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シード〜シリーズC注目資金調達ニュース Vol.10 (6月下旬②)

今回も6月下旬の資金調達ニュースお届けします。

主にシード〜シリーズCの領域で日頃チェックしているので、そこからのPickです!週に2,3回上げていきますので、引き続きcheckお願いします。

中小企業のフィンテックデータを外部サービスと連携させるためのAPIを提供するCodatが、Tiger GlobalリードのシリーズBで4,000万ドル調達

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・設立 / 拠点:2017 / ロンドン
・調達額:4,000万ドル(累計調達額は、5,980万ドル)
・投資家:Tiger Global Management(リード)、Index VenturesPayPal Ventures(既存)
・概要: Codatは、中小企業が利用する財務ソフトウェアへのリアルタイムな接続性を提供するAPIプラットフォーム。このスタートアップのAPIは、QuickBooksやiZettleなどの中小企業の社内システムから、企業データを外部のプロバイダーに接続するもの。

このサービスのユースケースはわかりやすく、中小企業が融資を受けようとする場合、潜在的な貸し手に財務データを素早くデジタルで提供できる

Codatは、銀行やフィンテックが小規模事業者や彼らが使用するソフトウェアにプラグインすることで、リアルタイムの顧客データへのシームレスなアクセスを可能にする。またデータセットを連携させたエコシステムを構築しており、統合のための重い作業を処理することで、プロバイダーは中小企業向けのサービス向上に専念することができる。

Codatは、伝統的な金融機関からインボイス・ファイナンス、保険、キャッシュフロー予測まで、さまざまな業界の60社以上の顧客を有している。

このスタートアップには、そのAPIサービス以外にも興味深い製品が揃っている。Codatは、例えば、顧客向けに単一企業のデータをより消化しやすい形で表示するためのビジュアライゼーションツールを提供している。また、異なるサービスから取り込んだデータを相互に参照する方法を提供する「Insights」と呼ばれるサービスもリリースしたという。Codatは今日、APIに他のソフトウェアをバンドルしているという。

Codatの顧客は接続先の企業数に応じて課金される。

2019年末から2020年末までにARRを3倍に伸ばしたとのこと。

・参考までに調達情報などは、こちら

より公平な報酬を実現するための報酬プラットフォームPequityが、シリーズAで1,900万ドル調達

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・設立 / 拠点:2019 / サンフランシスコ
・調達額:1,900万ドル(累計調達額は、2,250万ドル)
・投資家:Norwest Venture Partners (リード)、First Round Capital、Designer Fund、Scribble Ventures(既存投資家)
・概要: Pequityは、データ駆動型の報酬ソフトウェアで、競争力のある公平な給与プログラムを構築する。オファー、レンジ、市場データ、人材分析、美しい候補者の手紙を備えたPequityは、オールインワンの報酬およびトータルリワードソフトウェア

Pequity製品は、HRIS、ATS、給与計算製品など、人事担当者が使用している他のすべてのツールに接続して、組織全体の給与を管理し、既存の従業員や将来の従業員に対する報酬を分析・比較する。ATSは、企業独自のデータを組み合わせ、典型的な業界の範囲や市場のトレンドなど、より広い市場のデータと比較して、人事チームに洞察を与える。

このことは、人事チームがより多くの情報に基づいて意思決定を行うことができることを意味しており、これは透明性と公平性を高めるための第一段階であると同時に、Pequityがチーム全体の報酬を測定する方法を具体的にカバーするために最適化されたものでもある。

昨年の正式発表以来、Pequityは100社以上の顧客を獲得している。またPequityを利用して報酬を比較検討している企業には、InstacartScale.ai、ClearCoなどがあり、同社によると、過去4カ月間で5,000件以上の求人情報が提供されているという。

・参考までに調達情報などは、こちら

企業がAPIを管理するためのサイバーセキュリティ・プラットフォームを提供するNoname Securityが、Insight PartnersリードのシリーズB で6,000万ドル調達

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・設立 / 拠点:2020 / カリフォルニア州
・調達額:6,000万ドル(累計調達額は、8,500万ドル)
・投資家:Insight Partners(リードかつ既存)、Lightspeed Venture Partners、Cyberstarts(既存)、Next47、ForgePoint Capital、The Syndicate Group
・概要: Nonameのプラットフォームは、様々なAPIを自動的に発見し、修復し、テストする

APIコールフローを分析し、外部からの脅威がなくても、例えば「internal」と表示されたAPIがオープンウェブに公開されているような場合でも、問題や異常な動作を検出する。また、Nonameは、開発やテストの段階で潜在的な問題を特定し、脆弱性が本番にならないようにする。さらに、攻撃をリアルタイムでブロックし、ワークフローと統合することで、脆弱性や誤った設定を解決する。

