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依存 嗜癖 中毒 乱用

「依存は良い」そして「依存は悪い」


依存症をめぐって言葉は錯綜している。

乱用(abuse):ある物質の誤った過剰な使い方というニュアンス。薬物乱用とは言うがアルコール乱用とはあまり言わない。

中毒(poisoning, intoxation):アルコール中毒とかゲーム中毒とか言が、もともとは害のある物質の摂取とその影響について言う言葉である。ガス中毒とか食中毒とか。

嗜癖(addiction):これが「依存症」の実態に近い言葉ではないか。「常用」に近いがネガティブなニュアンスがある。死語になりつつあるが「耽溺」が近いかもしれない。欲望や執着という側面がある。嗜癖(依存症)の3パターンとして物質(アルコール、薬物など)、行動(ギャンブル、性など)、人間関係があるという。

依存(dependency):この言葉は依存症について最も多く、また広く使われる。アルコール依存、ギャンブル依存、共依存など。しかし、DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)などでは「依存」の言葉はあえて使われず、物質使用障害などの表現になっている。「依存」という言葉の特徴はネガティブな意味と、自然であたりまえの意味の両側面があると言う事である。つまり「彼は薬物に依存している」という場合と「乳児は養育者に依存している」という場合ではニュアンスが違う。だから、依存は良いことでもあるし悪いことでもあるのだ。

良いことでも悪いことでもある依存、という表現には依存症の特徴が表現されているように思う。人間にとって自然な出来事である仕事、性、食事も依存の対象になるのである。仕事依存(ワーカホリック)、性依存、食物依存(摂食障害)である。

依存の反対は独立(independence)であり、回復ではない。人は依存からはじまり、自立して、また依存(老後生活)に至る。いったん自立したかのように思えてもいつまた依存せざるを得なくなるかわからない。そんな人間の危うさがこの言葉の前提にあるのかもしれない。

ここまで考えると退行(regression:子ども還り)という言葉が連想される。退行にもポジティブな側面とネガティブな側面がある。芸術家や恋人たちの退行はポジティブな側面である。酔っ払いの過度に子供じみた言動はいただけない。

適度に依存できる(頼り、助けを求められる)、適度に退行できる(遊べる、甘えられる)ことがむしろ自立なのかもしれない。

9月の飲酒カレンダー 

9月10日からはじめた飲酒カレンダーとこの日記ですが、そこそこ適酒できました。こんなに飲まない日が多いのは何十年ぶりでしょう。カレンダーをつけていること、みなさんに見ていただいている(と思っている)ことに助けられております。感謝しております。これからも助けてください。

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