俳句の鑑賞⑲
季語:雪催(三冬・天文)
雪雲が垂れこめる空模様。雪国でしたら、またこれから雪が降り続くのか、と少々気が重くもなります。
すでに降り積もった雪もそこそこあって、雪下ろしの雪が家の周りに高く積まれているのかもしれません。
そんな銀鼠と白色の外の世界から、家の中に目を向ければ、七輪の火の上に一切れの魚がのっているのです。
独り暮らしのつつましやかな生活を垣間見ることができます。
色の対比もまた美しい御句であります。
季語:夜桜(晩春・植物)
夜の公園にあるぶらんこ。
そのぶらんこに座ってみます。恐らく何かあったに違いありません。触れたぶらんこの鎖のつめたさに、はっと驚き、その冷たさが手から心に沁みてゆきます。そして、少し高揚していた気持ちが、すんと落ち着きを取り戻しました。
ふと周りを見回せば、桜。さぞかし、その夜桜に心が洗われたことでしょう。
季語:雪原(三冬・地理)
真っ白な雪原に残された、幾筋もの足跡。恐らく、動物のものであり、くっきりとした新しいものに違いありません。
その足跡は、手前から向こうに向かって続いていて、自分から逃げ走っているように見えるというのです。
何匹もの雪兎が見えるようでもあります。
季語:春近し(晩冬・時候)
拝見したとたん、「らららとうごく」に心が奪われました。
ああ、鳥の舌って、確かに「ららら」と動きます!その観察眼と、表現、きれっきれです(笑)
春が近づき、その喜びが、鳥にも作者にも溢れています。
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「南風」村上主宰と津川顧問句集の「俳句鑑賞」の経緯はこちらの記事に。
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