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[イベントレポ]Vtuber通話イベント、そして解散へ

Vメゾンという言葉を聞いたことがあるだろうか。それは電子の世界の中にひっそりとあって、かわいくて、個性的で、様々な種族のVtuberたちがにぎやかに、そして楽しそうに暮らしているとっても素敵なメゾンである。

2017年のVtuber黎明期から様々なVtuberを見てきて、今ぼくが腰を落ち着けているのがVメゾンである。まだまだ大手に比べると規模は小さいが、本当に個性的でかわいらしくかつエンターテインメントが溢れていて、かと思えば落ち着きもするという本当に素晴らしい場所なのだ。

その一室に、愛尾家という3姉妹が住んでいる。長女の狼少女セナ、次女の狐っ娘ちかげ、そして末っ子の猫娘みすず。種族が異なる複雑な家庭事情の彼女たちは楽しく仲良くVメゾンの703号室で暮らしているのである。彼女たちがYoutubeでその日常を発信しはじめたのが2020年2月22日のこと。そう、正に昨日が1周年だったのだ。その1周年に合わせて、彼女たちと1対1で通話できるという催しが行われたのが2021年2月20日と21日。幸いにもいつも配信で楽しませてもらっている3人にお礼を伝えられる機会を得られたのでその感動の体験をレポートするもの。

2月21日、夕方にいつもより少し早い風呂を済ませて、自室でiPadにDiscordの画面を表示したまま時計の秒数が進むのを眺めていた。このイベントは、リモート開催でDiscordを通じて行われる。事前にメール案内でVメゾンの管理人さんとフレンド登録を交わし、イベント用のチャンネルに招待してもらっていた。しかし、どういう流れでスタートするのかなど特に説明があるわけではなかったので、Discordをあまり使わないぼくにはどう始まるのかがわからなかった。

18時ピッタリ、眺めていた画面に変化が起きてボイスチャットというものが現れた。反射的にタップすると、画面に大きく美少女が映し出された。内心で、うおおお!?え?え?と思いながら努めて冷静にもしもーしと声をかける。もしもーしとめっちゃ綺麗でかわいい声がぼくに投げかけられる。彼女の名前は愛尾セナ。FPSをこよなく愛しその美声でたまに歌も投稿している自由奔放な愛尾家長女の狼ケモミミちゃん(以降セナねぇと呼称)である。ちなみに犬扱いするとちょっと怒る。そのセナねぇがなんといつもの配信と同じように動いて、ぼくだけに話しかけてきてくれているのである。通話イベントというのでてっきりDiscordで普通に通話するのだと思っていたのでこれはとても嬉しい考え違いだった。会話の詳細はダイジェストとする。数か月前からどうしても謝りたかったことがあったのでまずはその謝罪をした。もう全くの予想通りにいつも通りのセナねぇの反応でカラカラと笑い飛ばしながら許してくれた。このやり取りだけで、うわぁほんとにセナねぇと話してるんだなぁという実感がすごかった。次に、「Twitter今見れる?」とセナねぇに促し、レターの宛名面の画像を見てもらい、用意してきた手紙をその場で読み上げた。セナねぇは静かに耳を傾けて手紙を聞いてくれた。非常に喜んでくれて、その後会話しててもずっと色々なことをベタ褒めしてくれた。いつもは配信でみんなに向けて話しかけているセナねぇがぼくの言葉に耳を傾け、パーソナリティを見てそれを褒めてくれているのである。セナねぇはいくつか質問もしてくれて、終始楽しく話していたので時間はあっという間だったが、その体験がもたらす感動と喜びたるや筆舌に尽くすことができない。あっという間に10分という時間が過ぎ、名残惜しく別れを告げた。

