2019年の参議院選挙のことと、その後のこと
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noteという媒体に文章を残すのはあまり好きではないし、このnoteと紐づけているtwitterアカウントなどは運用を停止したのだけれど、少しでも名前と顔が知れている名義で書き残す方がいいのではないかと思ってこの場を借りています。
この文章をお読みの方で、「自分が応援しているアーティストのメンバーが、突然グループから脱退して国政選挙に出る」経験をした方はいますでしょうか。私がその経験をしたうちのひとりです。
本人が当時のことを語った記事が出たようなので、こちらも当時のこととその後のことを語らねば割に合わないと思って記事を書いています。
なお、グループ名や政党名は直接的に記述していません。
2019年4月、脱退当時は、
・脱退発表は電撃的に行われた(卒業ライブなどはなかった)。メンバー全員がファンに向けてそろった最後のライブは、脱退発表する約半年前
・グループとしてのファンに向けた活動は、年1回のライブと事務所ファンクラブ(税抜月300円)に毎月5分前後の動画が1本と、だいぶ不定期なメルマガ
(メンバーそれぞれの活動と、非公開での活動はしていた)
という状況でした。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/307883
本人の記事が出て、まず思ったのは「こっちも大変だったんだよ」ということ。前回の参院選当日に書き残した文章があったので、そのまま持ってきますね。(以下引用枠内の文章は初出です)
こちらは正直きつくて辛かったです。
4月半ばに脱退発表があって、ほんとうにまるっと3か月。
外野からは「タレント議員(候補)」と言われ、内野はきれいに散り散りになり。
私はそんな風に背中を押したんじゃなかった。そんな景色が見たいんじゃなかった。とにかく本当に辛かった。自分はこんなに厭な人間だったのかって思うほどに自分を責めてしまった。でも、言えなかった。
今回出馬した党には幸か不幸か"タレント議員(候補)"が何人か並んでしまったわけで、まあ前職は"元"と表記するしかないんだけど、この"元"の重さが質として明らかに違うわけで。
卒業した人とか、引退した人とかの"元"じゃないんですよ。どっちかっていうと"前職"の方が正しいんですよ……たとえ開店休業状態だったとしても、きちんと所属していて、"出馬するために抜けた"人間なんですよ。すごくセンシティブなことをいうようだけど。
6月に立て続けに会見があった時の嫌な感情を覚えている。こっちは2か月前に身を切るような辛い思いをして、それでもなんとか見送って、ようやく気持ちの整理がつくかつかないかって時にそんなことがあって、きっと「タレント候補のうちのひとり」として見られてしまうんだろうなあと思った。
掲げる公約は嫌なくらいにしっかりしていた。昔から子どもが好きで、一旦活動休止した後は防災士の資格取って、働きながら保育士免許取って、現役の保育士としても活動してて、大学院にも通って。忙しい中でもグループでライブに出てみたり、ツーマンやソロのライブもやったり、お天気のイベントに参加したり、全部知ってる。
"保育をよくするためには、政治家になるしかなかったんです。"
そんな人にとって、こんな言葉はどういう風に"刺さる"と思う?
あとは本人のtwitter。
普段からどこに行ってるかよくわかんなくて、「生存報告かな~」くらいにのんびり見てたのが、ある日いきなり保育関連とか、エゴサで見つけたどうでもいいような人の「応援してます」ツイートが並ぶようになって。
しまいには赤の他人が作った非公式のメンバーの発言botまでタイムラインに流れてきたときは、思わず身の危険を感じた。
彼の身内にエゴサの鬼がいるのは知ってるんですよ。でもなぜそういう一番敏感なことを言わないのか。「そこまでやるとは思わなかった」が主たる要因でしょうけど。まあそれはさておき。
保育関連のツイートも、まあバズがあったり、最近のツイートならまあわかる。でも、よくわからない昔のツイートを引っ張り出して、それに反応してるのを見て、ツイート主もあなたのフォロワーも幸せになると思う?
ここ数年の活動を見てきた人が、「久しぶりにみたら政治家になってる!応援します!」みたいなツイートが確保されてるのをみて、どんな思いをすると思う?
個人的にいちばんつらかったのは、当時中高生だった人が今母親になって、「昔好きでした。自分も子どもを育ててるから応援します!」ってやつ。ねえ、これだけでいくつ地雷を踏んでると思ってる?
一時期やってた引用RTの連投もひたすらに悪手でしかなかった。公式RTは自分のタイムラインに載せないことができるけど、引用RTはそれやってても乗っかってくるもん。
あと、あなたが作詞なり作曲なりした曲を引っ張ってきたり、特番にかこつけて宣伝するのはほんとうにどうなの。「音楽と政治は別の話だから」って送り出したし送り出されたんだよね?
