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Opeth史上最高傑作だと胸を張って言えるWatershed

Opeth史上最もレベルが高い"デス"期最後の作品
ブラックメタル、プログレ。彼らが上手い具合に融合させて、新たなスタイルを確立させた。
そのOpethならではのサウンドアプローチの中で、最も凄まじい勢いを持つのがこの「Watershed」だと思う

今までの作品の集大成と言っても相応しい位の完成度で、
Opethはとうとう神の領域まで達したのだな!とこのアルバムに触れて感じたことだった。
一曲目からデスではなく情緒的なアコースティックナンバーから幕を開ける今作。
ミカエルの歌声の良さを存分に堪能できるし、何よりもアコースティックギターのサウンドが素晴らしいほどに美しい。そしてセカンドバースから女性ボーカルが起用されていて、彼女のセンシティブな歌声が非常に心地が良い。

まさかこのアルバムは「Damnation」の様な作風なのでは?と思わせておいてからの、やっぱり暗黒神
しっかりと二曲目Heir Apparentでは凄まじいデス声を聞かせてくれる。気持ちがいいくらいのデス声なので、ストレスが貯まると直ぐにこの曲を選択しちゃうんだw
しかしデスでありながらしっかりとクリーンパートは綺麗
この極端な変調でありながら、全くわざとらしくないし飽くまでも自然と移行していくとこらへんが凄いと思う。

その勢いを殺すことなくThe Lotus Eaterでは更にドライヴをかけてヘヴィーな展開。
何処か70年代のプログレを彷彿とさせたと思わせて、急なデス声。
始めてOpethを聞いた人間が果たして同じヴォーカルが歌っていると一発で気がつく人がどのくらいいるのだろうか?
何処かMuseっぽさもある流れるようなリフワーク。
そして気がおかしくなりそうなキーボードの浮遊感
マジでOpethは次元が違います。おかしすぎますw
どんな脳みそならばこんな凄まじい曲を書けるのだろうか?
いつ何時この曲を聴いても鳥肌が凄いんですよ…。

King crimsonで言えばEpitaphといった立ち位置と肩を並べても何ら遜色はない作品、超メロディアスなBurden。
ミカエルの歌声が何処かグレッグ・レイクに重なる
美しくも何処までも悲しいサウンドと、泣きのツインリードギター。そしてオルガンのソロが非常にクラシカルです
流石クラシック・ロックをこよなく愛するミカエル・オーカーフェルト。そのレコーディング方法までとことんクラシックな路線を貫いているので、モダンでありながら古き良きクラシック・ロックの時代にタイムスリップしたかの様に錯覚してしまいます。
後半部分のクリーンリードが次第にフェードアウトしていき何故か不敵な笑い声で幕を下ろします。そしてその声がディレイしていくのがなんとも不気味…

Porcelain Heartは完全にプログレ。
丁度クリムゾンの中期辺り、太陽と旋律ら辺を彷彿とささせます。激しさと繊細さを織り交ぜて、何処までも情緒不安定な雰囲気に引きずり込まれていくような感覚になります。まるで金縛りにでもあったかのように、身体に自由が効かなくなったような妙な脱力感に見舞われていると
急に転調し激しさが全面に現れていきます。
ぷつっと糸が切れたように美しいリードギターの後、繊細で折れてしまいそうなミカエルの歌声。
クリムゾンや初期のジェネシスを彷彿とさせるメロディ
何処かノスタルジックなサウンドは優しく包みこんでくれる暖かさすらも感じさせます。

Hessian Peelまで聴くともはやOpethからは完全に毒牙が抜かれてしまったのだろうか?と感じてしまう。
まるで、ジョン・ウェットンの様な歌声でしっとりと歌い上げるミカエル。そこには何処にもデスという要素は全く無く。メロトロンの美しいメロディーまで堪能出来てしまいます。この曲を聴いていると途端にキャメルのMirageの世界観を思い起こさせてくれます。
倦怠感のあるメロトロンのサウンドが何処までも夢の世界へ誘い、センシティブなピアノサウンドで幕を下ろすと思わせて…。来ました!!流石Opeth!暗黒神!
やっぱりこのバンドにデスという要素は切っても切れない要素です!!
ヘヴィーで狂ったギターリフ。変態的な不協和音。
すべてを悟りきった様な危うさで歌い上げるミカエルからはとてつもなく恐ろしいオーラがプンプンしています。
そしてシド・バレット在籍時の名曲である天の支配の様なコーラスワークが恐怖感を煽ってきます。
徐々に壊れ、狂い始める。狂気とは…まさしくこの曲のことを指すのだろうと思います。
恐れ入りました!!最恐です…。

まるで初期の。それこそOpethを確立していなかった時代
(僕の勝手な意見だけど、スティーヴンウィルソンと手を組んだ辺りがOepthの本当の始まりだと思ってる)のイントロのリフ。その後一気にプログレ色が強くなる、丁度僕の一番好きだった頃のサウンドに続く。
まるで今までのOpethの歴史を回想させる様にも聞こえる
(これは勝手な僕の見解何だけど)
最後のデス作品の記念すべき一枚として、やはりそういった手法も何処となく取り入れてはいると思ってるんだけど
。それでもこうしてプログレ色が大半を占めているアルバムは、聞き手側の見解ではきっとこの先ずっとプログレ色が強くなるはずだと思った人は多くいやハズだろうと思った。当の僕も何だかいやーな予感がするなって思った位。(なんかこのワード前に書いた事があるような。というかこのアルバムの記事前に書いたようなw)
ヘヴィーなリフが何処までもリフレインし急にぷつっと切れる演出を聞いたとき、その嫌な予感は正しいと直感的に感じた。

ああ、もうデスのOpethは終わったのだと。
デスという要素を捨てる。ギターリフを誰かに阻止される様な形(フレットを強制的に掴んで、弦の振動を止める)
もう一人のミカエルが「もうお前たちはそんなヘヴィーなリフは弾く必要はないんだ」と止められた様で…
僕の不安は現実となってしまうんだという喪失感で当時は一杯になりましたね...。

でもしかし、もしこの作品「Watershed」が彼らのデスへの遺書作だとすればとてつもなく最高傑作だと僕は感じます。デスとクリーンそしてHessian Peelから感じた彼らのプログレからの影響。キングクリムゾンに始まりジェネシス、キャメル、ピンク・フロイドをたった一曲で体現出来る。たった一曲だけで彼らの方向性を感じることが出来る
それをいとも簡単にやってのけるOpethの凄まじさ。

僕は間違いなく言える
この作品は最強で最高傑作だと。



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