Reid's Guide to Legacy:The Defining Cards


Reid Duke

2020/02/20


数週間に渡ってお送りするレガシーガイド記事の目標は、レガシーというフォーマットを深く理解してもらうためだが、今回は広い視野で見てみよう。
俯瞰で見て、フォーマットの柱について、最もあり得る勝ち方負け方について検証しようと思う。

Table of Contets

Part Ⅰ:An Introduction to Legacy
Part Ⅱ:The Defining Cards of Legacy
Part Ⅲ:Choosing Your Deck
Part Ⅳ:Using Cantrips Properly
Part Ⅴ:Graveyard Decks


The Defining Cards of Legacy

レガシーを代表するカードとは何だろう?
この段落では、レガシーを極める上で理解すべき重要なカードをいくつか取り上げてみる。
それらの多くはモダンでは使用不可能で、レガシー以外の構築フォーマットではお目にかからないカードたちだ。

渦まく知識/Brainstorm

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《渦まく知識》に言及せずにレガシーは語れない。
私が知る限り、レガシー界隈に《渦まく知識》禁止推進一派が存在している。
しかしながら、《渦まく知識》はある点で非常に重要なため、レガシーから除外することはできない。
というのも、ゲーム中と構築そのものの両面にとてつもない影響を与えており、採用枚数が最も多いスペルだからだ。
レガシーで最大勢力は青色で、ほぼ全ての青いデッキが《渦まく知識》を4枚ずつ入れている。
それだけレガシーを愛する人々が《渦まく知識》を愛しているということだ!

《渦まく知識》は《思案/Ponder》や《定業/Preordain》と並ぶキャントリップであり、スタンダードで言えば《予期/Anticipate》や《選択/Opt》のようなカードと較べられる。
キャントリップはカードアドバンテージも稼げなければ、盤面に影響も与えない。
にも関わらず、キャントリップはMagicで非常に強力なカードであり、その中でも《渦まく知識》は最も強力な一枚だ。

《渦まく知識》は重要なスペルを探すためにライブラリーを掘り進み、手札の引きムラを緩和してくれる。と同時に、土地を引きすぎないようにもしてくれる。
レガシーフォーマットで色マナを生みだす土地が14枚程度しか入っていないデッキを見かけるのは、キャントリップの中でも特に《渦まく知識》の存在が大きい。
デッキ内のキャントリップが更なるドローを呼び込むため、デッキを動かすために必要な初手の土地枚数は1枚で十分ということになる。

《渦まく知識》は手札の不要牌を新しいカードと取り替えてくれるため、他にはない強力さを持っている。
フェッチランドなどのシャッフル手段と組み合わせた場合、デッキの上に積んだカードが居なくなるため、あたかも《Ancestral Recall》を唱えたかのようだ。
他にも、《思考囲い/Thoughtseize》を避けるためにデッキの上にカードを隠したり、《終末/Terminus》のようなカードを「奇跡」用に仕込んだりと、非常に強力な使い方がある。

もし可能ならば、以下のような状況に備えて《渦まく知識》を温存するのもアリだろう。
いささか土地を引きすぎていて、シャッフル手段がある場合だ。
見切り発車で《渦まく知識》を使うよりも、ずっと価値のあるドローをもたらしてくれる。


意志の力/Forceo of Will

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レガシーで最も強烈なカードとして《意志の力》を説明するのは気が引ける。
それでも、やはり《意志の力》はこのフォーマットで最も重要で採用枚数も多いカードの一つだ。

《意志の力》の重要性は対戦相手が何をしてくるかによって変動する。
頻繁に起こることではないが、1ターン目にゲームが終わることもあり得る環境で、《意志の力》はそうした爆発的なコンボデッキから自身の身を守る際にきらめくカードだろう。