Nonameは、教師なし学習技術を活用して、各APIのリアルタイムの使用状況に基づいて、機械学習モデルを学習する。ラベル付きのデータセットが存在しない場合、教師なしモデルは、データを分類することを自ら教えることで、ドメイン知識のギャップを埋めるのに役立つ。

Nonameはこれらのモデルを用いて、アクティブなAPIのインベントリを作成し、そこを通過するトラフィックの分析を行い、何が出入りしているかを記録する。これにより、クレジットカード番号や社会保障番号などの機密情報を渡している可能性のあるAPIを特定することができる。

Nonameの競合他社には、Salt SecurityやTraceableなどがある。

・参考までに調達情報などは、こちら

企業のIT業務を自動化するプラットフォームを提供するMoveworksが、Tiger GlobalリードのシリーズCで2億ドル調達し、評価額は21億ドルに

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・設立 / 拠点:2016 / カリフォルニア州
・調達額:2億ドル(累計調達額は、3億1,500万ドル)
・投資家:Tiger Global Management、Alkeon Capital(共にリード)、Bain Capital VenturesLightspeed Venture PartnersKleiner Perkins、Sapphire Ventures、ICONIQ Capital(既存)
・概要: Moveworksのプラットフォームを使えば、従業員はMicrosoft TeamsやSlackなどの既存のメッセージングツールの中で、必要なことをチャットボットを介して説明することができる

Moveworksのクラウドプラットフォームは、サービス管理システム、ID・アクセス管理システム、ナレッジベース、メールアカウント、ワークフローの自動化、ファシリティ管理ダッシュボードなどと連携し、1億件以上の実世界のシナリオで学習したエンジンを適用して、サポート問題のトラブルシューティング手順を特定する。

セマンティック検索コンポーネントは、文脈を利用して記事、文書、FAQから回答を抽出する。

これは、さまざまなリクエストに自動的に対応するMoveworksの修復ソリューションを補完するもので、従業員が自分でメールリストのリクエストを行い、サポートチケットを自動的に適切なグループにルーティングすることができる。

またMoveworksのEmployee Service Platformは、アカウントのロック解除、パスワードのリセット、ソフトウェアのプロビジョニングなどの質問に答えるだけでなく、フォームを表示したり、ナレッジベースから回答を引き出したり、適切な専門家にリクエストを転送したりすることができる。

Moveworksのプラットフォームは、過去数ヶ月間でアクティブユーザーが700%増加し、現在および過去の顧客には、Palo Alto Networks、SlackLinkedInなどがある。

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YC W18出身のソーシャル・フード・オーダー・プラットフォームSnackpassが、評価額4億ドル以上のシリーズBでa16z、Y Comなどから7,000万ドル調達

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・設立 / 拠点:2017 / サンフランシスコ
・調達額:7,000万ドル(累計調達額は、9,560万ドル)
・投資家:Craft Ventures(リード)、Y CombinatorAndreessen HorowitzGeneral Catalyst (既存投資家)、Gaingels、AirAngels、Shrug Capital、その他個人投資家多数
・概要: Snackpassは、自らを「フード・ミーツ・フレンズ」と表現し、基本的にはレストランで注文するためのソーシャル・コマース・プラットフォームを提供している。友人が何を食べているかを見たり、食べ物や飲み物を注文し合ったり、グループオーダーをして購入者が自分で取りに行くといった、よりライトでソーシャルなコンセプトで作られている。

またこのプラットフォームでは、ユーザーは友人と一緒に割引を解除したり、ギフトを送ったり、ポイントを集めたりすることができる。

SnackpassはUberEatsのようなデリバリーサービスと連携しているが、Snackpassでの注文の90%はピックアップ。つまり、自社で配達員のフリートやそのインフラを用意する必要がないだけでなく、そのための運営コストもかからない。実際、多くの若者が、何かおいしいものを食べに行くことに満足していることがわかった。つまり、社交的になり、食べ物や飲み物(ボバティーが多い)を買った場所で自撮りをする。それがひとつの体験となる

同社のコミッションは7%からで、現在はオンライン注文、セルフサービスキオスク、デジタルメニュー、マーケティングサービス、顧客紹介プログラムなどを提供している。

現在、同社は13の大学都市に50万人のユーザーを擁しており、過去3カ月間だけで7倍の成長を遂げている。また学生への浸透率が80%に達しているまた平均的な顧客は月に4.5回注文し、中には毎日注文する顧客もいるという。

