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政党批判はどこまで許されるか

馬場代表の発言

 日本維新の会の馬場伸幸代表のインターネット番組での発言が波紋を呼んでいる。共産党を「日本からなくなったらいい政党だ」と発言した。馬場代表は「政治家として信念を持って発言している。謝罪や撤回をする気は全くない」と述べている。同発言に対して政策に対する批判は「当然の権利」としながらも「存在そのものを否定することは民主主義を蹂躙するものであり到底許すことはできない」と強く反発している。また、立憲民主党の岡田克也幹事長も「公党のトップとして度が過ぎている」と非難している。

 馬場氏は代表に就任して以降、日本維新の会の勢力拡大への野望を隠そうとしていない。立憲民主党を「潰す」と表現した上で、「第一自民党、第二自民党でいい。それが改革合戦をやる。どんどん改革をやって国家国民のためになることを競い合う。」と発言している。馬場代表は叩き上げの政治家として知られており、だからこそ政治の現状に思うところがあるのかもしれない。


自民党vs公明党

 20年来の蜜月関係を築いている自民党と公明党だが、以前は公明党が野党に属し自民党から熾烈な攻撃を受けた背景がある。公明党の支持母体は創価学会であるが、これが政教分離に反するのではないかと自民党が攻撃したことがあった。細川護煕元総理を誕生させた非自民連立政権に公明党は参加した。これを契機に自民党は公明党を政教分離問題を引き合いに創価学会を攻撃した。国会内だけでなく国会外でも自主勉強会を開き攻勢をかけた。国会内では池田大作名誉会長の証人喚問もちらつかせた。

 ところが新進党が解党され自民党との連立政権の可能性が出始めると一気に「打ち方やめ」となった。突然、自民党の機関紙に公明党・創価学会に対する謝罪文が掲載されたのだ。当然、自民党内には公明党との連立はあり得ないと主張する議員もいたが、徐々にその主張はフェードアウトしていき自公連立政権が誕生するのであった。


政党批判はどこまで許されるか

 ここにおいて、政党が他党を批判することがどこまで許容されるだろうか。忘れてはいけないのは、国政政党として存在している以上、その政党の背後には有権者がいるということである。その政党に投票した人がいる事実は民主主義において重大な意味を持つ。言わずもがなであるが、投票できるのは国籍を保有する人、つまり国民である。彼らを否定することは何人たりともできない。

 その点において、私見としては今回の馬場代表の発言は行き過ぎたと解する。仮に不必要な政党であれば、投票する人がいなくなりいずれ淘汰される。しかし、現状、国政政党として議会に席を有するのだから「日本からなくなったらいい」と発言するのは度が過ぎる。彼の政治信念は理解するが、やはり公党の代表として他党に対する敬意は忘れないでもらいたい。

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