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喫茶店めぐり#2

2.ゆっくりとした時間の流れるカレーカフェ

 昨日は通いたくなるような純喫茶に行った。
『喫茶店のモーニング』に味をしめた私は、今日も朝から出掛けることにした。
 目星をつけた自家焙煎珈琲の老舗喫茶店。
 開店時間の9時過ぎに到着したが、狭いアーケード街にあるビルの入口には、シャッターが閉まっていた。
 このご時世なので、休業か、営業時間を短縮しているのか。
 シャッターには貼り紙も何もない。
 お店の公式HPやSNSもないため詳細はわからなかった。
 看板はそのままなので、閉店ではないことを願い、また出直すことにした。
 この喫茶店はケーキセットがおすすめらしい。
 今度はおやつの時間に覗いてみようと思った。

 当てが外れた。
 朝から何も食べておらず腹ペコの私は、この後どうするか悩んだ。
 喫茶店は他にもピックアップしているが、ほとんどが11時開店だ。
 また昨日の喫茶店に行こうか。
 迷ったが、今日はお昼からカレーとコーヒーのお店に行こうと気持ちを切り替えて、喫茶店での朝食は諦めて帰ることにした。

 喫茶店での朝食は諦めたものの、口はモーニングの口になっている。
 美味しいコーヒーは淹れられないけど、ティーバックの紅茶と、鮭フレークを乗せたチーズトースト、ヨーグルトにグラノーラをかけてテーブルに並べれば、ちょっとモーニングっぽい気持ちを味わえた。

 朝食の後、プライムビデオで『映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城』を観終わると、お昼にちょうどいい時間になっていて、カレーとコーヒーのお店に向かった。

 店先は何度か通ったことがあった。
 カラフルなペンキの手書きの看板は愛嬌があって、海の家っぽい雰囲気がある。
 外からは小さなお店に思えたが、中は意外と広々していて、テーブル席が5席ほどあった。
 隅のテーブルに着いて、こっそり店内を見渡した。
 大きな窓から光が差してくる。
 木製のテーブルや椅子のあたたかみのある空間の中で、壁一面に飾られたレコード盤のカバーが一際目を引いた。

 カレーとコーヒーのお店だが、今日はカレーだけ注文した。
 ミニサラダと漬物のついた750円のエッグカレー。
 カレーを待つ間、店内に流れる山下達郎のラジオに耳をすませていた。
 時折、厨房からお店のご夫婦の話し声がかすかに聞こえてきて、仲のよさそうな雰囲気が伝わってくる。
 お客さんは私一人だった。
 騒がしいのは苦手なので、かえって落ち着く。
 居眠りでもしてしまいそうな、心地いい空間に時間がゆっくり流れている感じがした。

 しばらくして、食欲をそそるスパイシーな香りを漂わせて、エッグカレーが運ばれてきた。
 メニューに〈生ウコンがベース〉と書いてあったけど、これがウコンの香りだろうか。
 カレールウの上には、卵を2~3個使っていそうな大きな(厚めの?)薄焼き玉子が乗っていた。
 カレーはスパイシーで美味しい。
 ごはんは押麦入りの五穀ごはんで、食感が楽しかった。
 付け合わせの漬け物は、らっきょうだった。
 実は、らっきょうは食わず嫌いだ。
 母親はらっきょうが大好きでよく食べていたが、そのにおいがとても苦手だった。
 でも、スパイシーなカレーの香りのせいか、らっきょうのにおいはあまり気にならず、量も2粒だけだったので食べてみた。
 初めて食べたらっきょうの味は、なんだかよくわからなかったけど、酸っぱくて、漬け物だしそうか、という感じだった。

 熱々のカレーをゆっくり食べ終えると、カレー皿には店名が書いてあった。
 少し歪んだ手焼きっぽいカレー皿は味があって、とてもよい感じだった。
 卓上ポップの『手搾りたんかんジュース』にも心惹かれたが、家には頂き物のたんかんが残っていたので我慢して、会計をした。
 レジ前にはポストカードなどもあった。
 また今度来たときには、注文の品を待つ間に見てみようと思った。

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