好き

下手なりに丁寧な字が好きだから君のイタズラ書きが消せない

納豆を思いきりよく混ぜている美味しい笑顔込みで好きです

道端の桜に気づく人だからやっぱり君を好きになりたい

好きなのは等身大のきみだから林檎の皮は千切れてもいい

ジェラートを決めかねている横顔が好きだと思うキャラメルハニー

魔法から覚めてもきみと目が合えばきみを好きだと思うはずだよ

タイトルを知らないままで眺めてる映画みたいにあなたが好きだ

梅雨生まれだからわたしは雨が好きと思えるように紫陽花を見る

伸ばしたらいいんじゃないって言われたらもう伸ばせないほど好きだった

好きなものを好きじゃないっていう嘘がグラスの底に沈んでいった

なり損ないの大人のままで好きな人に好きと言えずにゆく河川敷

寒がりのくせにわたしの冷えた手を握ってくれるあなたが好きよ

諦めた想いをすべて振り出しに戻すあなたの微笑みが好き

はじめから心臓は射抜かれていて後付けみたく増えていく好き

唇を震わせながら「すき」と言う こぼれるように咲くかすみ草

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