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山の記憶

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取材で訪れた山や自分が好きな山の話です。ゆる登山本で紹介しているルートのウラ話もちょっとだけ。
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2014年5月の記事一覧

山の記憶(4):父も見ていた 鳴虫山

日光市街にそびえる、市民の裏山・鳴虫山。

のんびり歩けばさほど時間をかけずに山頂に立てて、日光連山の眺めがよくて、東武日光駅から歩いていける。なかなかよい山です。拙著「東京近郊ゆる登山」でも、紹介しています。

2010年の8月。父の新盆で親戚達が自宅に集まったときのこと。

この年の3月に発売になった「東京近郊ゆる登山」を、母が叔母達に見せ(びらかし)ていました。あらぁ〜、すごいじゃない、とし

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山の記憶(5)鍋割山の登り方

山の記憶(5)鍋割山の登り方

鍋割山に登って、山頂で鍋焼きうどんを食べないなんて、ない。

鍋割山は表丹沢県民の森のゲートから歩き始める。歩き始めて30分も歩くと、水の入ったペットボトルがいくつも置いてある。水場がない山頂の山小屋が、登山者に水運びのボランティアをお願いしているのだ。このとき、気前よく水を担ぐのが山頂で心地よく過ごすポイント。だから、日帰りとはいえ、ちょいと大きめのザックを背負っていく。無理のない範囲で何本かザ

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山の記憶(6):はねちんと岩殿山

東京から中央本線に乗り、大月駅に来ると右手に岩山が見えてきます。

岩殿山という、標高634m(東京スカイツリーと同じ標高)の山です。駅から歩き始めて駅に下山でき、山頂までは駅から1時間程度。山頂からも、山頂手前の展望台からも富士山がきれいに眺められる、大好きな山のひとつです。

私がこの山を好きな理由の一番が「ファンキーな岩場があるから」。

駅から山頂までは1時間ほどですが、そこからぐるりと周

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山の記憶(7) 金時山

仕事で、プライベートで、何度も歩いている山。

金時山は、富士山の展望台として、そして金時娘のいる山として、人気の高い山です。私がいつも歩くのは乙女峠バス停から乙女峠を経て山頂に向かい、金時神社に下山するルート。歩き始めに富士山がきれいに眺められ、妖精のいるような針葉樹林を歩いて標高1000mちょっとの乙女峠までたどり着けば、外輪山に囲まれた箱根が見えるようになります。ちょっとした岩場があったり、

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山の記憶(8)富士山

山の記憶(8)富士山

初めて登ったのは20世紀も終盤のころ。

高い山に全く慣れていなかった私の富士山デビューは散々だった。9合目で高山病になり、一歩歩くごとに吐き気を覚えながら登頂。一応お鉢巡りをして、下山はザラザラの砂地に何度も足をとられて転び、尻に大きな痣を作った。ひどいものだったけど、天気はよかったし、仲間も気遣ってくれたし、終わってみれば楽しかった。でもしばらくは行かなくていいと思っていた。

それから何度か

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