橘の詩29
「おいて行かないで」とめそめそ泣いて
かなしくて さびしくて
ひとりきりはおそろしいことだと
胸の痛みにおびえてた
ヒリヒリと痛むのは心であったかどうか
それすらも分からず ただ泣いた
歪なじぶんを鏡で見るのがこわかった
どんな目をしている? どんな色をしている?
それを思い知るのがこわかった
けれど けれども いずれはさ
結局ここに帰ってくるんだ
わたしはわたしで在り続けるんだ
ならば 勇気を出して見つめなきゃ
目をそらさないで真っ直ぐに
そして 勇気を出して手を離そう
あなたを愛しているから「さよなら」を
「どうか あなたが幸せであるように」と
泣きながら手を振るんだ
燃えるような夕焼けに背を向けて
のびる影を見つめて
歩き出すのさ
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