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小沢健二「Eclectic」が素晴らしいという話

最近、小沢健二の「Eclectic」を聞き返しています。

小沢健二という人はすごく音楽的知識の深い人で、フリッパーズからソロ初期にかけてはネオアコの影響が強く、その後「LIFE」あたりはファンク、ソウルに傾倒した音作りをしています。

その後この「Eclectic」で急激にメロウな方向に振れるので、当時聞いたときは「何だこの地味なアルバムは」と思った記憶があります。

ただ、今聞いてみると寒い時期と合うのか、凄く良い。
楽器の数自体は多くないのですが、低音しっかり効いてよくうねるベースラインとか、エコーの細かいかけ具合とか、少しささやきにも似たボーカルとか、聞いていてなんだか気持ちいいんですね。

やはり小沢健二で聞かないといけないのは歌詞で、このアルバムに入っている「今夜はブギーバック/あの大きな心」がほんとに素晴らしい。スチャダラパーとの「今夜はブギーバック」のリメイクもしくはセルフカバーのような形で、歌詞を少し変えつつ仕上げています。

その中で凄く美しいなと思ったのが「南へ行く高速道路」というフレーズ。このフレーズが重要であることは「こうそくどうろ」という歌い方でも表現されています。
歌詞の他の部分は割と魔法めいたというか、抽象的な言葉が多く使われているのですが、ここだけ妙にざらっとした手触り感があると同時に、高速道路というのは早く動くためのなめらかなものですよね。

恐らくは小沢健二本人も、そういったことを踏まえて意識的にこのフレーズをここに置いているのではないかと思います。

ということで、「Eclectic」、機会があれば是非聞いてみてください。

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