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副業という戦略

「好きを仕事に」のキャッチフレーズが広がり、自分の好きなことを仕事にするにはどうしたらいいか?という質問を受けることがあります。僕の答えはシンプルで、好きなことは本業でなく副業にしたらいいと思っています。

本業にしてしまうと、きちんとお金を稼がないといけないから、稼げることしかできないし、毎月毎月、ノルマのように売上が伸しかかってしまいます。そうやってお金とのバランスをはかっていると、お金のためにやりたくないことをしなければいけません。

それよりも、どんな仕事でも良いから定期収入を得ておいて、余った時間で、好きなことを仕事にしたら良いと思うのです。

特にクリエイティブ業界は、今の時代、不景気でみんな予算がないので、ギャラが安い。逆手に取れば、ギャラが安くても良ければ仕事はどんどん取れます。まずは腕をしっかり磨き、「本業の収入があるから安いギャラでも良いこと」を武器にして、仕事を取りまくるということができるでしょう。

ライターでもカメラマンでも、DJでもダンサーでも、司会者でもデザイナーでもなんでもそうです。「組織や装置」が必要ない仕事なら、副業にすれば、好きを仕事にするチャンスはかつてないほど大きくなっています。

発注側も、フリーランスだから信用できないとか、個人だから発注しないということはほとんどなくなってきています。大きな企業でも、いち個人に普通に仕事を頼むようになってきました。

かつて編集業界でも、旦那さんの稼ぎで食べているからギャラはほとんど要らないという「主婦ライター」や「読者モデル」がプロの仕事をどんどん奪うということが起きました。最初は腕前も全然だったのですが、面白いもので、予算がない編集部などはどんどん発注するようになり、そういったアマチュアの方々が仕事を重ねているうちにスキルも上がっていって、ギャラも安いのに腕もそこそこという状況になったのです。

さらには、得たギャラを貯める必要もないため、自由に高級店も食べ歩き、いつしかそこらのライターよりもお店を良く知っているということが起きたりしました。

仕事を頼む側から見ていて「こんな反則みたいなやり方があるのか」と感心していました。

たとえばDJを目指しているなら、きっちりYoutubeなどで腕を磨き、知り合いのパーティーなどで練習したら、あとは「ギャラは要らない」といって営業をかければ、そこそこのクラブで前座くらいにはすぐに起用してくれます。

京都の観光業界における「観光ガイド」も同じような状況で、もともと大きな会社などで働いていて退職金もしっかりもらったシニアのみなさんが、好きを生かして副業的に取り組んでおり、ギャラも安いし知識もあるし、真面目だし、ということで、良くも悪くもプロの職業ガイドではほとんど成り立たない相場となっています。
プロのフリーランスからすると「素人のショバ荒らし」でしかないのですが、昔と違ってネットで腕を磨くことができるので、一般企業の副業解禁の流れとも相まって、相場はさらに荒れることになるでしょう。むしろピンチにさらされているのは、プロの方ですね。

それが逆手に取れたら、アマチュアの方にはチャンスしかない時代でしょうね。くれぐれも、好きを本業にしないことが、最強の戦略となるでしょう。

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