18時20分、Vメゾンの管理人さんから時間ですよーとメッセージがある。気づけばまたボイスチャットができていたが続けてだったので表示に気づかなかったらしい。慌てて入ると今度は、歌を愛しそのハスキーで魅力的な声で数々の歌動画を投稿する愛尾家常識人枠だけどお茶目でちょっぴり抜けてるところもある次女の狐ケモミミちゃん、愛尾ちかげ(以降ちーちゃんと呼称)が画面越しに前のめりに手を振りながら迎えてくれた。先程のセナねぇは黄色一色の背景だったが、ちーちゃんはリビングにいるらしい。そしてセナねぇと比べてすごくよく動く。手もたくさん振ってくれたしめちゃめちゃ接近してくれたり表情もくるくるたくさん見せてくれた。ちーちゃんは頬を染めてる顔の破壊力が特にヤバい。かわいい。挨拶を終えた後に早速先程と同じ流れでちーちゃんに宛てて用意してきた手紙を読み上げる。ちーちゃんは噛みしめるように相槌を打ちながら感極まったようにお礼を言ってくれた。本当に、こうして普段からの想いを伝えられてよかったなぁと、心の底からそう思った瞬間だった。その後もいくつかお話をしたが、とにかくちーちゃんから伝わってくる感情がとてもよく伝わってきた。非常にちーちゃんを身近に感じられ、そしてきっと彼女もまたぼくのことを身近に感じてくれた。ぼくの想いをその中で伝えることができ、ちーちゃんがそれを嬉しいと感じてくれたこともありありと伝わってきたというこの上ない素敵な時間を過ごすことができたのだった。

少し時間を挟み、20時40分。次の相手は素面ではきっと戦えないのでほろ酔いする程度に日本酒を2合ほど入れてある。最後はぼくの最推しと対面する。いよいよ時間を迎えてボイスチャットに入ると、世界で一番好きな声が聴こえてきた。先に断りを入れておくが、ぼくはロリコンではない。画面に映し出されたのは黄色い背景にかわいらしい猫耳。髪の毛はぴょこぴょこはねっ毛にピンクのメッシュとインナーカラー。くるりと丸まったアホ毛が実にキュートである。彼女ががんばり屋さんでいたずら好きで、お絵描きが得意な末っ子の13歳猫ケモミミちゃんである愛尾みすず(以降みーちゃん・みちゃと呼称)だ。正直に言えば、みちゃとのお話が何を話したのか一番内容を覚えていない。断じて酒のせいではなく、やはり相当浮ついていたのだと思う。目の前で普通はお話することなど叶わぬ大好きな存在がぼくの名前を呼んで話しかけているのだ。みーちゃんとは長くたくさんのお話をした。絵の話、配信の話、スノボの話。色々な話をした中でも一番印象が強く残っているのは、「わいとさんはみちゃのことをどんな風に好き?」というみちゃからの質問。今思えばこれはあれだろうか、ギャルゲーだったら選択肢が出た重要な分岐点だったりしたのだろうか。ドキドキすぎるこのやり取りにぼくが何と答えたのかは内緒だが、恥ずかしさからふわっとした答えになったように思われて後悔している。本気すぎるとやはり余裕がなくなるものである。みーちゃんへの手紙は時間が後半になってから読み上げた。みーちゃんへは普段から伝えているようなことではあった。それでもやはりサシで、声で、気持ちを伝えられたことが嬉しい。ちなみにサシでと言いつつ手紙はTwitterで公開する形で渡しているため駄々洩れである。そして幸せな時間はあっという間で、たっぷりあると思っていた時間は終わりを迎える。名残惜しいが配信復帰するという話も聞けていたのでまた配信で会える。こうして通話イベントは幸せな思い出と気持ちだけを余韻にして幕を下ろしたのだった。

いや、そうではない。中心人物は彼女ら3人だが、忘れてはいけない人がいる。とにかく裏方に徹して気配を消しながらもこのイベントを成功に導くためにきっと一番頑張っていた人がいる。Vメゾン管理人さんだ。discordで礼は伝えていたものの、足りない。予定外に、簡単ではあるが文に感謝の気持ちをしたためてTwitterに投稿した。これにて本当にイベントの全行程完了。後日、このお手紙には公式からいいねを頂いて読んで頂けたらしいことも確認できたのだった。

