絶妙。
その先輩、いや、先生が私におっしゃってくださったのが以下。

糸に重りをつけて垂らし、そこに力を加えて揺れる振り子を想像する。
振り子だから、左に振れたら、当然振れただけ右に振れる。
左は苦しいこと、辛いこと、怒り、悲しみ、などの負の領域、
右は楽しいこと、楽なこと、笑い、嬉しさ、などの正の領域、
とするならば、ひとは心が元気なときは無意識のうちにそれを釣り合わせようとするし、自然に釣りあって、無事日々を生きる。
でも、何らかのことで、その釣り合いがとれなくなることは、誰にでもしばしばある。
そういうときは
意識をして釣り合わせるという作業をしなければいけない」。
今のあなたは、めいっぱい負に振り切れてしまっているから、どうにかこうにか、正の方に振ろうと「努力」をする必要があると私は思う。
その方法を一緒に考えていきましょう。

これは、私のなかに素直に流れ込み、納得できた教えだった。

さて、問題は、どうやって振り子を正の方向に少しでも振らせることができるかだった。
先生も様々な提案をしてくださったけれど、その具体的な方法については私は残念ながら実行することができなかった。

例えばとてもありきたりなことでは、
「今日はとても頑張った自分に、大好きなケーキを奮発しよう」
「いまいましいことがあったから、友達と思いっきりバカ話をしよう」
「あ、なんてかわいいぬいぐるみ!ちょっと高いけれど買っちゃおう」
「常々欲しかったピアス、買ってもいいよね?わたし?」
「今日は思いっきりたくさんDVDを借りて、夜どおし観よう」

そんなどれもを私はひとつとしてできなかった。
だってさ、自分のことが大事じゃないし、好きじゃないし、どうなってもいいしさ。

それでも、どうにかこうにか正の方向に振らせないと、私はもっとだめになる。
わかってるよ、わかってるよ、先生。

先生。こうやってここで話せるということは、少しは振り子が正の方向に振れているってこと?
そうだよね?先生。

だから、私は月一回、当時電車に乗ることも一苦労だったけれど、通い続けた。
でも、一年近く経ったあるとき、人混みの池袋の地下鉄乗り換え通路を歩いていたときに、フラッシュバックが起こって、ふるい自分のあの頃に遭遇してしまい、通えなくなった。

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その後、私は私なりにどうにか振り子を振らないと、と思い、ふとしたときに俳句に興味をもった。
「五七五と季語」という超絶制限のある表現に挑むことは、私のなにかを開放させた。

俳句については、また語れるときに書くかもしれない。

あの頃の私の少しだけの救いは、言葉であり、文字であり、想像することであり、表現することであり、書くことであった。

だから、どーなつ。さんの「生きるために『書く』からね」にはいまでも心が鳴くんだ。

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今朝、今日はおもうことを、力を入れずに、楽な気持ちで表現しようと思った。だから書いてみたけれど、あらまあ、こんな感じになってしまった。

でも今日は手直しを入れないことにする。
いいじゃん、そんなことがあっても。ね、私。

タイトル画像のピンクの花は、昨年「一年草」として理解して購入した、サントリーのミリオンベル・ピンクだ。

なんとなんと、こんなに咲いて、まだこんなに蕾がついている。

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植物たちが、元気でいてくれること。
これは、もしや私のお世話の方法が間違ってはいないということ、と理解してもいいのかな。
私の生き方や、やっていることが間違ってはいないということなのかな?

きっとそうだよね?

やっとこさ、自分に少し自信がもてるようになったかもしれない。

振り子は正の方向に振れているかな?先生。

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今日は、私の大嫌いな「母の日」
(すみません、大切な日の方々が多いのに。
 ほんとごめん)

でも今は夫が一緒にいてくれるから、もう私は大丈夫。

     ・・・・・ end ・・・・・

タイトル画像:サントリー ミリオンベル・ピンクが今年も咲きました。

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