見出し画像

【大分】vs長崎(H)追い風を呼び込む

上位対決。九州ダービー。
前回のアウェイでは、2つの誤審と2つのゴラッソ決められての屈辱的な敗戦。何が何でも叩きのめしてPO圏を確固たるものにしたい試合は、狐につままれたかのような手ごたえのなさだった。

1分、5分とトントントーンと点が決まって、大分の準備の良さというより勝手に長崎が崩れていく。
ある種、相対的にパーフェクトになってしまった大分と、後半からの長崎の修正ってどうだったの?という場面を振り返っていきます。

両チームのスタメンとマッチアップはこのような形。
大分はスペースの共有がこの1か月弱でとてもうまくなり、この日も長崎の守備のエラーから攻撃の起点をつくっていた。

大分の組み立て

大分のビルドアップは主に2パターン。これから振り返りたい。
流れは
①3-4-2-1が起点
②攻撃の立ち位置のベースが3-1-3-3(3-3-1-3)
③ボール回しは4-1-2-3

これを基に選手を動かすと…

パターン1
パターン2

2つの共通項として
①3バックが広がって
②弓場を中心にしたひし形を中盤が作り
③両サイドが高い位置を取る

ここまでは一緒。
ここから
パターン1は
下田がDFラインに下がって4バックを形成。弓場がアンカーとして4-1-2-3の「1」に入る。

パターン2は
下田が4-1-2-3の「1」に入り、3バックが右にスライドして
左のサイドはひし形のカドの梅崎(もしくは弓場)が務める形。

大分のボール保持のベースを抑えたところで長崎の選手も加えてみます。

綺麗に並べると大分の3-1-3-3に対して、長崎の守備は5-3-2で構える。
ここから…

下田を下げるパターン1だと…
3バックを右にスライドしたパターン2

どちらも左右に開いた選手が自由にボールが持てる仕組みだった。
長崎からすると
2トップは大分の中央の2CBを監視してコースの限定をしなければならず、
中盤前目の加藤大と大竹は大分のインテリオール(4-1-2-3の「2」の選手)をカバーしなければならないため迂闊にボールにチャレンジできない。
5バックは大分の左右のWBが高い位置を取るため押し込められた状況。
白井、櫛引は中央を固めるために動けない。

ここまで、大分のSBが自由にボールを持てることが長崎にとっていかに面倒か、というテイで書いているが、5-3-2の守備ならば、内から外へボールを誘導すればいいので固いはずである。SBがフリーであっても「守れている」のだ。それなのに、序盤で2失点。長崎の守備は何が悪かったのか。

長崎の理想とギャップ

長崎が準備した守備はおそらく5‐4‐1。Eジュニオが大分の2CBを監視しつつ、アンカーの弓場へ前進させないように。
クレイソンと大竹は大分のSBとインテリオールの間に立って外→内への選択肢を減らして小出→井上、三竿→高畑というように単調なロングボールにさせたい。このような意図があったはずだ。

しかし、実際には…

クレイソンがサイドまで守備に行けていない(小出-町田のコースを消す意識が希薄)のを起点に、加藤大は鍬先と並んで守備をしたいが、クレイソンが中途半端にサイドに行くため、弓場へのパスコースも意識しながら町田を捕まえるというタスク過多に陥ってしまっていた。町田が加藤大の背後にいるため、白井はそちらの監視も必要になり、大外の広いスペースで井上が1対1で躍動する!という流れ。
大分はペレイラ→小出→町田と確実に前進をすることができた。

人は居るが機能していない長崎を序盤から圧倒した大分。前半のうちに3点を取り、早々に勝負は決したが、長崎の後半の4バックへの変更でうまくいかなくなったのも確か。そこを振り返ってマッチレポートを終えたいと思う。

長崎の修正

後半に入り、長崎は井上健太にちぎられ続けた加藤聖から高橋峻希へ変更。
加藤聖が悪かったわけではないが…より対人の強い二見を井上にぶつける意味合いという意図だったはず。
サイドで全く守備に加担できなかったクレイソンは中央でプレーすることになる。

5バックから4バックに変更したことで、本来フタをしたかったSB-インテリオール(小出-町田と三竿-梅崎)をカバー。鍬先と加藤大を横並びにして大分が中央で受けても前を向かせない守備ができた。
また、守備で計算できないクレイソンは気ままにボールに寄せるとEジュニオと横並びでコースの限定。守備を多少サボってもCB-アンカー間に立っているので大分は迂闊に中央からの前進ができなくなった。
前からの守備の整理ができると、おのずと後ろも整うもの。前半は好き放題できた井上は、長崎のSB-SHに挟まれる形でスペースを失い、スピードを生かす機会が限られてしまった。
ここからやっと上位対決らしい締まったゲームになったが、これまでの45分で勝負あり。吉田のセーブなどで危なげなく大分が勝利した。



情熱に火をくべる

煮え切らなかったここまでの大分。負けみたいな引き分け。カウンターからの失点。何度見ただろう。
それでも、前節の甲府戦の最後の最後で勝点3をなんとか掴み取り、やっと、ここに来てようやく「大分らしさ」が見えた気がした。

「大分らしさ」とは。
ここイチバンの大勝負の時に、大きなうねりを巻き起こせるのが大分トリニータらしさだと感じます。ここ一番の大勝負とは、この前の甲府戦であり、今回の長崎戦であり、次節のこと。

「これは負けない」

この根拠のない自信が確信に変わる瞬間を知っている。
今、大きなうねりの中で、根拠のない自信を持って残り3試合+3試合を勝ち抜く確信を持っています。これはたぶん、立ち位置がどうとかそんな理屈めいたところでなく、もっと根源的なところでの確信。俺がそこで勝たせるのだから。

いろんな人がいて、いろんな考えがあって、何かが楽しみでスタジアムに行くんです。そこには時に個々の考えとかを優に超える大きな大きなうねりがある。絶対に、スタジアムにある。そう思います。
今なんです。今しかない。それぞれの思いに、情熱に火をくべてほしいです。
J1復帰へ。あと一押しを。選手があと一歩踏ん張れるサポートを。それぞれがそれぞれの場所でできる最大値で。できればとても幸せなシーズンだと思います。やったりましょう。勝たせましょう。大きなうねりは、大分らしさは俺たちが作れるのだから。

写真は大分トリニータ公式Twitterより

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?