シード〜シリーズC注目資金調達ニュース Vol.9 (6月下旬①)
今回は6月下旬の資金調達ニュースお届けします。
主にシード〜シリーズCの領域で日頃チェックしているので、そこからのPickです!週に2,3回上げていきますので、引き続きcheckお願いします。
①「モバイルアプリ向けShopify」のTapcartが、シリーズBでShopifyなどから5000万ドル調達
・設立 / 拠点:2017 / カリフォルニア州
・調達額:5,000万ドル(累計調達額は、6,510万ドル)
・投資家:Left Lane Capital(リード)、Greycroft、SignalFire、Amplify.LA、Act One Ventures(既存投資家)、Shopify
・概要: Tapcartは、eコマース事業者が自社ブランドのモバイルアプリを立ち上げ、管理するためのSaaSプラットフォーム。
Tapcartのプラットフォームは、シンプルなドラッグ&ドロップ式のビルダーを提供しており、誰でも既存のShopifyストアのモバイルアプリを作成することができる。ツールを使ってレイアウトをデザインし、商品詳細ページをカスタマイズし、チェックアウトオプションを統合し、商品レビューを掲載し、さらにオプションでブログ、ルックブック、ビデオ(ライブビデオを含む)などのブランドコンテンツを追加することができる。
すべてがShopifyからアプリにリアルタイムで同期されるため、マーチャントの在庫、商品、コレクションはすべて最新の状態に保たれる。これは、データの重複やデータ変換を必要とするいくつかのライバル企業とは大きく異なる点。一方、TapcartはShopifyのすべてのAPIとSDKを活用し、Shopifyの既存のデータ構造で動作するネイティブアプリケーションを作成する。
Shopifyとの緊密な統合により、TapcartはEコマースのインフラに注力する必要がなくなった。なぜなら、在庫やコレクションの構成は、ブランド間でほぼ90%同じだから。Tapcartは、ブランディング、コンテンツ、デザインなど、ブランドを際立たせる10%の部分に焦点を当てている。CMSにより、マーチャントは独自のコンテンツを作成したり、色やフォントを変更したり、動画を追加したりして、アプリを完全にカスタマイズすることができる。
Tapcartは、モバイルアプリの制作だけでなく、マーチャントのマーケティングの自動化も支援している。
Tapcartのプラットフォームを利用することで、マーチャントはプッシュ通知を利用してリアルタイムに顧客とコミュニケーションをとることができ、新規販売のお知らせや、放置されたカートへの再送などのプロモーションを行うことができる。
また、マーケティングキャンペーンを自動化することも可能なため、販売開始や商品追加のスケジュールを事前に立てることもできる。
このプッシュ通知は、そのインタラクティブ性とブランディングにより、従来のEメールやSMSと比較して72%のクリック率を実現しているとのこと。
過去12ヶ月間で、12億ドル以上のマーチャントの売上がTapcartのプラットフォームに流れた。また、2020年には、2019年に比べて消費者のモバイル画面使用時間が前年比で20%増加していたパンデミックの間に、モバイルアプリがさらに急速に成長したことで、Tapcartの経常収益は3倍に増加した。
また、モバイルコマースの支出も前年比55%増となり、ホリデーショッピングシーズンには世界で530億ドルを突破したという。Tapcartの自社マーチャントでは、この間、モバイルアプリによる注文が1秒に1回以上の割合で発生しており、パンデミックが終息しても、こうした傾向は続くと考えているという。
現在、Tapcartは一律のSaaS料金を徴収することで収益を上げており、マーチャントの総売上のパーセンテージを徴収する多くの競合他社とは一線を画している。
・参考までに調達情報などは、こちら。
②セキュリティとコンプライアンスの自動化プラットフォームDrataが、シリーズAで2,500万ドル調達
・設立 / 拠点:2020 / カリフォルニア州
・調達額:2,500万ドル(累計調達額は、2,820万ドル)
・投資家:GGV Capital(リード)、Cowboy Ventures、Leaders Fund(既存)、Okta Ventures、Silicon Valley CISO Investments、Basis Set Ventures
