『TÁR』と欲望
2023年のアカデミー賞では作品賞含む6部門にノミネートされ、日本では2023年5月12日に公開された『TÁR』(邦題は『TAR/ター』)。公開初日に映画館で字幕版を鑑賞し、その後に2回観るほど、惹き込まれる映画だった。本記事では、この作品にふさわしい光の当て方だと個人的に感じている、「欲望」について紹介したい。なお、本記事は最後まで公開情報の範囲で記載する(ネタバレ含む内容自体の考察については、数多ある他の記事や動画を参照されたい)。
欲望 desire
今回も、京都大学経営管理大学院 教授の山内裕先生による記事を参照している。なお、以下の記事ではイノベーションのアプローチである「エステティック・ストラテジー」に関連する用語に並んで「欲望」が出てくるが、本記事では欲望にのみ焦点を置いて引用する。
以上から、人々の欲望は「謎」と関連している。そして、その時代・社会の意味から排除されている「謎」(=意味が与えられないもの=「無意味」)を核とした表現をつきつけることが、時代を画すことに直結する。
なお、引用元は2023年3月16日に公開された記事だが、11月12日には「イノベーションの欲望」が公開されている。また、欲望を越えた欲望としての「享楽」についての記事も、近々公開される見込みとのこと(11月28日追記:公開されました「享楽のイノベーション」)。ご関心があれば、ぜひこれらも合わせて読んでいただければと思う。
さて、『TÁR』の公式サイトでは「この映画のラスト、どう見た?」というページがある。つまり、まさに「謎」がつきつけられ、その結果として議論が起こる結末を迎えるのである。
結末に至る過程を捉えるにあたって、以下記事で独占公開されているインタビューのなかでリディア・ター役を演じたケイト・ブランシェットが語っている内容(2:55〜5:05、含むストーリー展開)は、示唆に富んでいる。それは、上述した欲望(そして特に、欲望を超える欲望としての「享楽」)についての核心を突いているように思う。
ちなみに、同インタビューの内容は映画パンフレットでも記載されている。観賞後に読んだ際に、思わず唸ってしまったことをよく覚えている。
Prime Videoでは、11月27日時点で「まもなくPrimeで5日以内に公開」とのこと(字幕版、吹替版)。機会があればぜひ楽しみとして『TÁR』をご覧いただきつつ、欲望や謎について考えるきっかけにもしていただければと思う。
(なお、本記事のトップ画像は、米国映画製作・配給会社Focus Features社の『TÁR』公式サイトから転載している。このビジュアル表現についても個人的には興味深く感じるが、日本では展開されていない。)
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