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不和をもたらす選挙風

選挙風

 永田町では俄に選挙風が吹き始めている。G7広島サミットは成功を収めたのを背景に岸田政権の支持率は上昇し各社の世論調査では支持が不支持を逆転している。また、サミットの評価についても概ね「評価する」との回答が出ている。この様な状況で、勝てる選挙を行いたいと思うのも無理はない。現に、麻生総理(当時)は解散の機を逃し追い込まれて解散した末に歴史的惨敗を喫した。解散権は総理の専権事項であるから決断は岸田総理次第であり「やれる時にやる」が永田町の鉄則である。

 これに加えて会期末まで1ヶ月程であるのも重要な点である。野党は防衛費増額に係る財源を巡り、鈴木財務大臣や財務金融委員会委員長に対する不信任案の提出やLGBTQなどへの理解増進法案をめぐり政府に対して徹底抗戦の構えを見せている。また、会期末に伝家の宝刀である内閣不信任案の提出も検討している。自民党とすれば、不信任案が提出されれば一応、大義名分にはなるものの衆議院議員の任期は折り返し地点を過ぎてもおらず、国民に信を問う程であるかは疑問の余地がある。
 何れにせよ俄に吹き始めた解散風は様々なところに影響し始めている。


候補者調整

 突如吹き始めた解散風によって各党が候補者調整に迫られている。自民党は公明党と候補者調整をしているが、10増10減に伴い新設される東京28区を巡り火花を散らしている。公明党が候補者擁立を自民党に伝えるも既に候補者を選定している自民党側がこれを拒否した。これに伴い公明党は候補者擁立を断念すると共に東京都における自民党候補者に推薦を出さない決定をした。詳しくは次で述べる

 野党第一党の立憲民主党も苦悩している。令和3年に行われた衆議院選挙で共産党との関係性を揶揄され「立憲共産党」と自民党からあだ名を付けられた。これにより、党勢拡大を挫かれた。共産党との関係はあくまでも「限定的な閣外からの協力」としたものの支持母体である連合をはじめ支持者からは不評を買い惨敗を喫した。立憲民主党の泉代表は既にBSフジの番組内で次期衆議院選挙では共産党との協力は無いと明言している。また、連合の芳野会長ともこの方針を確認している。ただ、党内には野党が一枚岩にならなければ、自公に勝利できないとの見方もある。更に直近の世論調査で「野党第一党として相応しいのは」との質問で日本維新の会に後塵を拝する状況である。立憲民主党は難しい舵取りを迫られている。


自公に隙間風

 自民党と公明党の間にはかつて無い程、強烈な隙間風が吹いている。上述した様に練馬区に新設される28区を巡り火花を散らしている。

 公明党は常勝関西と言われるほど、関西は負けなしであった。しかし、先に行われた統一地方選挙後に日本維新の会が公明党との関係を一旦白紙に戻すと表明したため、公明党内では焦りが生まれている。また、支持母体である創価学会員の減少もそれに拍車をかける原因となっている。2000年以降、今日に至るまで公明党の得票を200万票も減少しており、先の統一地方選挙でも過去最悪の12人が落選した。小選挙区で得票出来なければ況や比例をやという中で厳しい台所事情がある。

 対する自民党も、10増10減に伴い自らの議席を確保しなければいけない状況で公明党にその内の一つを譲ることは党として容認できない。そうとは言えこれまで20年以上にわたり連立を組みその組織票を頼みにしている議員も少なくないことも事実である。自民党もジレンマに苛まれている。

 今回の騒動で公明党の石井幹事長は「東京都における自公の関係は地に落ちた」と評し東京都におけるあらゆる自公関係を解消するとした。この一件は単なるしこりでは終わらず将来に禍根を残す可能性がある。

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