・概要: Drataのプラットフォームは、自動化されたセキュリティコントロールの監視と証拠収集により、企業の継続的なコンプライアンスの達成と維持を支援する。
ユーザーは、セキュリティプログラムを即座に可視化することができ、担当者のオンボーディング、ポリシーの作成、ベンダー管理、リスク評価などを含むコンプライアンスプロセスをエンドツーエンドで合理化することができる。
Drataの技術により、企業は監査準備プロセスを合理化し、リアルタイムのセキュリティパフォーマンスを即座に可視化し、自社のコントロールが様々なコンプライアンスフレームワークにどのようにマッピングされているかを正確に理解することができる。
Drataは、シングルテナント・データベース・アーキテクチャに基づいて構築された、コンプライアンス自動化分野における唯一のソリューションであり、顧客のデータが他の顧客のデータに触れることがないようにしている。
Drataの現在の顧客基盤は、Clearco、SmartRecruiters、The Good Face Project、360 Insights、Trust & Willなど、様々な業界の数百社に及ぶ。また前月比100%の平均成長率を維持している。
・参考までに調達情報などは、こちら。
③ノーコードのビジネスオートメーションサービスTonkeanが、AccelリードのシリーズB でLightspeedなどから5,000万ドル調達
・設立 / 拠点:2015 / サンフランシスコ
・調達額:5,000万ドル(累計調達額は、8,320万ドル)
・投資家:Accel (リード)、Lightspeed Venture Partners、Foundation Capital(既存投資家)、Atlassian 共同創業者/Co-CEOのScott Farquhar氏、Eric Schmidt氏
・概要: Tonkeanは、エンタープライズクラスのコード不要のプロセスオーケストレーションプラットフォームを提供するスタートアップ。
Tonkeanは、企業のオプスグループ(営業オプス、マーケティングオプスなど)が、アプリケーション全体で自動化されたビジネスロジックを設定できるようにするもので、その中にはヒューマンインザループの要素も含まれている。また、Tonkeanは、ITフレンドリーなシステムを構築しており、企業規模の顧客をサポートすることができる。
Tonkeanでは、営業担当者がCRM内でリードを育成のために選択すると、そのリードが自動的に特定のMarketoキャンペーンに追加されるようなロジックをセールスオプスチームが設定する。さらに、クリック・トゥ・ナーチャーのシステムは、営業チームの人間に警告を発し、その決定に対する承認を求めることができる。
Tonkeanのソフトウェアは、コード不要のツールを採用しており、Opsグループは既製のコマンドモジュールを使ってビジネスロジックを構築したり、必要に応じて独自に作成したりすることができる。
同社のソフトウェアを使用することで、エンジニアリンググループに業務の高速化や自動化の支援をあまり求めていない企業でも、より権限のあるチームを作ることができるようになる。
今回のラウンドで同社の評価額が約4倍に上昇した。
・参考までに調達情報などは、こちら。
④クリエイターの自社製品ラインの立ち上げを支援するPietraが、シリーズAでa16z、Founders Fundなどから1,500万ドル調達
・設立 / 拠点:2019 / ニューヨーク
・調達額:1,500万ドル
・投資家:Andreessen Horowitz、Abstract Ventures、TQ Ventures(既存投資家)、Founders Fund
・概要: Pietraは、クリエーターがビジネスを構築するために必要なすべてのツールを提供するBusiness-in-a-boxプラットフォーム。
Pietraは、物理的な商品の販売を拡大しようとしているクリエイターのために、サプライヤーとのやりとり、注文やフルフィルメントの処理、オンラインストアの立ち上げまで、幅広いプラットフォームを構築している。
Pietraでは、お客様がサプライヤーのネットワークを利用して買い物をし、自分に最適なサプライヤーを見つけ、サンプルの作成から注文の履行までのプロセスを技術的なプラットフォームを使って行うことができる。
このスタートアップは、小規模なクリエイターが製品の流通規模を拡大するのを支援するだけでなく、先行販売サイトの構築や製品の魅力的なマーケティングイメージの構築など、ブランドを立ち上げる際に成功の鍵となるあらゆる要素を処理しようとしている。
