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入社1年目ってどんな感じ?

富士宮市の市街地から車で約15分。丘を一つ越えた先にあるのどかな里山が、私たちホールアース自然学校がある柚野ゆの地区です。
中心地から離れているので、初めて行くと「本当にこっちで合っているのだろうか」と少し不安になるかもしれません。でも、そんな場所だからこそ、豊かな自然に囲まれた“ここだけの世界”があるように思います。

入社1年目のスタッフは、不安と期待を胸にホールアースにやってきますが、そんなドキドキした気持ちを癒してくれるのが看板犬のサトです。



職場に緑がある。
敷地のすぐそばには富士山の湧水が流れる川がある。
季節に応じて聞こえてくる生きものの声も様々。
ログハウスのような事務所。
手作りの階段やウッドデッキ。
スタイリッシュとは言えないけれど、計算しては作ることができない、“味のある”場所です。


さて、そんな職場環境に少しずつ馴染んでもらいながら、新入スタッフはどんな1年を過ごすのか?主に富士山本校での1年を、季節を追ってお伝えしたいと思います。





春(学校団体向けのプログラムをできるようになる)

緑萌ゆる春。柔らかな新芽がまぶしい季節。生きものたちも少しずつ動き出します。と同時に、私たちも忙しくなっていきます。1年のうちで一番忙しいシーズンと言っていいかもしれません。4~7月にかけては、修学旅行のシーズン。たくさんの学生たちを自然の中に案内します。新入スタッフは、まずこの学校団体向けのプログラムをできるようになるのが1番の目標となります。それには第一に、フィールドの魅力を知らないといけないので、毎日のようにフィールドトレーニングを行います。メインのフィールドは青木ヶ原樹海。最初から「この木はこういう木で…」とか「溶岩の性質は…」等勉強チックに教わるのではなく、まずは純粋に森を歩く心地よさや、洞窟に入るドキドキ感を味わってもらいます。むしろ、その最初の印象が大事です。それは、初めて青木ヶ原樹海に来る学生たちと同じ気持ち。どんなところに興味を持ち、どんなところが「楽しい!」と思い、どんなところにドキドキするのか、その気持ちは“はじめて”でないとわかりません。プログラムの中でどんなことを話すのか、基本的な内容はどのスタッフも同じですが、それに加えて、自分が魅力的だと感じることを伝えることも大切になってきます。なぜならそれが一番伝わるから。そのためにも、目の前の自然の魅力を様々な角度で知っていく努力が必要です。青木ヶ原樹海の森、溶岩洞窟、紅葉台、二ツ塚、宝永火口等、案内することが多いフィールドに加え、その周辺のフィールドの特徴を知り、その次に富士山の噴火の歴史であったり、植生の特徴、自然と人のつながりといった文化などの知識を深めていきます。同時並行で、実際のプログラムに同行し、先輩たちがどのようにガイドをしているのかを観察し、「自分だったらどう話すか?」「どこで何を話すか?」等、イメージをふくらませていきます。

フィールドに足繫く通い、ルートを覚え、どこにどんな特徴があるのか把握し、先輩の話し方をインプットし、人前で話す練習をし、プログラムの型がつかめてきたら、早速実践です。ホールアースはまず「やってみる」ということを重要視しています。やってみて、先輩からフィードバックをもらい、また改善していく、というサイクルの繰り返しです。最初は洞窟探険のパートで話してみる等、プログラムの一部分だけ担当し、徐々にパートを増やしていきます。実践の場は毎日あるので、毎日ドキドキがあるかもしれませんが、参加者を楽しませることができたら、喜びと充実感を感じることができるでしょう。

「覚えることがいっぱい」「1週間があっという間」。そんな1~2か月をがむしゃらに過ごし、ゴールデンウィークが明けた頃には独り立ちです。ガイドというのは「ここまでいったら完璧」というゴールはなく、常に進歩が必要な仕事です。だからこそ、奥深い仕事でもあります。新入スタッフは、この時期、そのスタートラインに立つのです。


夏(主催プログラムの醍醐味を知る)

