▶︎Rainy blue【#曲からチャレンジ】
あの頃は、金曜日になるのが待ち遠しかった。仕事を終え一目散に会社を出た私は、すぐに交差点近くの電話ボックスへと足を踏み入れる。何度も繰り返し押すうちに、すっかり覚えてしまった数字の羅列は、頭の中にメロディのように刻まれていった。
彼が電話に出ないときは、交差点から歩いて10分ほど先にある喫茶店で時間を潰した。仕事を終えた彼が喫茶店に現れるまで、私はただひたすらに彼だけを待ち続けた。
晴れた日には、電車で一駅のところにあるアパートまでの道のりを2人で並んで歩いた。梅雨の時期