加えて、レガシーにおいてマナはとても重要であり、決定的な場面で打ち消し合戦に勝つためなら、追加のカードを一枚追放するくらい惜しくはない。

とは言えカードを効率的に使うのも重要なことで、《意志の力》を代替コストで唱えるのは常にカードアドバンテージの面でデメリットが伴う。
それを補えるのなら《意志の力》を使ってもいいが、だからと言って決して触れられない神聖な物と勘違いしてはいけない。
コンボデッキ以外との対戦では、サイドアウトすることも十分あり得る。


目くらまし/Daze

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《意志の力》や《目くらまし》はマナを使わない打ち消しスペルだ。
両者の一番の違いは、《目くらまし》は使い時が難しいカードで、確実性に欠けることがある。
しかし、一気呵成に攻め込んでいる時には、《目くらまし》のような微妙なカードでも有効に働く。

対戦相手の《目くらまし》を避ける方法としては、余分なマナを立てておくのが手っ取り早い。
しかし、自分の動きを減速させることは対戦相手の手札に踊らされてしまうばかりか、《目くらまし》を使わずに(あるいは引かずに!)対戦相手がアドバンテージを稼いでいることにもなる。
この辺の判断は任せるが、相手が《目くらまし》を持っていることを必要以上に恐れることはない。


不毛の大地/Wasteland

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《不毛の大地》もまた、マナを必要とするコンボデッキやコントロールデッキをマナの面から切り崩す勝ち筋をクリーチャーデッキに与えている。
《目くらまし》と組み合わせた時には、対戦相手のリソースを潰して、動きを大きく制限してしまう。

「両方のプレイヤーが土地を一つ失う」という対照的な効果にも関わらず、《不毛の大地》をコントロールしているのが自分、ということが強みになっている。
対戦相手よりもマナが必要な場合には、他の土地を優先して場に出したり、マナを出すために《不毛の大地》をタップすればいい。
もしアドバンテージ面で圧力をかけたい場合、あるいはもう土地が必要ない場合には、対戦相手の土地を壊せばいい。


《○○破/○○ Blast》 と 《夏の帳/Veil of Summer

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紅蓮破/Pyroblast》、《青霊破/Blue Elemental Blast》、そして最近登場した《夏の帳》は状況によって打ち消し手段にも解決手段にもなる良い例だ。
これらはどんな状況でも、どんな相手にでも役に立つわけではないものの、適切に使用できれば、凶悪な効果が多大なアドバンテージをもたらしてくれる。
これらのカードをサイドボード(またはメインデッキに!)に入れる際に、カードの価値を正しく理解することが、レガシーで成功する秘訣だ。
《紅蓮破》や《夏の帳》を入れるためだけに色を足すのだって、全然おかしいことじゃない!


マナ加速

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マナ加速は環境に存在するコンボデッキの屋台骨となっており、また他の戦略においても起爆剤として数多く採用されている。
Magicにおいて速度とは非常に強力な武器となる。
しかし、注意深く使わなければならない。
マナ加速にリソースを注いでも、相手が《意志の力》や《目くらまし》を持っているだけで、計画は頓挫してしまうからだ。


プリズン要員

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環境の流行り廃りに敏感になる必要がある。
レガシーの大部分は、「強烈なカードを使いたいプレイヤー」と「それを止めたいプレイヤー」との戦いに集約される。
スタンダードやパイオニアを経験してきたプレイヤーは打ち消しや手札破壊で妨害されたことはあっても、「プリズン」や「ロック」カードには馴染みがないかも知れない。

レガシーが極限まで効率化を果たした結果、デッキの大半が1~2マナのスペルで構成されるようになった。
虚空の杯/Chalice of the Void》や《相殺/Counterbalance》を用いた構築を準備すれば、それらを逆手に取ることができる。

スペルを唱える機会さえ失わせるカードには気を付けなければいけない。


Balance in Legacy

ここまではフォーマットで目立っているカードを取り上げた。
そして5色が均等に目立っているわけではないと気付いたかも知れない。
レガシーにおいて青色は第一党で、競技プレイヤーの大部分が《渦まく知識》と《意志の力》を使うために青色を選択している。