修学旅行のシーズンが落ち着いたらほっと一息…もつかの間、夏になるとホールアース主催のプログラムのハイシーズンになります。春の学校団体のプログラムを行っている裏で、先輩たちは夏の主催プログラムの準備をしています。学校団体のプログラムは型が決まっていますが、主催プログラムはスタッフの想いを形にしたもの。生きもの好きのスタッフは、生きものにたくさん触れあうキャンプをしたり、アウトドアが好きなスタッフはトレッキングや川遊びなど全身で自然を感じられるツアーを組んだり、テーマは様々です。スタッフの得意分野を活かし、かつ富士山の自然を目一杯楽しむ企画を立てています。もちろん、ホールアース流のキャンプの型や、ツアーの枠組みはある程度決まってはいますが、学校団体向けのプログラムよりも、流動的です。例えば、宿泊型であったり、人数も少人数であることが多いので、より参加者と近い関係性になります。型にはまったプログラムを提供するというよりは、参加者の様子や全体の雰囲気、時に天候の変化を考慮しながら、行程を臨機応変に変えていくことが大切です。スタッフはプログラムの提供者ではありますが、参加者全員でよい時間をつくっていくということを大事にしています。

このように、主催プログラムというのは学校団体向けとは全く異なるスタイルで、最もホールアースらしいプログラムと言えます。新入スタッフは、シーズン前に「キャンプ論」といってホールアースがキャンプをする上で大切にしていることを学んだり、リスクマネジメントの研修なども受け、主催プログラムに加わり、できることからやっていきます。ある程度の役割は与えられるものの、基本的にはその場その場で自分ができることを見つけ行動していくことが求められます。そして、参加者が楽しめることはもちろん、スタッフ自身も楽しむことが大切です。1年目は何かの担当になるというより、ホールアース流のプログラムを体に叩き込むという感じになります。そのプロセスには、ホールアースで仕事をする上でのエッセンスが詰まっています。


秋(様々な事業を知る)

春ほどではありませんが、秋も修学旅行のシーズンなので、学校団体向けのプログラムを行います。春で身に付けたスキルをさらに磨いていく季節です。春だけでは全てのプログラムをできるようにはならないので、秋も毎回ドキドキしながら実践を重ねてできることを増やしていきます。また、季節も変わっているので、秋ならではのガイドをしていく必要があります。学校団体のプログラムに加え、秋は受託事業のプログラムも増えていきます。親子向けの自然探求のプログラムであったり、自然素材を活かしたクラフトのプログラムだったり、人材育成の事業だったり、実に様々です。行政の担当者や、各分野の専門の方々など、関わる方々は今までのシーズンとは異なります。ここでは、何かをできるようになってもらうというよりは、ホールアースの仕事の解像度を上げてもらう時期になります。


冬(施設整備と来期の準備)

冬も秋に引き続き、様々な事業はありますが、新入スタッフにとっては施設整備や来期の準備のシーズンになります。ハイシーズンに向け、施設内の壊れてしまった箇所を修理したり、道具をメンテナンスしたり、資材を補充したり、手を動かす仕事がたくさんあります。ハイシーズンではどうしてもまとまった時間がとりにくいので、この冬の時期にどれだけ準備できるかが、次のシーズンに影響していきます。また、経験によっては、来期に自分の企画を打つことも可能です。そのためにはフィールドの下見であったり、企画を通すための様々な準備が必要です。自分に足りないスキルアップのシーズンにしてもいいでしょう。


さいごに

ホールアースはどんな組織で、どんな仕事があるのか、その全体像を掴むのは少し時間がかかるかもしれません。それは、どのスタッフもそうだったので心配しないでください。最初の1年は、まずは何よりもガイドの基礎を固める1年です。そして、色んな事業があり目まぐるしいので、しっかり体調管理を行うのも大切です。忙しい中にも、楽しさややりがいを見つけられると充実していきます。ちょっとやそっとの失敗は、先輩たちがフォローしてくれます。それよりも、前のめりで「なんでもやってみよう!」というマインドの方が大歓迎です。できることは、自分で見つけていけるようになると、ホールアースでの日々は豊かになっていきます。

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