山の記憶(6):はねちんと岩殿山

東京から中央本線に乗り、大月駅に来ると右手に岩山が見えてきます。

岩殿山という、標高634m(東京スカイツリーと同じ標高)の山です。駅から歩き始めて駅に下山でき、山頂までは駅から1時間程度。山頂からも、山頂手前の展望台からも富士山がきれいに眺められる、大好きな山のひとつです。

私がこの山を好きな理由の一番が「ファンキーな岩場があるから」。

駅から山頂までは1時間ほどですが、そこからぐるりと周遊して駅に戻るルートがあるのです。兜岩という岩は、その途中にあります。そなえつけられたロープを使って登るところがまず1カ所。といってもそれほど傾斜はなく、ちょとアスレチック気分。そこからさらに進むと、切り立った崖を横切るように細い道がついていて、その先がまたロープのついた岩場。ちょっとスリルがありますが、崖には手すりもついているし無問題。ドキドキしながらそこを通過して少し進むと、見晴らしのよい大きな岩の上に出ます。眺めもよく、絶好の休憩ポイントです。

山友達を何人もこの山に案内しましたが、みんな楽しんでくれました。

…ただ1人を除いて。

その1人、はねちんが高所恐怖症だというのは一応聞いていました。でも山を登ったりするのも知っていたので、まあ大丈夫だと思っていました。…しかし。岩場で絶叫。大騒ぎ。ふたつめの岩場で、カメラのレンズの蓋を足元に落としてしまったのですが、「取れない!要らない!」と絶叫。…友人が苦笑しながら取ってあげました。見晴らしのよい岩も駄目だったようで、岩の際(登山道)でお昼を食べていました。

この山に登り、岩場に来るといつも、はねちんの絶叫を思い出し、ちょっと笑ってしまうのです。…ごめんね、はねちん。


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