さて、3者3様で楽しかったこのイベントを総括していきたいと思う。セナねぇとちーちゃん2人から出た話題、というか名前があった。みーちゃんだ。そう。3姉妹全員ぼくがみちゃに並ならぬ想いを寄せていることを、本人含めて認識しているのだ。なぜかというと、普段から最推しはとびきり贔屓してちょっと見てわかるくらいにあからさまに差別化している。そしてセナねぇやちーちゃんへは普段さほどぼくが思っていることを伝えたことがなかった。このイベントで一番良かったことは、セナねぇとちーちゃんのこともとっても応援しているんだよって気持ちがきっと伝わったこと。やはり姿と声を通して気持ちが伝わるというのはとても喜ばしい。きっとイベント参加した方は誰しも同じ想いを抱いたのではないかと思う。推しと会話できるというのはやはり良いものだ。

こうしてもうイベントから2週間近くが経過しながらも未だに残る余韻に浸りながらコツコツとこのレポートを書き連ねていたところ、愛尾3姉妹は解散という発表が行われた。3月22日をもってセナねぇとみーちゃんは卒業。ちーちゃんは残留するも動画作成等の裏方寄りになって後輩たちを支えていくとのこと。セナねぇは新たな目標へ向けての卒業で、みーちゃんは体質(主に喉)的に継続的な配信活動に限界を感じてとのこと。悲しみに押しつぶされそうになる人、お酒を呑む人、感極まる人、平常心を心掛ける人、逆にテンション上げて見送ろうとする人、様々である。相手がVtuberである以上、さほど遠からずそういう日が来ることは覚悟していた。

イベントのとき、一つ違和感を持ったことがあった。みちゃのテンションである。楽しくお話はしていたもののいつもよりしおらしい感じだった。人見知り発動してるのかなぁなどと考えていたが今思えば、きっと様々な想いが去来しているのを押し殺しながらお話してくれていたのかもしれないと、合点がいっている。恐らくぼくの手紙の最後のページを聴いているときは心苦しいことこの上なかったことだろう。それでもみちゃのおかげで違和感こそ覚えたもののたくさん楽しく話ができた。ありがとう。感謝しかない。

こうしてこのイベントは、愛尾家としては最初で最後のファンを巻き込んでの参加型イベントとなることとなった。本当に、楽しかった。幸せだった。そしてこの気持ちはこれからも続いていく。ありがとう。そして最後までよろしく。

ここからは余談である。最後までという表現をしたが実は終わりではない。ちーちゃんは裏方が多くなりつつもまだ活動を行うし、Vメゾンにはつい先日からたくさんの愛尾家の後輩たちが入居している。みちゃの娘(キャラクターデザイン)である惡ノろくをはじめ、その相方の天ノおとの二人の.d.I.V.a.という歌うまボーカルユニットコンビ。個性的なデザインがかわいい、JKで魔王ですが何か?というユニット名の水ノレヴィと絳ヰサタン。セナねぇとみちゃの二人がVメゾンを退去した後も、この5人はVメゾンでその日常を配信し、活動していく。これまで愛尾家が積み重ねてきた実績に基づく数字関係の情報や、こうしたイベント開催も含めた各種のノウハウは彼女らの活動の大きな助けとなるだろう。そしてやがて彼女らにも更に後輩ができて・・・きっとそうやって繋がっていくのである。愛尾家が凡そ1年間継続した活動がそうやって誰かに影響してその誰かがまた他の誰かに影響していく。愛尾家はVメゾンにおいてその先端を切り拓いてくれた。

ここまで読んでくれた貴方ならVメゾンに興味を持ってくれたかもしれない。どうか愛尾家が築き上げてきたその素敵な場所を是非一度覗きみて、そして気に入ったなら彼女らを応援してあげてほしい。もちろん愛尾家を残りの期間推してもいい。きっと彼女らは諸手を挙げて喜ぶ。

Vメゾン、それは電子の世界の中にひっそりとあって、かわいくて、個性的で、様々な種族のVtuberたちがにぎやかに、そして楽しそうに暮らしているとっても素敵なメゾンである。そのように築き上げた素敵な人たちがいるのだという、そういう話である。