橘の詩24

うつくしい物語を観終えた後に
ふたり 顔を見合わせて笑った
その時間がたまらなく幸せな時間で
歪な心にもそうと分かるほど温かで
記憶の箱から取り出しては
大事に 大事に 抱きしめた

ユメみた明日は幻で
願った理想は浅はかで
泣き暮らす日々 息も絶え絶え 力尽き
大きな旗が重く 重く のしかかる
旗を見上げれば ほら 夏の強い日差しが透けて
うずくまるこの身を照らし出す

並んで見上げた 桃色の波
きらきら光って まばゆくて
何度も確かめるようにまばたいた

目が覚めればまた立ち上がり
立ち向かうべき現実へ向かう
いつも強がりばかり口にして
枕を涙でぬらしては
ほらもう一度!もう一度だ!と
顔をぬぐって走り出す
この先に何が待っているのか
知らないままでいいからと
私はここにいると ここにいるからと

優しいあなたが奏でる曲をお守りにして
確かなぬくもり そっと撫でて
願いを叶えるために 彼方を目指す

#詩 #自由詩

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