あくまで個人的な意見だが、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》デッキは典型的なレガシーデッキを象徴している。
デッキは青色と、もう一色か二色、あるいは三色で構成されている。
特徴としては《渦まく知識》と《思案》の力を借りて土地を切り詰め、対戦相手のゲーム展開を阻害するために《不毛の大地》、《目くらまし》、《意志の力》のセットを使っている。

Sultai Dever - Andrea Mengucci

Planeswalker (2)
2《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns

Creature (10)
4《秘密を掘り下げる者》
2《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler
4《タルモゴイフ/Tarmogoyf

Sorcery (8)
4《思案》
4《思考囲い》

Instant (20)
2《突然の衰微/Abrupt Decay
4《渦まく知識》
4《目くらまし》
4《致命的な一押し/Fatal Push
2《否定の力/Force of Negation
4《意志の力》

Land (20)
1《Bayou
1《霧深い雨林/Misty Rainforest
4《汚染された三角州/Polluted Delta
2《Tropical Island
4《Underground Sea
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs
4《不毛の大地》
Cards 60

Sideboard (15)
2《悪意の大梟/Baleful Strix
1《青霊破》
1《ボジューカの沼/Bojuka Bog
1《厚かましい借り手/Brazen Borrower
1《輪作/Crop Rotation
1《Karakas
2《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope
2《疫病を仕組むもの/Plague Engineer
2《外科的摘出/Surgical Extraction
1《森の知恵/Sylvan Library
1《夏の帳》

様々な形態を持つデルバーデッキは、ここ十年間のレガシーシーンで最も人気が高く、結果も残しているアーキタイプだ。


次に《渦まく知識》と《意志の力》を有効活用するのは、よりコントロール寄りのデッキで、氷雪コントロールが挙げられる。
氷雪コントロールは《アーカムの天測儀/Arcum's Astrolabe》と適量の《冠雪基本土地》を用いて、《不毛の大地》への耐性を維持しながら3~5色のマナベースを作り上げている。

Bant Miracles - Marc Vogt,1st at GP Bologna

Planeswalker (6)
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor
3《王冠泥棒、オーコ》
1《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler

Creature (5)
2《氷の牙のコアトル/Ice-Fang Coatl
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage

Sorcery (8)
1《天使への願い/Entreat the Angels
4《思案》
3《終末》

Instant (17)
4《渦まく知識》
1《対抗呪文/Counterspell
2《否定の力》
4《意志の力》
4《剣を鋤に/Swords to Plowshares
2《夏の帳》

Artifact (4)
4《アーカムの天測儀》

Land (20)
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand
4《霧深い雨林》
2《神秘の聖域/Mystic Sanctuary
1《汚染された三角州》
1《冠雪の森/Snow-Covered Forest
5《冠雪の島/Snow-Covered Island
1《冠雪の平地/Snow-Covered Plains
1《Tropical Island》
1《Tundra
Cards 60

Sideboard (15)
1《花の絨毯/Carpet of Flowers
1《天界の粛清/Celestial Purge
1《封じ込める僧侶/Containment Priest
1《狼狽の嵐/Flusterstorm
1《僧院の導師/Monastery Mentor
2《紅蓮破》
1《赤霊破/Red Elemental Blast
1《安らかなる眠り/Rest in Peace
2《自然への回帰/Return to Nature
1《外科的摘出》
1《終末》
1《夏の帳》
1《Volcanic Island


または、レガシーを象徴する高速コンボデッキに頼っても良い。

Storm - Cyrus Corman-Gill

Sorcery (24)
1《闇の誓願/Dark Petition
4《強迫/Duress
4《冥府の教示者/Infernal Tutor
2《炎の中の過去/Past in Flames
4《思案》
4《定業》
1《苦悶の触手/Tendrils of Agony
4《思考囲い》

Instant (13)
1《むかつき/Ad Nauseam
4《渦まく知識》
4《陰謀団の儀式/Cabal Ritual
4《暗黒の儀式/Dark Ritual

Artifact (8)
4《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond
4《水蓮の花びら/Lotus Petal

