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私は信州出身という事もあり、蕎麦が大好物です。

子供の頃から、蕎麦は沢山食べてきました。

親戚があつまると、蕎麦は必ず食卓に出されていました。

母が作る乾麺の蕎麦はとても美味しく、どれだけ食べても飽きませんでした。

母から聞かされたことがあります。

それは、母のおばあちゃんが作る蕎麦は本当に美味しかったのだそうです。

蕎麦は、温度や湿気を嫌います。

だから、蕎麦を打つ直前に蕎麦を粉に引くのがいいのだそうです。

おばあちゃんは石臼を使い、蕎麦を引いていたそうです。

そのおばあちゃんのお手伝いをしていたのが、私の母のすぐ下の弟さんで、小さい手で、ゆっくりと石臼を回して蕎麦を粉に引いていくのだそうです。

それはそれは、ゆっくりと石臼を回し、決して熱が蕎麦に伝わらない様にしていたそうです。

そして、蕎麦を打つ時は、風が当たらない様にしていたそうです

蕎麦は、風にあたると、乾燥してしまい、風味が失われてしまうそうなのです。

そして、蕎麦は十割が当たり前。

熱湯を使い、蕎麦を作っていくそうで、それはそれは、柔らかいけどしっかりとした蕎麦で、その蕎麦を食べる時、だれも顔をあげず、ただひたすら蕎麦を口に運ぶのだそうです。


私は、その蕎麦の話を聞くたびに、一度食べてみたいなと思っていました。


そのおばあちゃんは、はるか昔に亡くなっており、私がその蕎麦を食べる事は絶対ないと思っていたのです。

しかし、その蕎麦に、私は埼玉で出会う事ができたのです。

それは、今から15年くらい前だったでしょうか。

私は当時、埼玉の地域メルマガを発行するサポートの仕事をしていたのです。

そして、そのメルマガに、埼玉にとても美味しいお蕎麦屋さんがあると書いてあったのです。

私はその蕎麦の事が気になりながらもなかなか行けない日が続いていました。

そんなある日、妻とその蕎麦を食べに行こうという話になったのです。

私は、その住所をたよりにそのお蕎麦屋さんを探し、住宅地の中を車を走らせていました。

そして、ついにそのお蕎麦屋さんを見つける事ができたのです。

そのお店は、住宅街の中にあり、とてもそこにお蕎麦屋さんがあるとは思えない場所にありました。

そして、その蕎麦は、本当に美味しく、私がこれまで食べてきた蕎麦は何だったのだろうと思う程でした。

蕎麦は熱湯で作られており、蕎麦を打つときの水も、その蕎麦の産地の水を使うのだそうです。

麺は柔らかいけど、しなやかで、蕎麦の風味が鼻の奥まで漂うのです。

そう、その蕎麦が育った村の景色や匂い、たたずまいまで感じれそうな感覚がありました。

蕎麦を打つおじさんは、本当に人が良く、これが蕎麦というもんなんだと感じたものです。

そのおじさんが生まれた村では、村人皆が蕎麦を打てるのだそうです。

村全体が蕎麦の村なのだそうです。


長野でも蕎麦を食べる事は出来るのですが、私はその蕎麦を超える蕎麦を食べた事はありません。

しかし、そのおじさんも引退してしまっており、もう、その蕎麦を食べる事はもうできません。


懐かしい思い出として記憶の中にその蕎麦は存在しているのです。


今日も記事を読んで頂き、ありがとうございました。(^^)



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