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私の「渾身一句」


ないてないてないて仰げば鱗雲



【俳号:卯月紫乃】
【季語:鱗雲 三秋】
ないてないてないてあおげばうろこぐも


     ・・・・・

この句を詠んだのは、2015年だったと思う。

私のこころの叫び、からの句。
私の俳句は、ここから始まったのだ。

元来の攻撃的な精神気質と認知症、長年に及ぶ何種類もの身体的病気、大正生まれのそんな実母の、自宅介護からの、入院、施設入所。
病院での暴れと、最後の最後までの「家に帰せ」の叫び。

度重なる市役所での種々手続きの、ある日、
私は、市役所を出、自転車のペダルに足をかけたとき、ふと空を眺めた。
色づいた木々の上に広がっていたあまりにも青い空と、白い鱗雲。

「ああ、これほどまでに美しい空が、本当はあるんだ」と思った瞬間、涙がとめどなくとめどなく流れた。

行き交うひとが私を眺める。
どうでもよかった。
ただただ流れる涙。
いったい私という人間は、本当の私は、どこにいるんだろう?って思った。
八方塞、出口の見えないトンネル、絶体絶命。
それでも、まだ私には「美しい」を感じる心が残っていたのか、とも。


この涙の数年後、私は自分の心を崩した。
そして「あの日を想った」この句が、私から溢れ出した。

先日、白センセとのやり取りで、
「私の句は、詠みたい、から始まったのです。
ですから、俳句の基本ルールの言葉(有季定型・三段切れなど)をちゃんと知ったのは昨年の夏からです。
俳句のルールは実は私にはあってないようなものなのです」
ということを申し上げた。

そう、私は、俳句で「自分を溢れさせている」のだ。

今は、俳句幼稚園で、たまに小難しいことを言ったりもしているけれど、本当の私はそんなにややこしくない(笑)

そして、私は、まだまだな俳句しか詠めていなくて、たまにアポロンに怒られたりもするけれど、それでも、私は皆に伝えたい。

俳句は心を救ってくれるよ!
だから詠もうよ!
思ったように詠もうよ!


私は「俳句幼稚園」で、それぞれの方が「自分自身を俳句で表現」することができるように、ほんのちょっとだけ私が知っていることをお伝えしたいな、と思っています。
これからも、それを続けていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。


     ・・・・・

ラベンダーさんの初めての企画に参加します。

素晴らしいこの企画のお陰で、私は「私にとっての俳句」を今一度考えることができました。
心からありがとう💜


    ・・・・・ end ・・・・・

タイトル画像:北海道「チキウ岬」からの空

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