Land (15)
1《Bayou》
4《霧深い雨林》
4《汚染された三角州》
1《冠雪の島》
1《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp
1《Tropical Island》
2《Underground Sea》
1《Volcanic Island》
Cards 60

Sideboard (15)
2《突然の衰微》
2《蒸気の連鎖/Chain of Vapor
2《残響する真実/Echoing Truth》
1《巣穴からの総出/Empty the Warrens
2《狼狽の嵐》
2《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall
1《虐殺/Massacre
2《夏の帳》
1《ザンティッドの大群/Xantid Swarm

レガシーは多種多様な上に、数多くの戦術が競技レベルに達しているものの、上気に示した三つのデッキリストが何をできるデッキなのかを把握することは可能だ。
これらのデッキの動きと、どのように倒せば良いかが理解できるようになれば、レガシーマスターへの道のりは順調だと言える。


How Games Are Won and Lost

ここまでレガシーで見られるカードとデッキについて大雑把に触れてきた。
では今度はゲーム中の出来事について見てみよう。
一方のプレイヤーが勝ち、もう一方のプレイヤーが負ける一番の理由はなんだろうか?

1.コンボ
ゲームを決定づける最速の手段はコンボの完成だ。
これはズルをして《グリセルブランド/Griselbrand》を出したり、致命傷となる《苦悶の触手》を唱えることを意味する。
コンボ側が妨害手段を全てくぐり抜ければ、普通はそれで勝利となる。

2.スペルを唱えられない
どんなMagicプレイヤーもマナスクリューの経験があるだろう。
しかし、時としてレガシーフォーマットはプレイヤーをマナスクリューに陥らせようとしているのではないかと感じられる時がある。
土地は《不毛の大地》に破壊され、フェッチランドの起動を《もみ消し/Stifle》に阻まれ、スペルは《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》によって唱え辛くなり、《血染めの月/Blood Moon》や《ハルマゲドン/Armageddon》によって全てを失う。
他にも、《虚空の杯》や、《壌土からの生命/Life from the Loam》と《不毛の大地》の組み合わせによってロックされてしまう事も。
どうにかスペルを唱えられたとしても、《目くらまし》や《意志の力》で打ち消されるかも知れない。

3.対処できない脅威
前述の二つが起きない限りは、スタンダードで慣れ親しんだような戦いに落ち着くかも知れない。
しかし、レガシーでの脅威は強力かつ粘り強いため、間違ったタイミングに間違った解答を手にしていると、絶望的だ。
例えば、自陣の防御網に飛行持ちがいなかった場合、《昆虫の逸脱者》によって速やかに負けてしまう。
アタックに行けるクリーチャーがいない時、対戦相手の《精神を刻む者、ジェイス》は強烈だ。
あるいは、手札が《突然の衰微》で溢れている時に《現実を砕くもの/Reality Smasher》に粉砕されてしまうこともある。

4.長期戦
上気の例には分かり易い負け筋があった。
しかし、レガシーのゲームの多くは、僅かなリードの奪い合いや、1体2交換、慎重な《渦まく知識》と《思案》の使い方によって進行していく。
早々に終わってしまうゲームもあるが、《祖先の幻視/Ancestral Vision》、《予報/Predict》、そして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon,Ally of Zendikar》といった遅めのカードもレガシーでは非常に重要な役割を担っている。


レガシーは危険な世界だ。
気を付けなければいけない落とし穴がいくつもあり、負け方はそれこそ無数だ。
この容赦ないフォーマットでは、Magicに関わる全ての技術が大変重要になる。
対戦相手の打ち消しによる被害を最小限にするためにスペルを使う順番に気を付ける。
対戦相手に与えるダメージを最大にし、自分のクリーチャーへの危険が最小になるように気を付けてアタックとブロックを行う。
準備してきた妨害手段と解答手段を、適切な対象に使う。


レガシーはやりがいがある。
しかし、そこに何があるのかを知ることが、フォーマットを極める上で最も重要なステップだと言える。

記事
https://www.channelfireball.com/all-strategy/articles/reids-guide-to-legacy-the-defining-cards/

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