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僕が衝撃を受けたアーティストを紹介する

日曜日のお昼時になると決まって家の爺ちゃんはNHKのど自慢を見ていた。日本中ののど自慢達がこぞって集まり十八番を披露する番組だ。
素人を集めてその中で歌を競いあるこの番組。
爺ちゃんはいつもブツクサと何かを言いながら見ていたのを覚えている。

大抵の歌い手は思った通りに歌えなかったのか、結局うなだれて終わるというのがいつものパターンである。
それでも歌手でもない一般人が、大勢のオーディエンスの前で歌声を披露する度胸は凄いと子供ながらに思ったものだ。僕なんかクラスメイトの前でリコーダーを演奏するだけでも足が震えたのに…。

思い通りに歌えないと必ずお決まりのパターンで幕を下ろす。そうあの特徴的な鐘の音だ

のど自慢を見た事がない人でもこの音は聞いたことがある人は多いハズ。鐘が一つで不合格。鐘が三回なると合格のアレですね。

でも皆さんあの鐘の音。あの楽器の正式名称を知らない人が多いと思います…。


まさにこれですね!この楽器の名前…。実は
チューブラーベルと言うのです。

一度聞いただけで頭から離れない特徴的な音ですね。

さてこのチューブラーベルですが、実はイギリスのとあるミュージシャンが実際にアルバム内に取り入れた作品があるのはご存知でしょうか?


1973年ヴァージン・レコードの第一弾アーティストとしてデビューしたマイク・オールドフィールド。



イギリスのプログレッシブ界では欠かせない重要人物である彼ですが。そう言いつつも割とマイナーな立ち位置でもあるマイクオールドフィールドです。
なぜマイナーになるのかと言うと、そもそも音楽を知っているけど彼自身を知らないという人が割といるからです。

タイトルの写真でもありますが。1973年に彼のデビューアルバムである"Tubular Bells"で彼は一躍有名になります。
世界中誰もが彼の音楽に触れた事があるでしょう。
勿論この記事を閲覧している貴方も同じです!

えっ!?こんな人知らないよ?

って思うでしょう?

じゃあこの曲はどうでしょうか?

ホラー映画が好きな人は誰もが聞いたことがあるこのBGM…。実はこの曲の作者はMike Oldfieldのものなんですよ!!

彼はこの映画のおかげでプログレ界で有名なアーティストになりました。ですが後に彼にインタビューした際に
「エクソシストでこのアルバムが売れたのはあまりいい気分ではなかった」と話しています。

というのもこの映画のせいでホラーのイメージがついてしまっていますが、本人は全くそういった音を意識しているわけではなく、美しい情景を思い浮かべながら作成したのだと話しています。

このヒットが幸運と呼ぶのか不運と呼ぶのか…。
皮肉にも彼の作品はどんどんヒットを産んでいきます。
ですがTubular Bellsについたホラーイメージは全く拭い去られることが無く、かといって作者が誰なのかもあまり知られる事がなく異例という形でアルバムが売れるというアーティストとしてはこれほどに無い程の屈辱の様に感じます。

そもそもこのTubular Bellsですがエクソシストに適用された部分はほんのイントロの導入部分のみで、アルバム全体に至っては全く認知されていないという事態。

Tubular Bells 1 
Tubular Bells 2

とA面B面のインストゥルメンタルというアルバム構成で、片面25分弱のコンセプトアルバムとなっているこの作品において、ほんのイントロ部分だけしか認知されないなんて発狂ものですよw


じゃあ僕がなぜこれほどまでに彼の音楽に衝撃を受けたのだろう?現在に音楽シーンではそこまで珍しい音楽でもない彼の作品。アンビエントでアバンギャルドな作品等探せば見つかるものです。

ですが当時の録音技術において
楽器を一つづつ多重録音するという行為は、それこそとてつもなく途方に暮れる作業なんですよ。

現在ではプロツール等でチョチョイと楽器を録音して、編曲して、キューをいじってなどすればそこそこの音源は作れます。僕自身も友人とバンド活動していた(ほんの数期間)時に楽曲もアイディアを練ってくれとか、オープニングのSEを作成して欲しいと頼まれたことがあるので、割とパソコンに向かって作業していた時期があります。
やってみるとわかるのですが、これが中々大変な作業なんです。しかも一人でやると尚更..。

それを当時のレコーディング機材の中でやる。
1970年代では恐らくビートルズの功績のおかげでダブルトラック録音が可能になりましたが、それでも楽器を一つづつ重ね取りするなんて大変な事なんですよ。

で、ここから驚きなのですが
このTubular Bellsを作成するにあたってなんと28種類の楽器が使用されたそうなんです。
それだけでも驚きですが、その楽器すべてを彼自身が演奏しています。それをワンテイク頭から最後まで通して録音をするとなると正直頭がおかしくなってしまいそうですw

