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ドイツの育成事情(ジュニア年代編)


はじめに

日本ではU-12までをジュニア、U-13からはジュニアユースと分けますが、ここではドイツのU-13年代について紹介します。ご存知の通り、ドイツでは夏にシーズンがスタートします。シーズン開始時のU-13は11、12歳の子供たちとなります。

ユース年代(U-19とU-17)のトップリーグはドイツ全土に3つ、ジュニアユース年代(U-15)のトップリーグはドイツ全土に6つ存在するのに対し、ジュニア年年代(U-13)からは一気に規模が小さくなります。21ある州規模のサッカー協会がそれぞれ複数のトップリーグを運営しています。それぞれのサッカー協会でリーグの規模等が変わってきますが、例えばヘッセン州ではU-15の4部リーグに当たる規模がU-13のトップリーグとなり、ヘッセン州に6つの同等のリーグが存在します。以下、3部リーグまで存在します。

国土やチーム数が異なりますので、一概には日本と比べるのは難しいですが、その規模は都道府県内に複数のトップリーグが存在し、距離にしては1時間以上は移動することはありません。


「ユース年代編」はこちら👇


「Jr.ユース年代編」はこちら👇


ドイツのリーグシステムの弊害

日本でも育成年代におけるリーグ化が徐々に進んでいます。ドイツではリーグシステムが整っていますが、整っているが故に弊害も生まれてきます。ブンデスリーガクラブのアカデミーチームやドイツサッカー協会公認アカデミークラブのチームがそれに当てはまります。

上記で説明したようにU-13ではリーグの規模があまり大きくありません。よってリーグのレベルも上限があります。もしブンデスリーガのアカデミーチームがリーグ戦に参戦し、街クラブと対戦した場合は、全勝、10対0で勝利という結果が想像されます。この結果は双方にとって良い経験とは言えません。よって、ヘッセン州のブンデスリーガクラブのアカデミーチームはリーグ戦には参戦せずに練習試合のみを行なっています。U-13のリーグにU-12のチームで参戦するケースは良くあります。

アイントラハト・フランクフルト(トップチーム:ブンデスリーガ1部)、SVダルムシュタット98(トップチーム:ブンデスリーガ2部)、SVヴェーエン・ヴィースバーデン(トップリーグ:19/20シーズン:ブンデスリーガ2部)のU-13は、リーグ戦には参戦していません。SVダルムシュタット98は、U-12チームでU-13リーグに参戦しています。アイントラハト・フランクフルトのU-12チームは、18/19シーズンまでU-13リーグに参戦していましたが、19/20シーズンからはリーグ戦には参戦していません。

【U-13 Gruppenliga Region Darmstadt / グルッペンリーガ・ダルムシュタット地区】

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※引用:FUSSBALL.DE


地域のよって異なる事情

ヘッセン州ではブンデスリーガクラブは19/20シーズンでは3クラブ、20/21シーズンは2クラブしかありません。しかし、ドイツ西部のノルトライン・ヴェストファーレン州には、1.FCケルン、バイヤー04レバークーゼン、ボルシア・メンヒェングラードバッハ、フォルトゥナ・デュッセルドルフ、FCシャルケ04、ボルシア・ドルトムントなど多くのブンデスリーガクラブが存在します。独自のトップリーグを開催しています。

【U-13 Junioren Nachwuchs Cup :19/20シーズン】 

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※引用:FUSSBALL.DE


リーグ戦に参戦するクラブ(地域)

マインツのある南西地域では5部リーグまでU-13リーグが存在します。育成に定評のある1.FSVマインツ05はリーグ戦に参戦しています。このリーグにはトップチームがブンデスリーガに参戦しているクラブは1.FSVマインツ05しかなく、次の強豪クラブはトップチームが3部リーグに参戦している1.FCカイザースラウテルンとなります。

【U-13 Verbandliga /フェアバンツリーガ:19/20シーズン】

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※引用:FUSSBALL.DE


最後に

地域によってクラブの置かれている環境は異なりますが、街クラブレベルにおいては整備されたリーグ戦の中で、拮抗した公式戦がドイツ全土で行われています。ブンデスリーガクラブのアカデミーチームにおいては、試合経験から得られることが大きいからこそ、各自でベストな選択を試行錯誤しながら、日々の育成を行なっています。しかし、選手(子供)に対する負担もしっかり考慮した中での選択となります。

育成大国と言われるドイツですが、近年は代表レベルでは良い成績を収められていません。近隣の強豪国と切磋琢磨しながら、ドイツとしての育成年代の強化が今日もドイツ全土で行われています。

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