・参考までに調達情報などは、こちら

マネーロンダリング検知・調査プラットフォームを提供するミHawk AIが、シリーズAで1,000万ドル調達

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・設立 / 拠点:2018 / ドイツ
・調達額:1,000万ドル
・投資家:BlackFin Capital Partners(リード)、Picus Capital(既存投資家)
・概要: Hawk AIは、金融犯罪の疑いがあるケースを自動的に検知するためのクラウドベースのソフトウェア・ソリューションを開発・運営している。

Hawk AIによると、現在のアンチマネーロンダリング/テロ資金供与対策(AML/CFT)ソリューションでは、必要のない取引に誤ってフラグを立てたり、ブロックしたりすることが多いという。Hawk AIは、このような課題を解決するために、完全に透明で監査可能な機械学習を適用することで、誤った警告を排除し、大幅なプロセスの効率化を実現するとしている。

Hawk AIは、銀行や決済会社、フィンテック企業向けに、金融犯罪に関連する取引を検知するためのソフトウェアプラットフォームを提供している。

同社のソリューションは、複数の金融機関の情報共有と監視のためのプラットフォームを形成する。データ保護法を遵守しながら、年間数十億件の取引から得られるインサイトを得ることができる。

このソフトウェアは、人工知能によって金融取引における疑わしい行為のパターンを特定し、マネーロンダリング防止の専門家に関連性のある実行可能なアラートを提供する。

同社によると、金融機関は大幅な低コストで規制遵守を確保することができるという。クラウドネイティブでモジュール式のオープンアーキテクチャを採用しているため、既存の銀行や決済システムとの統合が可能。

・参考までに調達情報などは、こちら

その他のニュース

テンセントも出資する世界最大のレコード会社であるUniversal Music Groupが、仏Vivendiからスピンオフし、上場へ。

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フランスのコングロマリットVivendiは、株主にUMGの株式を提供し、今年9月末までにユーロネクスト・アムステルダムに上場させることを計画している。

今年6月22日に開催されたVivendiの年次総会では、テイラー・スウィフト、ドレイク、ビリー・アイリッシュを擁するUMGのスピンオフが99.88%の賛成を得て承認された。

Vivendiは当初、2023年初めまでにUMGを上場する計画だったが、中国のTencent Holdings(騰訊)と音楽事業のスピンオフであるTencent Music Entertainmentが主導して構成されるコンソーシアムへのUMG株10%の追加売却完了を受けて上場時期の見通しを前倒しした。今年2月13日の発表によると、この売却でのUMGの評価額は300億ユーロ(約3兆8300億円)だった。同コンソーシアムによるUMGの持ち株比率は20%となった。 

また今年6月初めには資産家Bill Ackman氏のSPACであるPershing Square Tontine Holdingsとの合併に向け協議していると報じられていた。合併後の評価額は約400億ドル(約4兆4100億円)となる見通しであった。

しかしUMGは、同SPACに10%の株式を売却する契約において、負債を含めて350億ユーロ(416億ドル)と評価されていた。そして今年6月20日には、同SPACが、この持ち株を約40億ドルで取得することに合意した。

結果としてVivendiはスピンオフしたUMGの株式60%を証券取引所に上場し、残りは、Vivendiが10%、資産家Bill Ackman氏のSPACであるPershing Square Tontine Holdingsが10%、Tencent Holdings(騰訊)と音楽事業のスピンオフであるTencent Music Entertainmentが主導して構成されるコンソーシアムが20%保有するとのこと。現在の計画通りに進めば、UMGの上場後、20%の株式を保有するTencentのコンソーシアムが筆頭株主になる。

■〈 Nasdaq上半期 〉

・395件のIPOを迎え、総額は過去最高の1,030億ドル

・調達額が最大のIPO10社のうち7社がNasdaqに上場( Bumbleなど)

・SPACのIPO全体の67%がNasdaqに上場し、590億ドル調達

・ヘルスケア、コンシューマー、テクノロジー関連のIPOにおいて、それぞれ93%、68%、60%を記録

・バイオテクノロジーと医薬品においても、IPO全体の98%

・Dow 30のHoneywellを含む、時価総額合計1,870億ドルの14社がNasdaqに移籍

■Y Combinator Top Companies — July 2021

最新のYC Top  Companies Listでは、評価額1億5,000万ドル以上の企業が160社以上、10億ドル以上の企業が40社以上ある。

リストに掲載された企業のセクター別内訳は、
・B2B Software and Services:44%
・Financial Technology and Services:16%
・Consumer:16%
・Healthcare:9%など

最後に

読んでいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか。引き続き、週に2,3回のペースで、シード〜シリーズCの海外スタートアップ調達情報をnoteにて公開していこうと思いますので、よろしくお願いします。

何かご要望・意見などございましたら、Twitter(@Wesley1978xyk)までお願いします。またフォローもよろしくお願いします。

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