彼いわく総トラック数が100を超えたという話しですww
尋常じゃないですよね…。ミスをすればやり直し、また1から撮り直すというわけですから並の精神力では出来る芸当ではありません。それだけ時間をかけて、それだけで思い入れがあるアルバムがどこの馬の骨かも知らないホラー映画のBGMに抜擢されて有名になる。しかもそのBGMお聴くと不気味だと言われてしまう…。
なんか可愛そうなります。

ですがそれにめげないmikeはどんどんアルバムを制作していきます。サード・アルバムのOmmadawnはファースト以上のヒットを打ち出し、彼の名前が世間に轟く様になりました。エクソシストの人ではなくアーティストとして。

1983年に発売されたCrisesでは80年代ポップスを意識したような楽曲が目立ち、彼自身のパーソナリティにも変化が起きます。元々根暗で対人恐怖症だったMikeは自身の性格に大きなコンプレックスを抱いていました。

自分の性格をガラッと変えたい。
その思いで彼自身性格を変える努力をします。
こうしてサポートシンガーを迎え、更にはMike自身がボーカルを取るようになると、公に出て来た余りのもイケイケな風貌の姿にファンは驚く事になります。
1人掛けチェアに深々と腰掛け、片足を組んでサングラスをかけたロッカーな風貌。僕も映像を見た事がありますが、あまりにもだったので少し笑ってしまった程ですw

こうしてなんだかんだ彼を取り巻く環境が変わったりしながら、Tubular Bellsの次作である、Tubular Bells2を作成します。

大元は前作のオマージュ的な作品ですが、何処となく雰囲気が違う例えると1が春夏だったらば、2では秋の様な作風です。同じ景色であるけど四季が違う。そんな作品に仕上がっており、僕はこの作品を聴いた時彼の音楽性の凄さを再確認出来ました。

そしてなんと第三作目Tubullar Bells3を発表。
こちらは四季に例えると冬です。ですが今までのサウンドと打って変わってこちらはエレクトロニクスな側面が強いです。テクノ等の電子音が鳴り響き、そして前作のオマージュをしっかりと取り入れている。よりモダンで現代的なサウンドが恰好良い作品です。

インスト作品と歌モノの両立。Crisesでのヒット曲Moonlight Shadowsの様なMan in the Rainがとてもいい曲です。女性の柔らかい歌声と、何処か雪が溶け始める初春の様な暖かさ感じる良曲です!

いいアルバム揃いのMike oldfieldですがTubular Bellsを中心に紹介しました。本当ならばもっと沢山いいアルバムあるのですが、その全てを紹介し出したらきりが無いです。Tubular Bellsの録音並みにハードですwなのでザックリとオススメアルバムだけ上げとくので参考までに…


Tubular Bells ここから全てが始まった。しつこいようだけどエクソシストのテーマとは呼ばぬ様に、最後まで聴いてあげて下さい。

Ommadawn これぞまさしくアンビエント。難解なフレーズだと敬遠されがちなプログレですが、こちらの作品は正に聴く映画です。雰囲気が只者ではなくとてつもなく美しい。

Crises 80sど真ん中のポップスとロックを融合した様なサウンド。軽快なリズムと聞きざわりの良い歌声は聴く人をハッピーにします。初心者にオススメ。

Islands こちらも美しいインスト(前半)歌モノ(後半)と分かれており、商業的なヒットを狙った作品です。全体的に爽やかな雰囲気があります。

Amarok 前衛的なインストから幕を開けるこちらの作品。まるでKing Crimsonの太陽と旋律の様なアバンギャルドさがあります。様々な表情を見せるこの作品。一曲で一枚のアルバムです

Tubular Bells 2 前作Tubular Bellsの完全オマージュ作品。曲構成やら全てが過去作に沿って作られていますが、だからといってただの二番煎じにならないのは彼の凄さ。

Tubular Bells 3 Tubular Bells2作品から更に展開させて、より現代的にリミックスした様な作品。これで一応チューブラーシリーズは完結します。一曲めちゃくちゃ歌モノが入っています。個人的に一番お気に入り。


ザックリとまぁ紹介しました。
初期のTubular Bellsは正直音があまり良くないですが、現在完全リマスターした(再録音)アルバムTubular Bells 2003が出ていますので、こちらを聴いたほうが聴きやすいかもしれません。ただデジタル化してるので当時の良さは味わえないですし、音が生きていない感じも否めない…。


もし僕の記事でMike Oldfieldに興味を持った方
是非ともチェックして見て下さいね!


それではまた🔔🔔🔔🔔🔔🔔🔔

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