Pietraは、水着、メイクアップ、アパレル、フレグランス、ジュエリーなど、さまざまな分野の製品に特化している。全体的に見て、彼らのプラットフォームは、最初のブランドを構築しようとしているインフルエンサーが広く成功しているタイプの製品を中心としている。
Pietra の価格設定は、利用するサービスの数やオペレーションの規模によって異なるが、ほとんどのサービスはユニット単位で課金され、Pietra はマーケットプレイスで販売された商品のパーセンテージを受け取る。
また、年に何度も生産を行っているような、少し実績のあるブランド向けに、価格を差別化したProサービスの開発も進めている。
・参考までに調達情報などは、こちら。
⑤デジタルグリーティングカードのスタートアップGivingliが、Seven Seven Sixリードのシードで300万ドル調達
・拠点:ロサンゼルス
・設立:2019
・調達額:300万ドル
・投資家:Seven Seven Six(リード)、Pipe 共同創業者/共同CEOのHarry Hurst氏、Snap's Yellow Program、Fam 共同創業者CEOのGiuseppe Stuto氏
・概要: Givingliは、人々との日常的なつながりをシンプルでより意味のあるものにする、デザインフォワードな方法で、デジタルグリーティングやギフトをカスタマイズして送ることができる。
Givingliは、特別なイベントや、ユーザーが誰かに自分のことを思っていることを伝えたいと思う瞬間のためのグリーティングに、モバイルファーストのアプローチで取り組んでいる。
このアプリは、月額3.99ドルのプレミアム・サブスクリプションによって収益化されており、ユーザーは、Givingliが作品のライセンスを取得している40人以上のアーティストから、より多様なデジタル・グリーティング・デザインにアクセスすることができる。
プレミアム会員になると、ユーザーはグリーティングと一緒にデジタルギフトカードを購入することもできる。Givingliのギフトカードストアフロントには、Amazon、Spotify、Nike、DoorDashなど、150以上のブランドが用意されている。
ユーザーは、数百種類のグリーティングカードの中から好きなものを選ぶことになるが、文字を書くだけでなく、写真や動画を追加してスパイスを加えることもできる。その目的は、メールやテキスト、ソーシャル・メディア・サービスで共有されるメッセージに匹敵する瞬間を作り出すこと。
昨年秋、GivingliはSnapとの提携により、同社のギフティングサービスをSnapMiniアプリに統合することでSnapchat内に導入した。Givingliは、SnapのYellow Acceleratorプログラムに参加した後、このサービスを展開した。
このパートナーシップにより、彼らのプラットフォームに多くのユーザーが集まり、2019年にアプリをローンチして以来、500万人以上の人々がGivingliを使って挨拶を送っているという。
・参考までに調達情報などは、こちら。
その他VC関連ニュース
■Accelが、3つの新しいファンドを計30億ドルでクローズ。
・15番目の米国アーリーステージ・ファンド(6億5,000万ドル)
・ヨーロッパおよびイスラエル向けの7番目のアーリーステージ・ファンド(6億5,000万ドル)
・6番目のグロース・ファンド(17億5,000万ドル)
■B2B SaaS特化のアクセラレーターAccelepriseが、リブランディングし新ファンドを組成
B2B SaaS特化のアクセラレーターであったAccelepriseが、アクセラレーターを超えたフルサービスプラットフォーム、ベンチャーファンド、コミュニティの
forumventuresに。
また今回の発表にあわせて1,700万ドルのプレシードファンドと、1.320万ドルのシードファンドを組成。
今後、100万ドル〜400万ドルのラウンドに対して、10万ドルから65万ドルの資金を出資していく予定。
最後に
読んでいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか。引き続き、週に2,3回のペースで、シード〜シリーズCの海外スタートアップ調達情報をnoteにて公開していこうと思いますので、よろしくお願いします。
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