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恐妻家から学ぶ_経営者保険③

経営者として、保険に加入したほうがいいですかとよく問い合わせいただきます。

今回は経営者保険のうち、役員退職金についてわかりやすくお伝えします。

(1)役員退職金とは

取締役や監査役など役員であった者に対して、退任時に支払われる退職慰労金を言います。

一般的な退職金は、会社の退職給付制度に基づき支給されます。

一方、役員退職慰労金は退職金規定の作成の必要がない代わりに、定款に役員退職慰労金の支給や支払時期について記載するか、株主総会において決議する必要があります。

実務上、定款に退職金規程を定める企業は少ないため、一般的には株主総会で「役員Aに対し○○円の役員退職慰労金を支払う」などの旨を決議します。

(2)役員退職金のメリット
①法人側のメリット

役員退職慰労金については、法人税等の節税効果があります。

法人側が支給した役員退職慰労金は、全額が損金として算入されるため、所得を圧縮することができ、法人税等の節税に繋がることが期待できます。

役員退職金は取締役会などの決議によりその額が具体的に確定した期に損金算入が認められます。

一般的には、役員の退職確定日の属する期に損金が算入されます。

②役員側のメリット

役員退職慰労金の支給を受ける役員については、その受給額については退職所得として扱われます。

支給された役員退職慰労金の支給金額から控除額(勤続年数×40万:20年未満)を控除した金額に2分の1をかけて半分にすることで税負担を軽減させています。

さらに、退職所得のみに対して税率が適用されるため、より低い税率で課税されます。

(3)役員退職金のデメリット

①法人側のデメリット

資金繰りが厳しい企業にとっては財政状態の悪化に繋がるという危険性があります。

役員退職慰労金は株主総会の決議が必要になります。

②役員側のデメリット

役員在籍期間が5年以下の場合、2分の1控除の恩恵が受けれなく可能性があります。

収入金額-退職所得控除額が300万円を超える場合
(退職所得の金額 = 150万円+ {収入金額 - (300万円 + 退職所得控除額)})

上記に対して税率が伴うため、課税額が増えることになります。

(4)役員退職金の計算方法

①功績倍率法

役員退職金=退職時の月額報酬×勤続年数×功績倍率(※)

※役員の功績度によって異なります。

②1年あたり平均法

 役員退職金=1年当たり退職金×勤続年数

③功労加算金

 功労加算金=役員退職金×○%

(5)最後に

役員退職金は使い方によっては、法人税の大きな節税にも繋がります。

また、支給される役員の税負担も軽減することができるなど、多くのメリットがあります。

ただし、支給手続きや支給額など理解しておかなければ、税務調査で否認されるリスクもありますので、導入される際は慎重に検討されることをおすすめします。

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