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人類学の視点からデザインを広く捉えることの一例

東京デザインプレックス研究所フューチャーデザインラボに携わっていらっしゃる山本尚毅さんに声かけいただき、山本さんのプレックスプログラム講義「デザインを広く捉えること──社会課題と人類学の視点から」(2023年6月7日実施)のなかで、人類学の視点について私からも少しお話させていただきました。自己紹介・講義・ワークショップで45分ほどいただいたうち、講義部分のスライドをこの記事で共有します。なお、想定する受講生は“目に見える領域のデザインを学習中で、これまで人類学にふれたことがない人”であり、授業タイトルの通り“デザインを広く捉えること”に少しでも繋がることがゴールです。

(自己紹介と講義を橋渡しする一枚)
デザインと人類学はいかに結びつけられるのだろうか?
議論や実践の全てを共有できないが、ひとつは「文脈」がありうる。
デザイン側における「文脈」とは何か。
(定義はさまざまあるだろうが、)UXは利用文脈に影響される。
さらに、利用文脈とは瞬間的なものだけでなく、時間のなかで捉えることが重要。
UXのデザインとは、すでにある文脈を理解し、よりより文脈を新たにつくること、と言える。
次に、人類学側における「文脈」とは何か。
前提として、文化人類学では文化、つまり差異を表す概念を捉えるために調査を行う。
参与観察などエスノグラフィでは、現場の文脈のなかで意味を理解する(ことに努める)。
意味とは言明が全てではなく、観察した内容を調査対象の文脈で調査者が発見することもある。

上記における「デザイン」はいわば企業内の実務としても受け取れますが、エスノグラフィを実務として実践することの詳細な議論や課題にご関心があれば、以下の編著論文を参照いただくとよいかと思います。
伊藤泰信「文化人類学の視角と方法論を実務に活かす──ビジネスエスノグラフィの可能性と課題」八巻惠子編『企業実践のエスノグラフィ』

追記:講義のレポートが公開されたので、リンクを貼っておきます。


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