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【インタビュー】独身ケイソンボーイに聞く、恋愛結婚のハードル

プールでの飛び込み事故により頚髄を損傷(C5)。胸から下が麻痺、上肢にも障害が残り現在車椅子生活を送る真一さん(31)。中途障害を抱える真一さんが恋愛や結婚についての自身の葛藤を語る。


恋愛に消極的になった受傷後

ーーー受傷前後での恋愛に対する変化は?

真一さん:受傷当時に交際している人はいませんでしたが恋愛には積極的な方で、それなりに出会いも豊富だったと思います。受傷当時はもう彼女ができるとかお付き合いすることはないかなと考えたりもしましたが、受傷後にもお付き合いの経験はあります。

ですがやはり受傷前と比べると違う部分もありました。デートするにしても距離や体力の問題で以前とは違います。気持ちの面でも違いを感じました。

お付き合いしていく上で自分の障害を理解してもらうことや、理解してもらってもふとした瞬間に負担をかけてしまっている気がして、自分の中で勝手に葛藤してそれがつらかったかな。相手はそう感じていなくても、勝手に考えてしまっていました。彼氏としてして自分が相手にしてあげたいことがしてあげられない辛さだと思います。

でも今はそう感じていません。


彼女と過ごす今が楽しい

ーーー今は恋愛に特別なハードルは感じておられないということですね。

真一さん:そうですね。今は恋愛についてそう感じることは無くなりました。日々お付き合いをしていく中で相手と過ごす時間が気持ちを切り替えさせてくれたんだと思います。

受傷当時、既婚の車椅子ユーザーの仲間にもたくさん相談して、それで消極的な気持ちが変わっていった部分もあります。実は今お付き合いしている人がいるんですが、2人の間で結婚について今は考えていません。結婚への憧れはありますが、今は一緒に今を楽しもうと思います。

もし将来を考えるとしても、今のところは日々の生活で精一杯で仕事をしていないので、まずはバイトでも始めてみようかなと最近考え始めています。


立ちはだかる壁に一歩一歩立ち向かう

ーーー将来のご結婚やお子さんについてはどのようなお考えですか?

真一さん:受傷前の感覚では子どもは欲しかったのですが、今の状況だと子どもを作る金銭的なことや、僕の場合は頚髄損傷で不妊治療が必要になると思います。

そうなった時、金銭的に可能なのかな?とか、パートナーに身体的な負担をかけてしまうなと考えると…子どもを作ることが絶対だとは思わなくなりました。

結婚することがあれば、2人寄り添って年を取るのもありだと思っています。もしパートナーになる人が望むなら、その時は2人で話し合っていくことになると思います。

もともと子どもは好きな方で育児したいなとも思いますが、それと自分がこの体で現実的に子どもを持つということは別の話かなと思います。

今、恋愛には一歩踏み出せました。でも結婚にはまだ一歩踏み出せない自分がいます。

経済面、子どものこと、そのほか色々なこと、理想や願望は確かにあるけれど、そこにまだ壁を作ってしまっている自分がいます。夫としての役割を果たせるか、子どもを作るなら父親としての役割を果たせるか、家族を守れるかというようなことを強く考えてしまいますね。

ただそういったことは何とかなるだろうと考えているので、一番のネックは経済的なこと、不妊治療を含めた子どものことですね。


ーーー障害の受容が恋愛や結婚においてもその都度必要になる、心理的な壁として立ちはだかるということですね?

真一さん:他の人はどうかわかりませんが、僕はそうだと思います。できないことは工夫したり、それでも無理なら諦めることを受け入れなければいけない。一歩歩んで壁にぶち当たって、クリアしてまた一歩の繰り返しです(笑)

だからこそ今は、彼女との恋愛を楽しみたいと思うんです。先のことはあまり考えず、純粋にこの今の感じを楽しみたいです。


今、悩んでいる人へ

ーーーありがとうございます。今かつての真一さんと同じように悩んでいるかもしれない方にメッセージをお願いします。

真一さん:消極的な気持ちになってしまう方の気持ちは凄くよくわかります。色んなことがこれまでと大きく違うので、体のことも恋愛や性のことなど、色んなことを考えこんでしまうかと思います。

でも一歩踏み出してみてください。たとえ実らなくても何か自分の中で変わるかもしれない。糧になるはずです。外に踏み出して色んな人と接してみてください。理解してくれる人や寄り添ってくれる人は必ずいると思います。

不安で考え込んでしまうのも無理はない。でも尻込みしていては結ばれるはずの縁にも出会えません。それではもったいない。失敗してもいいんです、次のステップに繋がります。

話す人がいなければ、僕でよければ話を聞きます。どんどん今を楽しんでいきましょう。


まとめ

目の前に立ちはだかるハードルを1つずづクリアして今を楽しむと語る真一さん、素敵なお話をありがとうございました。

真一さんのように中途障害を持ったことで恋愛に消極的になる人は少なくありません。もちろん恋愛や結婚をするだけが豊かな人生ではありませんが真一さんも仰るように、"諦めるのはもったいない"と私たちも感じています。

恋愛や結婚、障害の有無に限ったことではなく初めの一歩を勇気をもって踏み出すことは人生を豊かにする大きな一歩です。"障害受容"と一口に言ってもその段階段階で都度葛藤し、ひとつずつクリアしていくものなのかもしれませんね。真一さん、彼女さん、どうぞ今をお幸せに。



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