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再生型観光の最前線-8 ゼブラ企業とリジェネラティブ・ツーリズム

well f.m.一般社団法人 ファウンダー・理事 善井靖です。

【笑 と 益】 emi to eki

旅する人も迎える人も笑顔をあふれ、環境にも人にも地域にも、ためになる。役に立つ。つまり、「益になる仕組み」を提供していく組織。
それが我々「well-beingをfind myselfする」well f.m. です。

「旅する人も、迎える人も、幸せになる仕組みづくり」の事例として、再生型観光の最前線をシリーズでリポートしていきます。

再生型観光=リジェネラティブ・ツーリズムとは、旅行先の状況をより良くするような旅行を意味しており、リジェネラティブ・トラベル(Regenerative travel)とも呼ばれます。

地域の社会課題解決の担い手となるゼブラ企業こそが、リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)の3つの再生要素、
① 環境 ② 人 ③ 地域 の
③ 地域を再生を担う役割 
になると、私は見ています。とお伝えしました。

再生型観光(Regenerative Tourism)をここで今一度整理してみたいと思います。

再生型観光(Regenerative Tourism)は、持続可能な観光の概念をさらに一歩進めた新しい観光アプローチです。

  1. 定義と概念: 再生型観光とは、観光活動を通じて訪問先の環境、文化、経済、そしてコミュニティを積極的に改善・再生することを目指す観光形態です。単に悪影響を最小限に抑える「持続可能な観光」から一歩進み、積極的に正の影響を与えることを目標としています。

  2. 主要な特徴: a) 環境再生:生態系の修復、生物多様性の向上 b) 文化の強化:地域の伝統や文化の保護、活性化 c) 経済的包摂:地域経済への貢献、公平な利益分配 d) コミュニティ参画:地域住民の主体的な参加と意思決定

  3. 実践方法: a) 環境修復プロジェクトへの観光客の参加 b) 地域の伝統技術や文化の体験・学習プログラムの提供 c) 地域生産物の優先的使用と観光客への販売 d) 地域住民との交流機会の創出

  4. 従来の観光との違い:

    • マス・ツーリズム:大量消費型、環境負荷大

    • エコツーリズム:環境保護重視、影響最小化

    • 持続可能な観光:バランスの取れた発展、現状維持

    • 再生型観光:積極的な改善・再生、正の影響創出

  5. メリット: a) 観光地の長期的な魅力向上 b) 地域コミュニティの活性化と誇りの醸成 c) 観光客の深い満足度と学びの機会提供 d) 環境保護と経済発展の両立

  6. 課題: a) 実施コストの増加 b) 地域の受入体制の整備 c) 観光客の意識・行動変容の必要性 d) 効果測定の難しさ

  7. 海外での事例:

    • コスタリカのロッジでの熱帯雨林再生プロジェクト

    • ニュージーランドのマオリ文化再生プログラム

    • イタリアのアルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)による過疎地域の活性化

  8. 導入への戦略: a) 地域の特性と課題の徹底的な分析 b) 長期的なビジョンと具体的な行動計画の策定 c) 多様なステークホルダーとの協働体制の構築 d) 観光客への教育と啓発活動の実施 e) 継続的なモニタリングと改善プロセスの確立

再生型観光は、観光産業の未来像として注目を集めています。しかし、その実現には地域全体の協力と長期的な視点が不可欠です。観光地としての魅力を高めつつ、地域社会と環境に真の価値をもたらす観光のあり方として、今後さらなる発展が期待されています。

©中小企業庁

「骨太の方針2023」にゼブラ企業の育成推進が明記され、我が国は
ローカル・ゼブラ企業にフォーカスが当たり始めました。

再生型観光とゼブラ企業の関係性は非常に興味深く、両者には多くの共通点と相乗効果があります。以下に、これらの関係性を詳細に説明いたします。

  1. 概念の共通点: a) 長期的視点:

    • 再生型観光: 地域の長期的な再生と発展を目指す

    • ゼブラ企業: 短期的な利益よりも長期的な価値創造を重視

  2. 具体的な関連性: a) 地域貢献:

    • 再生型観光: 地域の資源を活用し、地域に還元する

    • ゼブラ企業: 地域社会との共生を重視し、地域経済に貢献する

  3. 相乗効果: a) ゼブラ企業による再生型観光の推進:

    • ゼブラ企業の理念を持つ観光関連企業が、再生型観光を実践することで、より効果的な地域再生が可能

  4. 具体的な事例: a) パタゴニア社の取り組み:

    • アウトドア用品メーカーのパタゴニアは、ゼブラ企業の代表例であり、同時に再生型観光の要素を取り入れている

    • 環境保護活動と連携したアドベンチャーツーリズムの推進

    • 製品の修理サービスを通じた持続可能な消費の促進

  5. 課題と展望: a) 測定と評価:

    • 両者とも、その効果や影響を定量的に測定することが難しい

    • より精緻な評価方法の開発が今後の課題

再生型観光とゼブラ企業は、共に従来の経済モデルや価値観に挑戦し、より持続可能で包括的な社会を目指す概念です。これらの理念が融合することで、観光産業を通じた真の意味での地域再生と社会変革が可能になると期待されています。今後、これらの概念がさらに発展し、実践されていくことで、より良い社会の実現に貢献していくでしょう。

well fmでは、再生型観光におけるゼブラ企業の可能性について、より深堀してみたいと思います。

リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)の3つの再生要素、
① 環境 ② 人 ③ 地域 の
③ 地域を再生を担う役割 
を「ローカル・ゼブラ企業」が担い、その実行組織の形が観光地域づくり法人(DMO)となるケースが出てくるものと予測しています。


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well f.m.では、「環境・人・地域」の再生をテーマに、先進地を視察する現地集合解散型研修ツアーで、本年秋より実施予定です。
24年度「再生の旅・国内シリーズ」の活動を経て、25年春~夏に「再生の旅~フィンランド」を実施予定で検討しております。

「旅する人も、迎える人も、幸せになる仕組みづくり」再生型観光の最前線は、隔週日曜に更新予定です。
どうぞ、引き続き覗いていただければ幸甚です。

           well f.m.一般社団法人 ファウンダー・理事 善井 靖

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