(非公式な動画のアドレスを流してたりもしてたので、ぶっちゃけ事務所のSNS教育はいまひとつだと思ってるけど、それはまた別の話)
個人として出馬を応援する人、疲弊して離れていく人、久しぶりに戻ってきた人。色んな人が本人の"エゴサーチ"によって、皮肉にも可視化されてしまった3か月だった。
私はエゴサしてるのを逆手にとって、ことあるごとに愚痴り続けていた。本人のいないところで悪口を言っているようなものだから、いつから自分はこんなに性格が悪くなってしまったのだろうと思った。それが辛かった。
そりゃアーティストのファンなんて一枚岩でいかない人ばっかりだけど、
twitterが発展してない時期にガッと世の中を駆け抜けていった人たち張本人に、今こういう形で辛い思いをさせられるとは思わなかった。
しかもうち、メンバーが抜けるのはじめてのことじゃないんですよ。
2回が2回ともほぼ同じように、文章で挨拶してスッと抜けていく。「今回は脱退した日付がわかるからまだマシかな~」なんてレベル。
4人で立つステージはまだないのが幸いなんだろうか。こんだけ嫌な気持ちになって、けろっとしてグループのライブが見られるんだろうか。
さて、それから3年経って。
・twitterは直ってくれた。「SNS・宣伝をちゃんとした方がいいよ」という伝言ゲームを、どこかで誰かが間違えたのかもしれない。もしくはその言葉の主語は、残された4人の側に向くものだったのかもしれない。
・脱退元のグループの活動(配信・有観客問わないライブ)はめちゃくちゃ増えた。新しいCDと配信音源とDVDとグッズが、5人で活動していた時からすると信じられないくらいどさっと増えた。活動の増加に伴ってメルマガも増えた。積極的なファン層も入れ替わった(「4人+サポート2人」の状態がグループのデフォルト、という人がそこそこ多くなった)。グループの活動はすごく楽しんで見られている。(初のブルーノート東京公演もできた)
→グループの活動が増えるなら、もっと早く4人になってもよかったんじゃないか、と思ってしまった。ただ、これは世の中の情勢もあるし、グループが周年記念を迎えたから動かそう、みたいな時期でもあっただろうし、結果論だろうからあまり強くは言えない。ただ、4人+サポート2人の編成になってから、グループは「まとまった」なあとは思っている。
・先ほども少し触れたけど、脱退元のグループは昨年末にデビュー20周年を迎えた。それを機会に、自分の手持ちの雑誌やインタビューを振り返ったり、動画を改めて見たりしていた。そうしたら、彼の「この時は楽しくなかったんだな」「この仕事やるの嫌だったんだな」という感情が、それらから透けて見えてしまった。
→そういう気持ちは否定しない。ただ、人前でなにかしらのスキルを披露することを生業としていた人間が、当時の活動を後から振り返って、そういう気持ちを匂わせるのはよくないと思う。特に辛かったのは、今でもある程度脱退元のグループの活動の下敷きになっている、エンターテインメント性が強い番組が始まる時に彼が猛反対していた、という記述だった。そのインタビューを読み返した時に、遅かれ早かれ彼は脱退したんだろうな、と思った。
あと、脱退元のグループは活動を休止していた時期がある。その時も、今回彼が抜けたのと同じように、だいぶ急な報せだったよなあ、と振り返って思った。(実際に1名はその後のソロプロジェクト開始が数か月遅れた(2011年3月前後、という時勢状況もあったかもしれないが)。そのメンバーがソロをやりたくてグループの活動を止めたと世間的には思われているっぽい。でも、色々なものを振り返っていたら、どうにもその解釈を、少なくとも私は怪しく感じ始めている。そういえば脱退した彼は、活動休止前後の時期に顔面麻痺を発症していた)
・脱退発表前日に、脱退元のグループ2人が属する別グループのライブがあった。その時に2人がこのことをなにも言わなかったことは、今でも本当に偉いと思っている。(ので何度も触れたい)
・同時期に彼と出馬元が同じ政党が擁立した、いわゆる「タレント候補」だった議員のニュースがあった。虚しいような、悔しいような気持ちになった。彼の方が立候補したのは遅いのに、彼だけが当選して、その後離党した。党の政策云々の前に、該当する政党への印象が強烈に悪い。
・脱退した本人にも、彼を擁立した党にも、「色んな人の色んな気持ちを踏みにじってるんじゃないよ」とは未だに思っている。
3年経って思うこと、こちらは以上です。
2回続けて参院選当日に筆を取ることになるとは思いませんでした。(念のため投票時間終了後の公開です)
脱退元のグループは、メンバーは、楽しく元気にやっています。
追記)
6年ほどやっていたブログ、閉鎖しています
ブログ閉鎖に伴うご挨拶
ここから下にはなにもありません。
お読み頂きありがとうございました。
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